まだ知らないものを知りたい。
家で勉強などしたことのなかった僕が、好きなゲームのプレイ時間を削ってまで大学受験しようとしたのは、そのためだった。
無限に学び考え続ける楽しさがある数学にかける時間を削って社会に出る道を選んだのも、そのためだった。
一生をかけて、知らないことに出会い続けたい。
生まれてからずっと、自分はひとりぼっちだと思っていた。
そんな孤独の退屈さから解放してくれたのは、知らないことに出会うことだった。
高校生の頃スーパーでアルバイトをしてみて、ただ買うだけのものだと思っていた商品を作る人がたくさん居ることを知った。
大学で人と話をするようになって、色々な家族や色々な地域があってそこで人が暮らしているということを知った。
知っていることが増えれば増えるほどに、自分の存在と結びついているものや人の多さに気づいた。
自分に関係している物事の多さに気づくと、いつの間にかひとりぼっちだとは思わなくなっていた。
本を読む。まだ知らないことがあることに気づく。
アルバイトをしてみる。まだ知らないことがあることに気づく。
人と話す。まだ知らないことがあることに気づく。
何か新しいことをすると、まだ新しいことがあることに気づく。
どんなに自分がちっぽけで、無知で愚かだと思っても、必ずこの世の何かとはつながっている。
ひとつのつながりを見つければ、その先にまた新しいつながりを見つけることができる。
ひとつひとつ順番に、目の前の物事を、あせらずていねいに知っていけばいいんだ。