どうも、木村すらいむ(@kimu3_slime)です。
最近、「スーパーマリオ」のステージを作成して遊ぶことのできるゲーム「スーパーマリオメーカー(以下、マリオメーカー)」が発売されました。
この手の自分で創作していくゲームは、自由度が高すぎるがゆえに、新しいアイデアが思いつかず、飽きていってしまうプレイヤーが多いのではないか? 最初は、そう疑問に思いました。
ところが、マリオメーカーのプレイ動画を見ていた所、考えが一変。ネットらしさを取り入れることで面白いゲームになっている!
今回は、マリオメーカーが踏まえているのはネットのどんなコンテンツか、何がマリオメーカーのすごいところなのか、そんなこと考えていきます。
マリオメーカーとは?
まず、マリオメーカーのプレイ動画を見たことのない方は、こちらの動画を見てみてください。
ゲーム実況者のMKRさんがステージを作成し、ひよっこさんがそのステージをヒント無しにクリアしようとする企画です。ノリが合わなかったら他の動画でも見ましょう。
[nicodo display=”player” width=”640″ height=”368″]sm27129905[/nicodo]
[nicodo display=”player” width=”640″ height=”368″]sm27129321[/nicodo]
画像引用:[マリオメーカー]MKRの挑戦状 #1人目 ひよっこさん
マリオメーカーで他人の作成したステージを遊ぶ時には、そのステージをプレイしているプレイヤーの情報が表示されます。例えば、ミスした時には、他のプレイヤーがミスした場所が「×」印として見えるようになっています。
これは従来のスーパーマリオにはなかった仕組みですね。
ランキングというプレイヤーがゲームを面白くする仕組み
マリオメーカーというゲーム自体が、全体的に丁寧に作られているなという印象を受けますが、僕が特に衝撃を受けたのはネットを使ったランキングシステムでした。
この画面を見た時に、もう一瞬でその面白さを察して、鳥肌が立ちました。「なるほどな、これは話題になる」と。
プレイヤーが面白いステージをすぐに見つけることができるということは、面白いステージのトリックを真似ることができるということです。自分ひとりでステージを作っていても、面白い仕掛けを作るのはきっと難しいでしょう。
そうした作り出すことの難しさが、ランキングシステムによって軽減されています。
また、このランキングはテストプレイをしてくれる人を集めてきます。
ランキングに載っているゲームをプレイしてくれる人は、どんなステージが良いステージかということを選別するんです。ステージの難易度は挑戦回数とクリア回数によってわかりますし、爽快感のあるステージになっているかどうかは「いいね!」数によってフィードバックされていきます。
さらに、時間が経てば立つほどに、ランキングには面白いステージが蓄積されていくことでしょう。
従来のスーパーマリオは任天堂が作った数十のステージがパックになって商品になっていたわけですが、マリオメーカーはユーザーが作ったステージをゲームのコンテンツにしてしまったわけです。
こうしてプラットフォームを作るやり方は、任天堂らしくて感動しますね。
マリオメーカー的なネットの創作活動
さてさて、話をもうちょっとだけ続けます。
ネットの仕組みを取り入れた最近のゲームでと言えば、マリオカート8やスプラトゥーンがあります。しかし、マリオメーカーは、このふたつのゲームとは違った意味でネットを活用していて、そのことが非常に面白くて言及せざるを得ません。
インターネットが普及してから、ユーザー生成コンテンツ(User Generated Contents、UGCとも)という言葉が使われるようになりました。
例えば、Youtubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトに集まっている動画はユーザー生成コンテンツです。
あえて「ユーザー生成」と言うのは、商業的にコンテンツを販売する人が作ったものではないことを強調するためです。インターネットの掲示板やSNSへの書き込み、まとめサイトなどのコンテンツもユーザー生成コンテンツですね。
マリオメーカーは、ネットユーザーがこれまでに蓄積してきたユーザー生成コンテンツを上手に公式作品として取り入れていると思います。
ネットでは、昔から「RPGツクール」で作られたフリーゲームや、「ネット航海時代」や「FF ADVENTURE」などのCGIゲーム、「ダンシング☆おにぎり」などのFlashゲームが作られ続けてきました。
僕が知っている限りの、マリオを意識した2D横スクロールアクションゲームを紹介していきますね。
スーパー正男
画像引用:福田直人のホームページ
スーパー正男とは、福田直人さんが作成したJavaAppletで作られたゲームです。スーパーマ◯オ。学校のパソコン室で、こっそりこのゲームを遊んでいた僕らくらいの世代の人は多いのではないでしょうか。
福田直人さんのスーパー正男のソースコードを改変して作られた改造作品がいくつも個人ホームページで公開されていました。「スーパー正男~GMS~」というホームページでは、数種類のスーパー正男作成ソフトが公開されています。
これはもうマリオメーカーの原点となるような活動ですよねえ。
人生オワタの大冒険
にちゃんねるにおいて「人生オワタ\(^o^)/」というスラングが流行していた頃に作られたFlashゲームです。
画像引用:王の巣窟
人生には初見殺しが多いことを反映しているのか、このゲームには初見殺しが多いですね。ティゥンティゥンティゥン
2Dアクションという点でマリオに似ているゲームですが、不親切で予想外のトラップに「その発想はなかった」と言いたくなる面白さがあります。
I WANNA BE THE GUY(アイワナ)
画像引用:IWBTG!
