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なぜ「例のアレ」に尊師MMDは増殖したのか?

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

にちゃんねるを中心に炎上した、いわゆるハセカラを知っていますか?

詳しくは:ネットに強い弁護士・唐澤貴洋は、なぜ100万回殺害予告されたのか?

僕が彼らのことを知ったのは、「例のアレ」に尊師MMDが投稿されているのを見たからでした。尊師=某弁護士の通称です。僕はハセカラ関連のネタが、実在の人物をけなしているようで、やや苦手なのですが……。

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ハセカラは、炎上するのももっともな事件でしたし、一定の人気があることも事実です。しかし、発祥はにちゃんねる・なんJだったのに、なぜニコニコ動画まで広がったのでしょうか?

今回は、なぜ「例のアレ」にハセカラネタが増えたか、尊師MMDはどのように流行ったかを解説します。

尊師MMDはいつ作られたか

尊師MMDに使われ、いわゆる尊師の顔として使われているアイコンは、恒心綜合法律事務所のプロフィールで使われていた画像です。

画像引用:恒心綜合法律事務所 – プロフィール – INTERNET ARCHIVE

このアイコンを元にした尊師MMDは、2015年1月19日【第14回MMD杯予選】声なき声に力を。」というタイトルでニコニコ動画に投稿されました。

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作者は、Altailさん。このMMDが当時どのような配布されていたのかは、調べてもきちんと突き止めることができませんでした。

少なくとも、2月12日のニコニコ静画「【MMD】尊師モデル配布」において配布されていたのを確認できます。ちゃんと投稿者がAltailさんですね。

MMDは、BowlRollという共有サイトを使って配布されていました。この尊師MMDは削除されていますが、INTERNET ARCHIVEによると、中身は尊師MMDであったと推測できます。

画像引用:http://web.archive.org/web/20150316081847/https://bowlroll.net/file/63585

BowlRollを使って尊師MMDを配布することは、利用規約第8条などによって禁止されていたため、削除されています。Twitterアカウントでも「尊師MMD」名指しで指定されていました。

尊師MMDはどう流行したか

例のアレでハセカラネタが流行するようになったのは、尊師MMDがきっかけです。

先駆けとして自動作曲システムOrpheusを使った動画が人気でしたが、これはランキング入りする動画を連発するような事態にはなりませんでした。

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では、尊師MMDはどうやって流行したのか? これは、第14回MMD杯がきっかけでした。

上で紹介した尊師MMD初登場の「【第14回MMD杯予選】声なき声に力を。」も、MMD杯のための動画です。

実際、尊師MMDを使った第14回MMD杯の動画は、どれも数十万再生されています。

画像引用:尊師MMD – ニコニコ動画

 

尊師MMDがMMD杯のランキング上位を独占

MMD杯とは

フリーソフト「MikuMikuDance」(およびその派生ソフト)を使用し、複数のテーマの中から参加者が好きなものをひとつ選び、それに基づいて作ったひとつの動画を予選(途中経過版)と本選(完成版)の2回のラウンドで所定期間内に一斉に公開し合い、マイリスト登録数により算出する獲得ポイントを競い合う大会ダヨー。

引用:MMD杯公式ホームページ

マイリスト登録数により算出するポイントで評価するのがこの杯を見る上での注意点。再生数やコメント数はほぼ考慮しないんですよね。つまり、マイリスト数が工作できれば工作できてしまう。

初音ミク、アイマス、東方、艦これなどのMMDがMMD杯ではメジャーです。特に、第12回第13回では、総合部門上位3位がすべて艦これ動画でした。

そして来る第14回は、急激にランキングの内容が変わり、尊師MMDが上位3位を独占する結果となりました。

画像引用:第14回MMD杯‎ > ‎5.閉会式 – MMD杯公式ホームページ

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特に【第14回MMD杯本選】一般男性脱糞シリーズはMMD杯以降も注目され続け、2016年12月時点で約180万再生されています。この再生数は、例のアレカテゴリでも上位20位に入ります(現時点)。

 

MMD杯という注目される機会に、尊師MMDがうまく上位を独占したことで、例のアレにおけるハセカラ・尊師MMDの存在はメジャーになったと思います。

尊師MMDがランキングを独占した(マイリスト数を増やした)理由には、さまざまなものがあり、これだと僕が決めるのは難しいです。

ただし、工作があったという指摘はされています。

小説投稿サイトカクヨムに(なぜか)投稿された「恒心教大戦争史 芸術は爆発だ 尊師MMDの興り 前編」は、MMD杯に工作があったことを説明しています。

まず、「ダブルぬるぽ」という一人のニコニコユーザーが恒心教に目をつけたんだ。
ダブルぬるぽ自身は、恒心教徒ではないんだが、強力な工作員として有名だったんだ。
ニコニコ動画の全アカウントの0.3%を所持していて、「ProxyやVPNアクセスポイントも買収してるからTorも不要」と豪語していたため、「0.3%ニキ」と言われていて、当時の数字で12万のアカウントを所有していた計算になるな。ダブルぬるぽは「Nico2S」という工作業者も運営していたんだ。
この数字なら、工作によってMMD杯の優勝を操作するのは容易だったんだ。

引用:恒心教大戦争史 芸術は爆発だ 尊師MMDの興り 前編 – カクヨム

真偽のほどは定かではありませんが、ハセカラ・MMD界隈について詳しい記事なので、ぜひ読んでみてください。現在はカクヨムから削除されてしまった記事ですが、Googleのキャッシュで読めます。

参考:恒心教大戦争史 芸術は爆発だ 尊師MMDの興り 前編

参考:恒心教大戦争史 芸術は爆発だ 尊師MMDの興り 中編

参考:恒心教大戦争史 芸術は爆発だ 尊師MMDの興り 後編

でも、伸びた理由は工作だけではないと思うんですよね。

第14回以前のMMD杯で艦これが上位独占していて、その状況を変えたかったという人もいるでしょう。

それに、一連の尊師MMD動画には、ニコニコにおける尊師というキャラクターを確立させるのに十分な不愉快さ・面白さがあると思います。

第14回MMD杯関連ではありませんが、同時期に投稿されたこの動画にもそれはあらわれています。

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裸で腹を出し、体にイボをつけ追いかけてくる。気持ち悪がられるために作ったかのようなモデルです。

キモいけど笑える、笑えるけどキモいキャラクター。これは野獣先輩・例のアレカテゴリ全般に通じるものがあります。

ここまで突き詰めると、もはや実在の人物とは関係のないネタとして受け入れられる、ような気がしてきます。わざわざご本人・一般人を巻き込んだいたずらを仕掛けることに比べれば、ニコニコ動画での動画ネタは楽しめる。

「恒心教芸術路線」タグでは似たような動画が探せるので、オススメですね。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。