どうも、木村(@kimu3_slime)です。
僕が10数年来愛しているゲーム・東方Projectの魅力について、弾幕、音楽、世界観という3つの観点から整理したいと思います。
10秒でわかる東方Project
画像引用:上海アリス幻樂団
少女が弾幕で戦う一人用シューティングゲーム。制作は個人サークル上海アリス幻樂団(しゃんはいありすげんがくだん)のZUN。
東方Projectの魅力を分解する
東方原作の魅力は、弾幕、音楽、世界観の3つです。これらの特徴を示す具体的なキーワードを取り出していきましょう。
二次創作もその魅力のひとつですけれども、今回は言及しません。二次創作が豊かになる要素は、原作にあり。
弾幕
画像引用:東方紅魔郷
弾幕美。これはゲームをプレイしなくても、動画を見るだけでもわかります。東方の弾幕はカラフルであり、それが動いていく様子は万華鏡のようです。放射状に発射される弾は、バラバラではなく規則的に動き、幾何学模様を描きます。
東方は、パターンゲーと言われます。敵の弾幕には順番とルール(パターン)がある。一定の周期で繰り返される弾幕は、調和と美を生み出しています。それと同時に、攻略の糸口もまたパターンです。最初は避け方がわからなくても(初見殺し)、覚えゲーの面があるので誰でもクリアしやすくなっています。
音楽
(ゲーム)音楽を聞かせるためにゲームを作り始めたと原作者が述べるほど、音楽に力が入れられています。
単純に「ゲームが作りたい」ってのはあったんですけど,それよりも,音楽を作りたかったてのがあるんですよ。ゲームミュージックを作りたくて,仕事にもしてみたかったんです。
音楽への力の入れようは、ひとつの作品に収録されている楽曲数(だいたい15曲)を見れば明らかです。一つひとつのステージに異なるBGM、キャラクターすべてにBGMがあります。またミュージックルームがタイトル画面に用意されていて、その一つひとつにコメントが用意されています。
東方の楽曲は、メロディアスであると言われます。ピアノとトランペットを中心とした主旋律がはっきりとあり、数分という短いループで繰り返されます。僕は、サビの中毒性から東方音楽に入っていきました。特にWin版3部作ではサビにトランペットがよく使われ、その音色はZUNペットとして愛され・研究されました。(参考:ZUNの音源を再現するスレ@wiki)
画像引用:【東方ピアノ楽譜】ボーダーオブライフ
また、16分・32分音符が乱打する発狂ピアノと呼ばれる高速旋律も特徴的。(ピアノではありませんが)「亡き王女の為のセプテット」のサビ後半、「ボーダーオブライフ」開幕とサビ後半、「プレインエイジア」のBメロディなど。普通のボーカル曲では見られない過激な音符使いが、ゲーム音楽らしさを際立たせます。
世界観
東方の二次創作が盛り上がる理由のひとつには、「幻想」をテーマにした世界観があります。
舞台は、幻想郷(げんそうきょう)。日本の人里から離れた山奥のイメージ。僕たちが生きる現実・現代から忘れられた存在、すなわち幻想となった巫女のような人間、妖怪や魔法が存在する世界です。幻想郷は「外の世界」と結界により隔離されていて、住民のみぞ知る世界。だからこそ、外の世界の人物が幻想郷に行くことを幻想入りと呼び、東方の世界を楽しむ二次創作が大量に生まれています。モチーフは日本ですが、いわゆる和風のみのゲームではありません。サークルタイトルに含まれるアリスのように、和洋折衷のテイストが中心です。
また、ゲーム中に出てくるキャラクターは女の子、それも少女です。戦闘機のようなテクノロジーや力で解決する男性は登場しません。弾幕はパワーだけでなく、その美しさも評価されます。製作者の手にかかれば、吸血鬼や幽霊はもちろん、神様や聖徳太子も少女化・萌えキャラ化してしまいます。ファッションは少女趣味で、フリルが多い傾向にあります。また、多くのキャラクターが特徴的な帽子をかぶっていて、それにはZUN帽という名前が与えられるほどです。
キャラクター一人ひとりには、「〜する程度の能力」という形式の能力があります。巫女の博麗霊夢は「空を飛ぶ程度の能力」、氷の妖精チルノは「冷気を操る程度の能力」とわかりやすいですが、吸血鬼レミリア・スカーレットの「運命を操る程度の能力」のように、どうとでも解釈できる能力もあります。
画像引用:東方紅魔郷
