フランス革命後の秩序を求めて「オーギュスト・コント 社会学とは何か」を読む

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どうも、木村(@kimu3_slime)です。

清水磯太郎「オーギュスト・コント 社会学とは何か」を読みました。

コントといえば、社会学を創設した人の一人と言われているので、ぜひ彼のことを知りたいと思ったのです。

「社会学とは何か」というタイトルから、コントの解説書を期待していたのですが、中身はどちらかというと伝記に近いです。

コントの人生経験や女性経験と研究の関係が触れられているのが良かったです。が、解説部分と伝記部分が同じ章の中で入り乱れているので、少し読みにくかったです。

とはいえ、コントの主著「実証哲学講義」全6巻を初学者が読むのは大変だと思うので、そういう意味では本書は良い入門書だと思いました。

今回は、読んでいて印象的だったフランス革命の話と、それに対するコントの向かい合い方に触れてみようと思います。

 

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フランス革命が破壊したもの

本書でもっとも頻繁に登場する言葉と言って良いのが、フランス革命です。

僕は歴史について不勉強であり、フランス革命のことは全く知りませんでした。

フランス革命は、1789年、バスティーユ牢獄の襲撃から始まったと言われています。

国民に人気のあった財務長官ジャック・ネッケルが政府によって罷免され、それに怒った市民が襲撃を起こしました。

その背景には、理性による人間の解放を唱える啓蒙思想が広まっていたことがありました。ルソーやヴォルテールが唱えたものですね。

絶対君主制による支配(アンシャン・レジーム)が崩れるのは時間の問題だったようです。

とはいえ、フランス革命は、理性・平等を求める活動にしては、暴力的で理不尽なものだったのだなと本を読んでいて感じました。

化学反応における質量保存の法則(ラボアジエの法則)でよく知られているであろうラボアジエも、「フランス人民に対する陰謀」との罪で、「共和国に科学者は不要である」と裁判長に指摘され、ギロチンで処刑されているのです。(参考:アントワーヌ・ラヴォアジエ – Wikipedia

政府がない、無秩序な状態というのはかくも恐ろしいものなのですね。

1973年には国王ルイ16世が処刑され、1799年にナポレオンによって帝政が築かれ、仮の秩序が与えられました。

コントは、このようなフランス革命の直後である1798年に生まれ、革命後の精神的・知的な秩序をもたらそうと、社会学を生み出しました

彼の「代わりがないうちは、壊すものではない」という言葉からは、啓蒙思想・理性に対する慎重な態度が感じられて好きです。

 

社会学とは何か

さて、コントはなぜ社会学という言葉を生み出したのでしょうか。

コントは10-20代で数学・物理学を学び、24歳のときに「社会再組織のための科学的プラン(単にプランと呼ばれる)」基礎的な論文を書きました。

そこで唱えられているのが「(人間の思考の)三段階の法則」と「科学分類の法則」です。後者について詳しく触れましょう。

コントは科学を、数学、天文学、物理学、化学、生物学、社会物理学と分類し、それらは上下関係にあると考えました。

現象が単純かどうか、他の現象に依存するかどうか、普遍的かどうか、人間に関係があるかどうか、これによって順序があると考えたのです。

数学→天文学→物理学→化学→生物学→社会物理学と、進めば進むほど、より複雑で難しいというわけですね。

社会物理学(physique sociale)と物理学という言葉がくっつくのは現在では馴染みがありませんが、physiqueは力学的物理学だけでなく、観察にもとづく科学全般を指す言葉でした。

つまりは、数学・天文学・物理学・化学・生物学との関係を意識しながら、観察にもとづいて社会を調べること、それが社会物理学=社会学なのです。

コントは「精神の無力」という言葉を著書で頻繁に使い、理性・形而上学的な、概念のみにもとづく思索に注意を向けています。だから「観察」が大事だというわけですね。

三段階の法則は、科学が、神学的な段階、形而上学的な段階、実証的な段階と進んでいくというものでした。

数学、天文学はすぐさま実証的な段階に、物理学、化学、生物学も近代になって実証的な段階に達した。けれども、社会学はまだその域に達していない

社会学を実証的な段階に持っていくことで、科学全体が一定の水準になり、実証的な哲学を作ることができる。

それが、革命と戦争で崩壊した社会がまとまるための精神的な基礎を与えることになる。これがコントの使命だったわけです。

理性によってものごとを説明するだけでは不十分で、それに観察できる事実を伴わせて実証すること大切だ。

こういうコントの態度は好きですね。このブログでも、流行りの現象について述べるときに、必ず根拠・事実をもってくるようにしています

 

コントの「プラン」は「世界の名著 (46) コント・スペンサー」に収録されているらしく、詳しく知るときはこちらを次に読むことになるでしょう。

ただし、コントの時点では、ウェーバーに通じるような洗練された社会学は感じられませんでした。

デュルケームがコントに次いで社会学の方法を作り上げたと言われているので、著書である「自殺論」を次に読んでみたいと思います。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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