僕はお腹が弱い。痩せ型の体型のせいもあるのか、すぐにお腹が痛くなる。少食でもある。
冷たい飲み物には気をつけなければならない。暑い暑いときに、氷で冷えた飲み物をつい一気飲みすると、10分してお腹がギュルギュルする。冬の朝、喉が乾燥で目を覚まし、うとうとしながら枕元にあった水をごくりと飲んでしまい、目が覚めてこれはいけないと気づくと時既に遅し。冬の水は氷のように冷たいのだ。
お腹が冷えやすいという理由で冬は苦手なのだが、夏は夏で油断できない。クーラーだ。電車に乗っても、建物に入っても、クーラーがガンガンに効いている。あの温度はいつも冷たすぎると思うのだが、それは僕が寒さに弱いからなのだろうか。おまけに汗も書きやすい体質なので、冷房の効いた部屋に入ると一気に体温が下がる。そうしてまたお腹の調子が悪くなる。だから、夏でも念の為に上着を持っていくようにしている。
ついでに、これは冷えとは関係ないが、予定に追われやや焦っている時も、腹痛を伴わないがやわらかくなることがある。
ここまででお腹が弱いということがわかっていただけたと思うが、僕はある時までそれを仕方のないことだと思っていた。一度お腹が冷えてしまったら、トイレでのあの地獄のような苦痛からは逃れられないと。大人になるまでに誰しも一度は死ぬことについて考えたことがあると思うが、治らない腹痛は「どうして生きているのだろう?」という気持ちを引き起こすのに十分である。
そんな話を、大学に入って友達ができてするようになってから話していたら、ある時ビオフェルミンという薬を薦められた。
それまでほとんど風邪にもかかったことがなく生きてきたので、薬というものを買う必要性をまるで感じていなかったのだが、腹痛は薬屋に行く面倒臭さを乗り越えるだけのものだった。
ビオフェルミンは医薬品ではなく、乳酸菌を粉末にして飲みやすくしたもの。乳酸菌は、腸内の環境を整える役割があると言われている。
下痢止め薬とは別種のものだ。にも関わらず、下痢の兆しが起こった時にビオフェルミンを飲むと、腹痛がなんとか収まることが多い。偽薬効果だろうか。これは個人の感想であり薬の効果を保証するものではありませんうんたらかんたら。だから医薬品じゃないんですって。効かなくて深刻なようなら、お医者さんへ。
どのように効果があるのかの根拠まで知らないし、お腹が痛くなったときに飲むというおまじないなのかもしれない。けれど、とりあえず舐めると甘いし、僕は今も生きているから危ない薬でもないようだし、ありがたいものである。