どうも、木村(@kimu3_slime)です。今回は告知です!
評論系の雑誌「ユリイカ」の7月号・バーチャルYouTuber特集に、寄稿しました。木村すらいむの文章が紙に載ってます。
タイトルは、「バーチャルYouTuberミーム論」(pp.146~153)。
本屋さんの雑誌コーナーをお探しください。店舗によってはおいていないので、Amazonでも。電子書籍(Kindle)版もあります。
個別に書かれた一つひとつの論が、雑誌の中で思わぬクロスオーバーしてることがあって面白いです。
バーチャルYouTuberさん本人による寄稿・インタビューもあるのって、めちゃくちゃすごいことじゃないですか? アニメやゲームのキャラクターは雑誌に文章を書いてくれない……。
本の中身について書くと長くなってしまうので、以上! 買って読んでください。「バーチャルYouTuberに興味を持てないよ」という人にも、がっつり考えたい人にもおすすめです。
「バーチャルYouTuberを語ること」の一般化
以下おまけというか、今僕に見えているものをメモしていきます。
バーチャルYouTuberは、2017年の12月にブームが起こり、2018年の4月頃から雑誌・テレビ・一般メディアで取り上げられるようになるほど、認知が広がってきました。
ここまでたったの半年です。初音ミク・ボカロ、ゲーム実況が一般化したのが始まってから数年と考えると、劇的な成長ペースと言えるでしょう。
「バーチャルYouTuberって流行ってるらしいけど、興味持てないんだよね」みたいな反応を最近見かけます。
「バーチャルYouTuber、興味持てない」みたいな反応を見るけど、ありがたいことだと思う。まず言葉だけは知ってもらえて、興味を持つかどうか検討する段階に入っている。この認知の段階に入るネット文化、そうそうないので。
— 木村すらいむ (@kimu3_slime) June 26, 2018
「興味を持つかどうか検討していただける」それだけでありがたいんですよね。僕がこのサイトで取り上げてきたネット文化の中で、ここまで多くの人が興味を持ちうるテーマは、バーチャルYouTuberくらいなので。
バーチャルYouTuberは、ブームを過ぎ、一般化しつつあります。
特に今回のユリイカの特集は、僕は「バーチャルYouTuberを語ることの一般化」として見ました。
Twitterで「#VTuber学会」というハッシュタグがあります。
バーチャルYouTuberについて「あーだこーだ」語るのが好きな人が集まり、語りを育てていく場所として機能すればと思い、呼びかけてみたのがはじまり。2018年4月上旬ですね。
#Vtuber学会 やりましょう! Vtuber論・学を話したい人向け。ハッシュタグで参加できます!
— 木村すらいむ (@kimu3_slime) April 9, 2018
この頃は、バーチャルYouTuberについて語るということは、まだまだモノ好きのすることで、だからこそそういう特殊な嗜好の人が集まる場所がほしい、と思ったのでした。
思いの外これに興味を持ってくださる方が増え(求められていたものだったのでしょう)、特定の人だけでなく不特定多数の人が「#VTuber学会」を使うようになりました。
ふしめろ(@hushinomiya)さんとまつりぴ(@akimatsurip)さんがVTuberについて語るふしまつ対談にも、#VTuber学会をつけていただいてます。
突発でねこますさん(のじゃロリおじさん)が来たこともあり、話題となりました。
また、4月下旬に僕は「バーチャルYouTuber文化論」という長文を書き、その文化について広く一般に伝えようとしました。
ついに! 約1か月の執筆の集大成、「バーチャルYoutuber文化論」公開!!https://t.co/bC13aL6rzb
2018年で最も勢いのある流行「バーチャルYoutuber」が1からわかる入門。
約7万字のボリューム。GWにかけて、好きな部分から読んでみてください!#Vtuber文化論 #Vtuber学会 pic.twitter.com/ZNcZbqBp21— 木村すらいむ (@kimu3_slime) April 27, 2018
この文章が何らかの形で広まって、ユリイカの編集者さんから寄稿の依頼をいただきました。
「文化論」というタイトルはやや見栄を張っている部分があるものの、文化として捉えられるもので面白いですよ、という雰囲気は伝えられたのではないかとおもます。
ユリイカさんがバーチャルYouTuber特集をすることが決まってからは、「これまでバーチャルYouTuberについて表立って語ってこなかった(と思われる)専門家」の方にも、注目していただく機会が増えました。
こういう主張は下の世代から出てくるだろうと思っていたが、本当に出てくるとやはり暗澹たる気持ちになる。完全にゼロ年代オタク論壇の楽観主義がループしている、、|バーチャルYouTuber文化論 【最新版】なぜブームに? 理由を徹底解説!|文脈をつなぐ https://t.co/BwDmDQhD9j
— 黒瀬陽平 (@kaichoo) May 4, 2018
「バーチャルYouTuber文化論」拝読しました。僕もユリイカに書きますが、木村さんの論稿は大いに参考にさせて頂きました。同誌に寄せる記事の内容は詳しくは言えませんが、美術史家&ゲームオタクの僕が木村さんの「文化論」にディティールを追加する、というものになるはずです。よろしくです。 https://t.co/gKLRh6eU4Z
— 松下哲也 (@pinetree1981) May 23, 2018
何らかの専門領域を持っている方に、批評的にバーチャルYouTuberのことを知っていただけるのは、僕としてはとても嬉しいことです。
ユリイカ7月号はその可能性を広げるもので、寄稿の機会をいただけたことにとても感謝しています。
振り返ってみれば、「#VTuber学会」が始まった頃に比べると、「バーチャルYouTuberについて語ること」がコンテンツとして認知されてきた、一般化されてきたと感じます。
一般化というのは悪いことではなく、よりグローバルに知られ、専門的な視点が増すのは良いことです。
木村すらいむさんの言葉も借ります。
そう、vtuberについて語るというのはもはや特別なことではなくなってきました。https://t.co/eVanNnEOmq— a2see@Vの者 (@a2see) June 27, 2018
僕は「バーチャルYouTuber」のブームが終わりつつあるのを、(勝手に)感じています。ブームから文化へ進むフェーズになったというわけです。
「バーチャルYouTuberミーム論」で書きましたが、「バーチャルYouTuber」という肩書きは弱くなり、「バーチャル○○」、あるいは「バーチャル」という肩書きすら名乗られなくなっていくことでしょう。当たり前のことになれば、わざわざ述べる必要がないわけですから。
「バーチャルYouTuber」だけをすることは、当たり前になってきていて、物珍しさが減ってきた。
「バーチャルYouTuber」から、コミュニケーションツール・アバターとしての「バーチャル」要素が取り出されてきています(例えば生放送の流行)。
「バーチャル」であることによる希少価値が減っていく中で、「バーチャル」を使って何をしていきたいか。
これからのバーチャル系の活動が、いろんな人や社会に影響を及ぼしていくのが楽しみです。(僕は好きなゲームの東方の魅力を伝えていきます)
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
ユリイカ 2018年7月号 特集=バーチャルYouTuber
青土社 (2018-06-27)
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