社会学の面白さは、べき論を批判すること

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

社会学の重要な70の概念が解説された「社会学の力 — 最重要概念・命題集」をざっくり読みました。20世紀の社会学の動向を把握するのに役立そうです。

社会学の基礎として、コントヴェーバーデュルケームの話題がやはり頻繁に出てきますね。初学者はまずここを押さえておけば間違いない。

個別の概念の話はのちのち学んでいくとして、社会学の考え方として面白い・好きな部分を自然科学と比較しながら言語化したいと思います。端的に言えば、べき論の批判をすることです。

 

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「どうあるか」と「どうあるべきか」を切り分ける

自然科学における大きな問題は、自然が「どうあるか」ということです。

三角形の内角の和は180度という数学的事実や、慣性の法則のような物理法則は、人間の干渉によって変化しません。研究者は、「自然はこうあってほしい」という願望を持っていることもあるでしょうが、その思いと「どうあるか」は無慈悲にも別のことです。

これに対して、社会科学においては、社会や人間が「どうあるか」だけでなく、「どうあるべきか」も問題となります

例えばアダム・スミスは、国民がどうしたら豊かになるかという仕組みを明らかにするだけでなく、それによって国が豊かであるべきと示しています。自殺をテーマに論じれば、その原因を明かすだけでなく、自殺者を減らすことを目指すでしょう。

僕が「どうあるか」「どうあるべきか」……と言っている言葉は、「社会学の力」では「存在(あるがままのもの)」と「当為(なすべきもの)」として整理されています。

存在と当為は日本語としてピンと来ませんが、分析的(analytical)な研究と規範的(normative)な研究というとわかりやすいですね。

で、これらを意識して分けること……それが社会学の面白いところだと思います。

ヴェーバーは規範を切り離して客観性を求めることを、価値自由、価値判断排除と述べました。

どんなに規範・主観から逃れようとしても、社会における人間として考えている以上、そこから完全に逃れられるわけではありません。それでも、「べき論」・価値判断をしてしまっていないか気をつけながら、社会を分析しようとすること

研究のモチベーションや応用として規範的研究は必要ですが、社会学の出発点としては、社会的事実と規範的意識を切り分けることがあります。

 

理論のみでなく、理論の前提まで検討する必要がある

「理論・概念」の扱いも、自然科学と社会科学では違います。

自然科学の研究では、理論が矛盾なく展開されているか、理論が実験・観測事実にマッチするかどうかが主な問題となります。

純粋な数学では、理論の無矛盾性のみが争点となり、理論から導かれるものが数学的現実となります。また、議論の出発点とする公理・定義は、共有されたスタンダードがあり、そこに研究者の恣意性が入り込む余地はほとんどありません。

つまり、自然科学の場合は、理論の前提がひっくり返ることはほぼないのです。電磁気学の発見は、ニュートン力学との矛盾を投げかけましたが、結果としてニュートン力学は修正され理解されています。だからと言って、ニュートン力学が無効となるわけではなく、前提条件が整理され一般化され生き残っているわけです。

ところが、人間や社会に関する研究を読み解くときには、理論の大前提や、規範的な理論を疑ってかかる必要があります

論理的に正しく展開されている、事実や経験とマッチしている……それだけを検討するのは、不十分になるんですよね。

社会学の力」では、内在的批判と外在的批判という言葉でこれを整理しています。

自然科学の理論は、時代が進めば発展され改められることもありますが、出発点となる理論の正しさが時代によって変わってしまうことはありません。ユークリッド幾何学は2000年以上前からユークリッド幾何学で、ニュートン力学は発見から300年以上過ぎた今なおニュートン力学です。

しかし、社会科学の理論は、時代や社会に依存した理論です。できるだけそれらに依存しない普遍的な理論を見つけることも目標ではありますが、時代や社会そのものをテーマとして直視する限り、そこから逃れられるわけではありません。

つまり、社会学の話は外在的な批判をする必要がある、大前提や規範が「現実」にマッチしているか吟味しなければ扱えません。研究をする立場から言えば、理論の論理的整合性だけでなく、その外側となる前提まで批判の対象となるわけですね。

つらいですが、人間や社会という複雑なものを扱う以上、そうなるのは自然ですね(笑)。

 

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

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