ゲームのストーリーは、異変の解決です。幻想郷で困ったことが起こったぞ、敵をやっつけて解決しよう、という筋書きが基本。例えば、紅魔郷なら紅い霧が幻想郷中に立ち込める、妖々夢なら春がやって来ない、永夜抄なら夜が永遠に明けない、といったように、1作品に1つ異変が対応しています。喧嘩を終えたら、盃を交わして仲良くなるハッピーエンド。超会議では超ZUNビールというブースができるほど、作者もキャラも酒好き。
弾幕×音楽
弾幕と音楽のシンクロには、思わず鳥肌が立つこともあります。
ステージの進行と、曲の進行はマッチしています。特に、各作品とも、5面中ボスの出現とBGMのサビ対応は素晴らしい。
画像引用:東方妖々夢
道中の曲が1ループが終わると同時に、敵の攻撃も止みボスが登場します。ボス戦もだいたい1-2ループを区切りに戦闘が終わる程度のBGMの長さとなっています。曲に合わせてステージが作られている、それだけ曲の比率は高い、と言っても過言ではないでしょう。
弾幕×世界観
少女たちが美しい弾幕を使うのには、理由があります。それがスペルカードルール。
スペルカードは、言わば弾幕の必殺技。名前と特徴があり、宣言をすることで発動することができます。符名「カード名」という名前の形式が一般的。例えば次の画像は、金&水符「マーキュリポイズン」。
引用:東方紅魔郷
スペルカードルールは、人間と妖怪が安全に戦うために制定されたもの。本気を出して「殺し合い」になるのは、お互い避けたい(例えば隙間のない弾幕を作れば相手は倒せるけれど、そこに美学はない)。そこで決闘・スポーツとして、遊びとして弾幕を使うことを決めたわけです。これが紅魔郷では、弾幕ごっこと形容されます。このごっこ遊びの感覚が、シューティングゲームから殺伐さを減らしています。プレイヤーサイドの人間、敵サイドの妖怪、人間と妖怪の調和は、東方のテーマのひとつでもあります。
スペルカードには、使用者の創意工夫がこもっています。氷の妖精は氷のスペルカードを、魔法使いは魔法を、人形使いは人形を使いますし、時間停止させるスペルカードもあります。頭の悪い妖精の使うスペルには、全く攻撃の当たらない場所(安置)があるように、スペルカードからキャラクターの個性が見えてきます。
登場するスペルカードの名前やキャラクター(妖怪)には、何かしらの元ネタがあることが多いです。「東方元ネタwiki」があるように、
音楽×世界観
東方の音楽は、ステージの情景とプレイヤーの心理状態(焦りや落ち着き)をイメージさせるものであり、ボス戦ではキャラクターの個性を見せています。
例えば、「月時計~ルナ・ダイアル」は、東方の曲の中では珍しくロック調。これは時を操るキャラクター(十六夜咲夜)の性格の激しさをよく表しています。「幽霊楽団 ~ Phantom Ensemble」は、三姉妹の幽霊がそれぞれの楽器、バイオリン、トランペット、キーボードを使っていることに合わせ、3つの旋律が入り乱れます。
タイトル画面のテーマでは、作品によってアレンジはあれど、同じ旋律が使われています。これは東方をイメージした旋律と言えるでしょう。いつもの。(音楽CD「幺樂団の歴史5 ~ Akyu’s Untouched Score vol.5」に収録された曲「テーマ・オブ・イースタンストーリー」としても使われている。)
画像引用:上海音楽室
ゲーム以外で「音楽×世界観」を体現しているのは、音楽CD「秘封倶楽部(ひふうくらぶ)」。ボーカル曲はないので歌詞カードはありませんが、代わりにストーリーブックレットがついています。幻想郷の外の世界に住む二人の少女の物語に合わせ、曲が展開していくわけです。イラストはついていませんが、曲を聴きながら物語を読むと、光景が浮かんでくる感じがして楽しいです。
弾幕×音楽×世界観
いろいろ要素を分離してお話ししてきましたが、これらがセットで味わえるのがゲームです。無料の体験版が配布されているので、プレイして味わってみてください。
いろいろキーワードは出てきましたが、重要なところをまとめると……
- 弾幕 スペルカードシステムにもとづいた美しい弾幕
- 音楽 音楽のために作られたゲーム、中毒になるメロディ
- 世界観 幻想郷という和洋折衷のファンタジー世界で、人間と妖怪の少女が異変をめぐり争う
あたりでしょうか。この記事をもとに、東方の魅力がコンパクトに伝えられるようになりたいですね。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。