図書館。ぼくは図書館によく行きます。
元気なときは、あまり良く知らない分野の本棚をふらふらーっと見て、面白そうな本を探しています。
ある日、仕事とかお金とか、そんなことに関する本棚を見ていました。経営とか経済学とかだったかな。
そして、ある本にピタッと目が止まります。
不合理だからうまくいく、ってどういうこと?
早川書房
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不合理、なんとも興味深い単語です。
目次をパラパラ見るとこんなワードが目に入ります。
なぜ巨額のボーナスに効果があるとは限らないのか
イケア効果
なぜ「自分」のアイデアは「他人」のアイデアよりいいのか
なぜわたしたちは困っている一人は助けるのに、おおぜいを助けようとはしないのか
うわっ、これ面白い本だな。ということで読んでみました。
事例が面白いので読み続けてしまう
刺激的なエピソードや、「よくそんな実験を思いついて実行に移すなあ」と思うような面白い実験が多く紹介されるので、読み続けてしまいます。
「ち、ちょっと、なに壊してるんだよ?」。チャドは戸惑い、驚いていた。
「なあに、ただの手順さ」。ショーンは説明した。「きみがもう一体バイオニクルを作るときのために、ばらしておかないとね」
次の日、朝一番でアウディの顧客サービスに電話した。顧客サービス担当者に、このできごとをできるだけ生々しく、臨場感をこめて説明した。迫り来るトラック、高速道路を降りられない恐怖、同乗者が居てその生命をこの手に握っていたこと、エンジンがちゃんと動いていない中で車を操縦するむずかしさを、こと細かに語った。ところが、電話の向こうの女性は、まるで原稿を読み上げるような棒読み口調で、小馬鹿にしたようにこういったのだ。「ご不便をおかけして、申し訳ありません」
そうしているうちに、ハッとするような結論に辿り着くんですよね。
おもちゃ箱であれ、新しい電力源であれ、新しい数学の定理であれ、何かを生み出す時、わたしたちにとっていちばん大切なことは、自分がそれを生み出したということだ。自分が生み出したものである以上、ほかの人が考えた、似たようなアイデアよりも、有用で重要なはずだと思うのだ。
どんな景色が見えるか
「人って合理的な行動を必ずしもするわけではないんじゃないか」ということを実験を交えながら論証していきます。
1.わたしたちには、不合理な傾向がたくさんある。
2.わたしたちは、こうした不合理性が自分におよぼす影響を、自覚していないことが多い。つまり、自分が何に駆られて行動しているのか、よくわかっていない。
だからこそわたしたちはーーつまりあなたも、わたしも、企業も、政策決定者もーー直感を疑ってかかる必要がある。
疑いをかけるためには、自分なりの実験を行ってみようと著者は主張して本は終わります。
あなたが自分の直感に疑いをもち、よりよい決定を下すために、自分なりの実験をやってくれることを、心から願っている。
合理性に合わない悩みが人間らしい
大事だとわかっているけれど、できないことはありませんか。
「どう考えても得しないけど、報復してやりたいんだ」と思ったことはありませんか。
合理的に考えて行動しないのは、あなただけではない、ということがこの本を読むとわかります。
立ち止まって、人間について考えてみたいあなたに、ぜひ読んでいただきたい本です。