I WANNA BE THE GUY(通称アイワナ)は、アメリカ人のKayinさんによって作られたゲームです。
公式サイトのFAQを見ると、人生オワタの大冒険を発想元として、もっと面白いゲームにしようとして作られたと書かれてています。
理不尽な難易度のゲームですが、セーブポイントを活用し、何十回何百回と死んで覚えていく「死にゲー」として人気になり、たくさんの派生作品が作られています。アイワナまとめ@wikiには、2000個を超える派生作品が……!
改造マリオ(VIPマリオ)
にちゃんねるのニュース速報(VIP)板で開発されたVIPマリオという作品をきっかけに、「スーパーマリオワールド」の改造作品が流行しました。
ファミコンのゲームは、ゲームをROMイメージファイルという形でデータ化して取り出せば、パソコンで遊ぶことができます。そのROMイメージファイルを改変するパッチを配布しているのが、VIPマリオです。
2007年にはニコニコ動画で「全自動マリオ」というタイトルの改造マリオの動画が公開されています。
[nicodo]sm529389[/nicodo]全く操作せずに様々なギミック乗り越えていくのが気持ちいい作品です。スレスレまで近づく敵は何も操作しなければ避けられるように設計されていて、むしろ下手に動くとミスしてしまいます。
ニコニコで流行していた曲を編曲した組曲「ニコニコ動画」の音楽に合わせた全自動マリオの大作としては、組曲『ニコニコ動画』 全自動マリオVerがあります。
[nicodo display=”player” width=”640″ height=”368″]sm3462394[/nicodo]改造マリオは、ジャンルが細分化される前のニコニコ動画、その文化の波のひとつだったことがわかりますね。
ゲームのROMイメージファイルそのものを配布することはもちろん違法ですし、ゲームを改造して遊ぶこと自体が推奨される遊び方ではありません。現在では、改造マリオなど、エミュレータを使った遊び方をしている動画は、ニコニコ動画では削除の対象となりつつあるようです。
マリオメーカーの何がすごいのか?
ちょっと話が長くなってしまいました。
言いたいことは、マリオに似た作品を非公式で作る活動があったというネットの流れを取り入れ、それを合法的に簡単に公開できる場所を作ったという点について、マリオメーカーは本当にすごいなということです。
画像引用:ニコニコ動画ゲームカテゴリデイリーランキング 2015年9月12日
2015年の9月現在、ニコニコ動画のゲームカテゴリのデイリー動画の上位7位がマリオメーカーの動画になっています。
「クリア率1%以下!」といったステージがすぐに盛りあがった背景には、人生オワタの大冒険やアイワナなどの作品があると思います。また、改造マリオによって自動マリオというジャンルが確立されていたから、マリオメーカーによる全自動マリオの何作品も作られているのでしょう。
任天堂はネットのユーザー生成コンテンツにタダ乗りしているという穿った見方もできますが、それを言ったら「改造マリオ」などは元々がタダ乗りなんですよね。
マリオメーカーは、ネットで行われきたマリオ的なゲームを作る活動の敷居を下げて、合法的に遊べるようにしました。さらにネットの利点も取り入れて、ニコニコ動画などでもブームになるような仕掛けを作っています。
ネットのユーザー生成コンテンツをうまく取り入れてコンテンツビジネスにして、コンテンツの質や数を高め、創作活動に参入しやすくする。
「マリオメーカー」からは、ネットを活用したコンテンツの作り方、コンテンツビジネスのあり方について学べることがたくさんあると思うのでした。
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