どうも、木村(@kimu3_slime)です。
ファシリテーションという言葉を聞いたことがありますか? facilitationとは、活動を促すという意味です。僕は、科学をテーマに話をするサイエンスカフェというイベントで、その言葉を知りました。対話を重視するイベントでは、ファシリテーターという役割の名前を聞きます。
でも、ファシリテーションって一体何なのでしょう? そう思って読んだのが、「ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ」です。
組織や人は簡単には変わらない
ファシリテーションの教科書を出版したのは、グロービス経営大学院などを運営するグロービスであるため、会社という組織におけるファシリテーションを考えています。
時代の変化に対応できず、経営状況が悪くなってきている企業は少なくありません。かといって戦略を変えようとしても、会社の組織は簡単に変わることはできません。ゆえに、「戦略と組織を変えたけれど、人が動かない」ということは、多くの組織が解決すべき課題です。
難しいのは、できるだけ素早く、できるだけ多くの人にしっかり「腹落ち感」を持ってもらうこと。そこで、ファシリテーションとは、「腹落ちを生み出すコミュニケーションのスキル」と定義します。
では、腹落ち感とは何か? それは、仕事の目的と理由を理解し、具体的なあるべき姿を自ら描き、ワクワク感や当事者意識を持てるレベルまで納得するということだとしています。目的が分からなければ自ら決断できませんし、具体的なビジョンがなければ動き出せませんし、自分と関係のないことにはやる気が出ませんよね。
ファシリテーターの基本的な姿勢は、メンバーの意欲・能力・知恵を信頼し、可能性を信じること。そして、自分が決めたことを指示するのではなく、メンバー・相手の考えを引き出して決めさせることです。
つまり、「まだ会議で指示してるの?」ということですね。
仕込みとさばきのスキルで「腹落ち感」を生み出す
「一方的に指示命令するのではなく、問いかけ、考えさせ、つかませることで、メンバーに腹落ちさせることが重要」という話でした。
でも、目指すべき方向がそういうことだと思っても、実践するのはめちゃくちゃ難しいんですよね。複数の人と話しながら、問いかけもするし、各々が納得するための考え方を引き出す必要がある。会議やイベントの場でファシリテーターを務めようとしても、結局ワタワタしたまま終わってしまうことはあるでしょう。
ファシリテーションの教科書では、ファシリテーションのテクニックは、「仕込み」と「さばき」の二つだと言い切っています。
仕込みとは、議論の目標を意識しておいて、議論すべき論点を先に洗い出して準備しておくこと。さばきとは、発言を引き出し、その内容を全体に共有し、議論の方向を考えて結論を導くことです。
かなり短くまとめましたが、本ではエピソードを交えつつファシリテーションのテクニックが、詳しく論理的に解説されています。
一人ひとりの腹落ち感があれば、明るい未来へ動き出せる
さて最後に、僕個人の感想を付け加えておきます。
ファシリテーションのテクニック、仕込みとさばきは、ある種のマニュアルとして使える内容で、困ったらこれからも参照することになるでしょう。
しかし、この本が本当に良いと思うところは、単なるテクニックにとどまらず、ファシリテーションの重要性を訴えているところです。
日本の各所の組織がヤバい。組織が変わるためには、ヤバいと思っている人がトップに一人いるだけではダメで、人が変わる必要がある。そして、この人が変わるという部分が最も難しく、それを変える考え方にファシリテーションという名前をつけて、腹落ち感を持った人を増やす。
組織としての課題を指摘し、現場の人のコミュニケーションに注目してボトムアップに組織の変化を狙う。小さなチームが活発になり、社会に変化を起こすというやり方に、新しい時代らしさを感じました。
どんな会社で働いていても、どんなパートナーと暮らしていても、そこに腹落ち感は欠かせないでしょう。腹落ち感を生み出せるファシリテーションを学ぶことは、会社やパートナーの明るい未来を作る役に立つと思います。
ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ
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木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。