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「学生から社会人になる」その言い方はおかしくないですか?

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

4月1日。この日から働き始める人は多いのではないでしょうか。ぼくも大学院卒業で、働きますね。

さて、年度末に伴って「社会人」という言葉を頻繁に見かけるのですが、その言い方が妙にひっかかるのです。

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画像引用:Twitter

 

「学生から社会人になる」??

「学生から社会人になる」という言い回しがあります。これっておかしくないですか?

まるで、学生が社会の中の人ではないかのようです。変ですよね。ぼくたちあらゆる人間は、社会の中で協力しあって生きています。そう考えれば全ての人は社会人です。だとすれば、子供だって、専業主婦だって、学生だって、フリーターだって、教授だって、経営者だって、定年退職した人だって、社会人です。

つまり、「学生から社会人になる」というときの「社会人」は、「単純に社会の中の人」を意味するわけではありません。

信憑性があるかわかりませんが、wikipediaによると、諸外国では「社会人」を指す言葉はほとんど見られないそうです。(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/社会人

 

「学生から労働者になる」

学校を卒業して働き始めた人のことを「社会人」と言うのならば、それは働く人、仕事人、労働者(ワーカー)を意味しています。言葉を正しく使うなら、こう言えば良いんですよね。労働者という言葉があまり一般的でなく、「労働基準法」などの法律名っぽいから使われないのでしょうか。

では、労働者として社会に関わる人だから、「社会人=労働者」と解釈すれば良いのでしょうか。たとえ、「学生から労働者になる」といい直したとしても、それでもまだ変な部分がありますよね?

だって、アルバイトで働きながら学校に通う学生は、すでに労働者なわけです。「社会人=労働者」だとしても、「新年度から社会人」という言い方はマッチしません

 

「社会人」=会社社会の常識を身につけた人

回りくどく議論してきましたが、ここまで来れば、「社会人」という言葉に込められた意味に気付きやすくなります。

すなわち、「社会人になる」という言葉には、「ビジネスマナーなど、社会人としての常識を身に付けることが推奨される会社組織で働く」というニュアンスが入っています。

こう考えれば、「学生から社会人になる」という不思議な言い回しの意味が通ります。「学生は社会人としての常識が身についていない」という前提があって、新入社員としてその常識を身につけることが期待される、ということなのです。「学生から社会人になる」と考える人にとって、学生は社会人じゃないんですねえ。

 

「社会人」じゃなくて、なんて言えばいいの?

社会人ではなく、働く人、もしくは新入社員ですよね。

今回の「社会人」という言葉のように、意味通りに使われない言葉や、特定の集団のみで共有される常識はたくさんあります。言葉遣いに鈍感なままでいると、あっさりと組織の価値観に染まっていきますよ。社訓の唱和とか……。それが自分にマッチしたものならば良いのですが、そうでないならその違和感を大切にして欲しいなと思います。感覚は記憶から抜け落ちていくので、言語化がオススメです。

(参考:19世紀の詩人『ゲーテとの対話』から表現の基本を学ぼう。その日に感じたことは、その日に表現されるべきものだ

(参考:「情報発信していない」それだけで真価を知られていない人が、もったいない

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。