図や、表記をしっかりする。それをはっきりとさせていくことが、わからなくなっていくことを防ぐ。そういうことについて、一つ思うところがあった。
— 木村すらいむ (@kimu3_slime) November 18, 2014
ぼくは数学を専攻して、研究室に所属している。研究室としての活動で主なものは、ゼミ、セミナー、雑誌会と呼ばれる活動だ。
ゼミ発表をするうちに、授業ではあまり気にされなかったけれど、うちの研究室では厳しく指摘される部分があることに気がついた。
- 図を数学的に誤りのないように書く
- 混乱させる表記を使わない
当たり前と言えば当たり前なことだが、徹底させるためのは容易ではない。
この二つがどうして大事にされるのか。少し掘り下げてみよう。
図を数学的に誤りのないように書くこと
数学の回答では、図や絵を書いて説明する機会が少ない。図を書いて考えることはあるが、それは回答には書かないことが多い。
けれど、実際の数学活動では、図やイメージを書かないと、何が確かなことして言えそうなのか想像が難しいことがある。
そこで、図を書いてみるわけだが、これはいい加減にも書けてしまう。
説明のために、絵を書いてみた。
左の図では、y=(x-1)^2+3 のグラフであるかどうかがわからない。横方向が何なのか、縦方向が何なのかすら示されていない。頂点がどこを通っているか示されていない。y=x^2 かもしれない。
そこで、右図のように、軸と頂点を指し示す。
数学的に間違っている絵を書いていても、イメージだからいいじゃないかと見過ごしてしまうことがある。
なぜ、曖昧なイメージで考えていてはいけないか。
まず、人に通じない。黒板に書いてみても、共通する言語として使えない。
そして、数学的に理解していることと、視覚的に理解していることがずれてきてしまう。
不正確な図を受け入れることで、わかるはずのことが、わからなくなってしまう原因となるのだ。
数学的な状況を、図に表現しようとする過程で、わかっていなかったことに気づくことはよくある。
混乱させる表記を使わないこと
数学では、アルファベットなどの大文字小文字を使う。
中学生くらいから、文字を使った計算がはじまるだろう。
1,2,3…といった具体的な数ではなく、文字を使ってそれらを代表させることで、多くのケースを一度に扱うことができるのだ。
大学で数学をしている人は、多くの文字種を求め、太字、ギリシャ文字、ドイツ文字などを活用する。
そうなると、使う文字がたくさんになって、どれがどれを意味しているのか、わからなくなってくることがある。
またまた説明のために、例を手書きした。
自然数を代表する文字として、 n という文字がよく使われる。
左の図では、空間次元を表す文字と、数列の番号を表す文字として、ともに n を用いてしまっている。
どちらも、自然数ではあるのだが。同じ文字を使ってしまっては、本来違う値であるはずのものを、同じ値を表すことにあってしまい、混乱する。
右の図では、空間次元を N、数列の番号を n と表した。こうしておけば、間違った表記ではなくなり、理解しやすくなる。
どうして、混乱させる表記を使わないようにするのか。
黒板で発表する前に、どんな記号を、何に割り当て、どんな順序で導入するか考えておく。それをすることで、シンプルに説明ができる。
また、表記は、数学を理解する上でも基本的な役割をする。
文章題を、連立方程式の問題に置き換えることなどがその例で。
同じことを、違う表記で言い換えるだけで、問題が解決することさえある。
どんな観点から、数学的対象を理解しようとしているのか。それをはっきりさせておくということが、表記に注意するということだ。
考えていることを、正確に表現する。
その表現を大切にすることが、抽象的なことを理解をするために重要なことなのだ。
今回は、数学よりの話を、一般向けに広げたつもりで書いた。むずかしかっただろうか?
あなたの趣味、仕事などでは、何が大切だと言われているだろうか。
知っていたら、教えてくださるとうれしいです。
あなたの反応をお待ちしております。
木村すらいむでした。
ではまた。