どうも、木村(@kimu3_slime)です。
今回は、高校の数学の時間に教えられる、微分と積分について考えたいと思います。
一度微積分を学んだことのある人は、\(\frac{d}{dx}x^2=2x\)や、\(\int x\, dx = \frac{1}{2} x^2 +C\)といった式に何となく見覚えがあるのではないでしょうか。
カリキュラムの中で、微分や積分の計算方法に習熟した人は多いと思います。
でも、微積分を何のために学ぶのか、高校生のうちに意識した人は、どれだけいるのでしょうか。
微分積分学は、天体の運動を説明するために生まれた
微分積分学を打ち立てたのは、17-18世紀の物理学者、アイザック・ニュートンです。(もう一人、ライプニッツも発見者の一人です。)
「落下するリンゴを見て、ひらめいた」という本当かどうかわからないエピソードは有名ですね。
彼が発見した万有引力(重さを持ったあらゆるものの間に働く力)は、地球や火星などの惑星の運動を説明しようとするものです。
そのためにニュートンが生み出したのが(ニュートンの)運動の3法則であり、微分積分学でした。
第一法則:慣性の法則
第二法則:運動方程式
第三法則:作用・反作用の法則
運動方程式は、微分を使って表現される方程式、微分方程式です。
\[m \frac{d^2}{dt^2}x(t) = F \]
物体の運動を予測するためには、微分方程式を解く必要がある。そして、そのためには積分法が有効であるということで、微分積分学の定理という定理も発見しています。
\[\frac{d}{dx} \int ^x _ a f(s) ds = f(x) \]
運動の3法則、微分積分学、万有引力の考え方を用いると、望遠鏡で観測されていた惑星の動きや、動き方の法則をきちんと説明できることがわかったのです。
運動などの自然現象を、数学的な原理から導いた「プリンシピア(プリンキピアとも)」は、物理のバイブルです。
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物理と数学に切り分けられた運動方程式
高校の数学の時間において、天体の運動の話や、ニュートンの運動方程式の話を聞くことは少ないのではないでしょうか。僕はあまり聞いた記憶がありません。
微分の授業では、速度という概念を例に出して、位置の瞬間変化率(速度)を計算することが微分ですよということは説明されます。でも、天体の話とは結びつけられません。
計算のテクニックを身につけなければテストの点が取れないとはいえ、天体のエピソードを知らないで微分積分学を学ぶのは、ちょっとロマンに欠けると思いませんか?
一方で、高校の物理は、力学という分野があり、ニュートンの運動法則のことがしっかりと扱われています。
しかしながら、そこには微積分学が登場しません。微積分学は高校2-3年生の数学で学ぶ内容であり、物理の教科書においてそれを使って説明できないのです。
ちょっとした進学校や塾では、高校生のうちに微積分学をマスターし、微積分学を使って物理を理解しようとする授業が行なわれるそうです。「大学への物理 ~その対策に関する一考察」というサイトもあります。「新・物理入門」は、高校数学の範囲で微積に基づいた物理を展開している良い参考書ですね。
高校の物理の教科書は、微積分学を抜きにして、物理的な考え方を養えるようになっている、よくできた本だと思います。とはいえ、大学で物理をきちんと学べば、必ず微積分学を使って力学を展開するものです。
物理をちゃんと理解するためには、数学の時間に学ぶ微積分学が必要である。
数学で学ぶ微積分学は、もともとは物理の問題を考えるために生まれた。
こういった科目を超えた理解が、高校の授業の中でも得られたら良いですね。
天動説や地動説、惑星の運動、運動方程式、それを考え続けたコペルニクス、ティコ・ブラーエ、ガリレオ・ガリレイ、ケプラー、ニュートンなどの先人達。
自然を総合的に眺めていた人たちの考え方に触れれば、高校の数学や物理学が、もっと生き生きとしたものに見えてくると思います。
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木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。