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印刷博物館の感想・活版印刷の体験

金木犀の香りのする季節になりましたね。どうも、すらいむ @oily_slime です。

 

ふと思い立ったので、飯田橋付近にある印刷博物館に行ってきました。文京区、博物館が多いですね。以前火曜日に足を運んだときは、月曜祝日の翌日で閉館という悲しい思いをしたのです。

飯田橋駅からは、歩いて15分くらいですかね。印刷博物館のある凸版印刷の建物以外にも、多くの印刷会社があるのが見えました。

今回は印刷博物館の見どころを3つ、紹介したいと思います。

 

被災者が現地で行っていた素朴な工夫を取り込んだデザイン

もしもの時のデザイン「災害時に役に立つ物や心のデザイン」展

もしもの時のデザイン「災害時に役に立つ物や心のデザイン」展

もともとは、このテーマとポスターに惹かれて、印刷博物館に行ってみたいと思っていたんですよね。

1部屋に、衣・食・住・心といったテーマで、もしもの時のデザインが展示されていました。普段から保存しておきたくなる非常食とか。

被災地で、被災者個人個人が自分で工夫していたことに注目して、それをそのまま道具にする試みをしているデザインが良かったですね。何が入っているかが模様として描かれている救援物資用ダンボール。「支援物資のダンボールを分類するのが大変だった」という被災地でのエピソードから考案したそうです。

また、訪日外国人向けの地震時対応を伝えるティッシュも良かったです。大きな地震が起こったら何をすれば良いか。訪日した方に地震への意識を伝えるために、ティッシュにして渡すという伝え方が素晴らしいと思います。

ダンボールを折りたたんで椅子にできるという展示があったので、「本当に人が座れるのかな」と思って、思わず少し上から押してみてしまいました。すると、「触ることはまだできないんですよ」とスタッフの方に言われました。しかし、座れるかどうかを試せなくては、現物展示する意味はほとんどないのではないのでしょうか。アイディアだけ見た目から感じ取ってくださいということなんですかね。

災害時対応のデザインの展示ならば、触れるようにしていてほしいですね。まだ試作段階という事情はあるのでしょうが。使ってみなければ、良いデザインなのかどうか正直わからないです。もしもの時に使うものなのだから、ユーザー経験のデザイン込みで評価したい。

それでも、「もしも」に対応できるデザインをしようと企画が起こって、100人ものデザイナーがものを作っている。そのことに感動しましたね。

 

曲がったスクリーン?斜めを見れば斜めが見えるVRシアター

地下に降りて印刷博物館に入ると、何やらVRシアターなるものがやっているらしい。博物館の映像展示大好きっ子なので、とりあえず入ってみることに。

シアターに入ると、映画館のような大きなスクリーン。そして、スクリーンがプラネタリウムの天井のように曲がっているのです。30人程度のシアターに、ぼくを含めて3人しかいませんでした。ほぼ独占です。

スタッフの女性の方が始まりの合図を告げ、部屋が暗くなります。始まったのは、鑑真がプロデュースした唐招提寺の3D映像。お寺に向かって歩くように動く映像を見た瞬間、ビビっときましたね。なんと、映像を好きな視点で見ることができるのです。真正面を見れば真正面が見えるし、斜め横を見れば斜め横の景色が、現実と同じように見えるのです。パノラマ撮影した写真を Google で見たことはありますか。あれが動いて見えるのです。

修学旅行のガイドさんがお寺の紹介をしているときに、キョロキョロあたりを見回していてもいい。視点の自由がこれほどまでのものとは思いませんでしたね。未来のオンラインゲームでこうした体験ができれば、中毒者は続出するでしょう。

「唐招提寺 ~金堂の技と鑑真和上に捧ぐ御影堂の美~」 – 印刷博物館

このVRシアターは、土曜、日曜、土日に続く祝日のみ上映されています。これを目当てにご来場される方は、ご注意を。

 

活版印刷って何?体験すればわかります。

Photo Oct 12, 9 53 35 PM

活版印刷体験ができるコースがあったので、参加してきました。15:00から、参加者は8人くらい。今回はしおりでしたが、つくれるもののテーマは季節ごとに変わるようです。

活版印刷の職人さんが、活字はどういうものかを現物を持たせて紹介してくれます。

活字は、文章をつくるための文字パズルのピース。主に鉛からできていて、文字の上下がわかるようにニックという印がついている。頻繁に使う活字は3000字だが、一冊の本をつくるとなると10000字以上も必要になる。3.5ポイントの何が書いてあるかは目が良くないとわからないような活字は、ルビとして使われる。活字は活字棚という印鑑販売のケースのようなものに整理されてストックされている。原稿に沿った活字をケースから選びだすことを、文選(ぶんせん)と呼び、昔は文選だけを担当する職人がいたという。

ぼくは、「本を通じて話をしよう」という原稿にしました。文選は気持ちの良いものでしたね。親指と人差し指で、抜き取っては入れ、抜き取っては入れ。漢字は音読みで五十音順に並んでいます。これは体験者のための配慮で、文選職人さんは部首の組み合わせから漢字を探し出すそうです。

活字の候補を手元に選びとったら、それらを順に並べ固定し、版をつくります。この作業を、字を植えると書いて植字(しょくじ)と呼ぶそうです。実際にやってみると、田植えをしているような感覚が得られました。

版ができたら、活字のでこぼこをなくすようにします。版の上から木の当てものをして、トントンと軽くトンカチで叩きます。これを組みつけと言うそうです。

ここまできたらいよいよ印刷。紙を用意し、印刷機にセットします。印刷機の仕組みをたとえで説明すると。本が開いて置いてあって、左ページに版、右ページに紙を置く。そして本を閉じてはさみこめば、紙に版の内容が印刷されるよね、という感じ。

使い方は、両手でレバーを握り、力をかけて下に降ろすだけです。軽く降ろすことで、まず版にインクを載せます。そして最後に、一番下までレバーを降ろすことで、インクが紙に押しつけられ、印刷されます。

30分くらいの体験で、参加無料。できあがってしおりは持ち帰ることができます。きれいな文字が簡単に複製できるという原始的な喜びが味わえました。

 

おわりに

常設展もものの展示と映像展示がしっかりしていて、3時間は見ていたと思います。絵、記号、文字には、人々の思いを伝える力があることを、ぼくは印刷博物館で感じることができました。

私たちの生活のどんなところにも活字はありますよね。あなたが画面で見ているこの文字も、もともとは活版印刷由来の文字が電子的に取り込まれた結果ですもの。半日開いた日に「そうだ、印刷ってすごいよな。博物館いくか。」と思い立つきっかけになれば、ぼくはうれしいです。

あなたの反応をお待ちしております。すらいむ @oily_slime でした。ではまた。