どうも、木村(@kimu3_slime)です。
僕は、少人数で本を読む勉強会「文脈ゼミ」をやっています。(参考:【参加者募集(一時停止)】ゼミって何をするの? 文脈ゼミの手引きその1)
ゼミの参加者であるゼミ生は、本を章・節ごとに担当箇所を分けて、発表することになります。
その準備のために、最低限どんなことをしておけば良いのでしょうか?
準備しなければならないことは、ひとつだけ。
文脈ゼミで大事にしていることは、「1.本に書いてある内容を正しく消化して、2.自分の言葉で語れるようにすること」です。
本って、図書館や書店や家の本棚にあるだけではほぼ無用の長物で、読んでこそ意味があると思うんですよね。しかも、読むだけで忘れてしまうなら、それはただの娯楽。読んで内容を解釈し、自分のこととして学び、アウトプットできるようにする。そこまでやれば、本にはとても大きな価値がある。
— 木村すらいむ (@kimu3_slime) May 15, 2016
1.本に書いてある内容を正しく消化する
2.自分の言葉で語れるようにする(できればメモを使わずに)
これを達成するために、「各章・節ごとに短いまとめを作り、何も見ずに説明できるようにしておくこと」。
これを文脈ゼミの最低限の準備とします。
その他、キーワードを整理したり、わかりやすい資料を作ることも勉強になるとは思いますが、ゼミ生各自が自主判断で取り組むことにしましょう。
「わかったつもり」を防ぐための「まとめ」作り
1.本に書いてある内容を正しく消化する
2.自分の言葉で語れるようにする
これらを重視するのは、「わかったつもり」を防ぐためです。
僕もそうですが、一度文章をさらっと読む(=目を通す)ことができると、そこに書いてある内容がわかった気持ちになります。
でも、本当にその内容がわかっているとは限りません。
例えば、ステレオタイプという言葉があります。「日本人といえば、寿司を食べて、お茶を飲んで、ハラキリをしている」と言った、紋切り型の思考のことです。
「日本人はみんな寿司を食べる」これは馬鹿馬鹿しい考え方だと思うかもしれません。
が、実は、自分が詳しくないことについてはステレオタイプを使った大雑把な判断をしている可能性があります。「心理学といえば、心を読む学問だろう」と思って本を買ってしまう人もいるのではないでしょうか。
↓ステレオタイプを逆手に取った作品例
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自分勝手に読解してしまう仕組みをきちんと解説した本「わかったつもり 読解力がつかない本当の原因」から考え方を輸入していきましょう。
心理学の一分野である認知心理学には、「スキーマ」という言葉があります。スキーマとは、「自分たちの中に既に存在しているひとまとまりの知識」のことです。
僕らは、「日本人のスキーマ」や「心理学のスキーマ」など、様々なスキーマを使いながら、文章や出来事の後ろ側にある文脈・背景を読み取っているのです。
あらかじめ持っている知識を使って世界を解釈している以上、目の前の物事を正確に理解することは難しいです。わかったつもりになることが、普通なんです。
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わかったつもりから脱出するための2つの方法を、本から引用しましょう。
ひとつ目:全てわかっていると思わないこと
まず、自分は「わかっている」と思っているけれど、「わかったつもり」の状態にあるのだ、と明確に認識しておくことが必要です。すなわち、今は見えていないけれど必ずもっと奥があるはずだ、と認識しておく必要があるのです。そうでないと、既に何度も述べているように、「わかったつもり」は、ひとつの「わかった」安定状態ですから、そこに安住してしまうのです。しかもこの状態は、読み手みずからが構築したものなのです。
ふたつ目:自分なりのまとめを作る
読んだ文章について、意識的に自分なりの「まとめ」をしてみることを奨めます。
その「まとめ」が、あまりに簡単なものであった場合には、私たちは「ステレオタイプのスキーマによる魔物」か、「文章構成から誘われやすい魔物」に、搦め取られている可能性があります。
「まとめ」が自らの慣れ親しんでいる「ステレオタイプのスキーマ」と同一である場合は、それを当てはめているのではないかと、自らの「読み」を疑って下さい。文章それ自体を、あまり重要視せずに、「内容は、ああ、あれだな」という感じがするときは要注意です。
1.本に書いてあることをわかったつもりにならず、自分に対して批判的に読むこと。
2.本に書いてある内容をちゃんと踏まえ、自分の言葉による「まとめ」を作ること。
これらが準備段階でのポイントです。
ゼミでは、丸暗記でないアウトプットを
ゼミの発表時間中は、準備したことをアウトプットすることになります。
このとき、教科書は閉じて、メモは使わずに発表するようにしましょう。
なぜか。原稿を朗読するような発表なら、本の内容を自分の言葉として理解していなくてもできるからです。
何も見ないでする発表は、慣れないうちは苦しいことです。あれだけ時間をかけて読んだ本が、ほんの一部分しか説明できないことに気づくでしょう。
その「わからない自分」に気づくことが、人と一緒に学ぶ意味、ゼミの最大の学びだと思います。
さらに、「自分の力で説明できること」もあるんだ、と同時に気づくでしょう。回数を重ねるごとに、自分でも説明できることが増えていったら、自信になります。こうなってくると楽しいですね。
準備については、こんなところでしょうか。
僕が以前のゼミで使っていたメモを、Evernoteで公開しておきます。
本当にメモ書き程度で、自分が使えれば良いと思って書いたものなので、単体で読んで参考になるかどうかはわかりませんが。
ほか、何か疑問点等ありましたら、木村すらいむ(@kimu3_slime)まで。
ではでは。