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「人生の賞味期限が切れた普通の人」と一緒に生きていきたい

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

最近、「良い感じの人」とお話しさせて頂く機会に恵まれています。

「良い感じの人」とは、「真面目で学習欲が強くて、社会を良いものにしようと考えていて、けれどそのせいで社会からちょっとずれている人」のことです。

そういう人のことを、「普通の人」と呼びましょう。

僕は、普通の人と一緒に生きていきたい。

真実に向き合う覚悟をもった、「普通の人」

ブログ「つれづれ Tirus Life」のつれちる(@ture_tiru)さんは、「知識人」という言い方を提案しています。

そう、僕はアカデミック(学術的)な態度をもった人が好きなんです。

僕が通っていた大学の数学科では、ゼミを通して厳密に論証する態度を学びます。

たとえ友人であっても、「間違っていることは間違っている」と指摘できる態度が好きなんですよね。

(参考:言った方がいいけれど、言えないこと。どうすれば言えるのかな。

初めて会った人でも、「〜が正しい理由を説明する」「厳密に言うと…」「〜の定義は…」「狭義/広義の〜とは…」「〜の意味で…」と言った言葉遣いをする人には、親近感を持ちます。

厳密に話すことは、めんどくさいです。でも、それでも、議論をやめずに真実に向かおうとする態度。

僕は、そういう態度をもった人を尊敬しています。

「表面的な話ばっかやってないで、ちゃんとやろうよ」という態度ですね。

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普通であることの勇気

哲学者のアドラーも、「普通であることの勇気」という考え方を残しています。

少し長くなりますが、アドラー哲学をもとにした書籍「嫌われる勇気」に関する鼎談から引用します。

岸見 (中略)クリステンセンは英語で答えてくれたのですが、そのあと自分の学生時代の話をしました。

アドラーの弟子であるルドルフ・ドライカースからレポートの課題を出されたときの話です。課題は「フロイト心理学とアドラー心理学の違いについて2ページで論じなさい」というもの。クリステンセンは懸命に20ページも書いて提出したところ、ドライカースに呼び出されたそうです。「あなたは、なぜこのレポートを書いたのですか?」と。クリステンセンが「アドラー心理学に非常に関心があったから」と答えたところ、「いや違う。あなたはただ私にimpress(印象づけ)しようとしたのだ」と。たしかに普通ならそんなに書かないですよね。ドライカースは「君は特別良く見られたいと思い、他の学生と違うことを教師である私に印象づけようとしたのだ」と言ったそうです。そして「そんなことをしなくても、君は今のままの君でいいのです」と。

引用:アドラー心理学が教える 幸せに生きるための3つのヒントとは?

人は誰でも「よりよく生きていきたい」という向上欲求を持っていますが、それをこじらせると、「普通」ではなく「特別」であろうとします。

そうではなくて、普通であることに踏みとどまる勇気が、アドラーの哲学では大切にされています。

 

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え
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哲学者ソクラテスの「無知の知」もそうですね。(参考:無知の知 – はてなキーワード

知識をもった気になっているのではなく、自らが無知であることを知ってこそ、真の知の探求が始まる、という考え方です。

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人生の賞味期限が切れた「普通の人」

僕はこの意味での「普通の人」が好きですが、普通であるだけではもったいないと思います。もっと面白いことができると思うんです。

ものごとを本当にやろうとするなら、理論的(セオリティカル)であるだけでは足りません。その理論を、実践的(プラクティカル)なところまで落とす考え方が必要になります。

「普通であるだけではいけない」と思っている人のことを、ブログ「隠居系男子」から引用し、人生の賞味期限が切れた人と言い換えてみましょう。

そしてまさにこの違いが「天下統一系」か「隠居系」かの違いだと思っているというのが今日の主題。

つまり、天下統一系男子というのは、人生の賞味期限が切れていない状態の人間であり、隠居系男子というのは、人生の賞味期限が切れた状態の人間だということなのかなと。

川上さんも記事内で言及されていますが、「理想主義」なのか、「理想を失わない現実主義」なのかという違いもまさにそう。

これはもともとスタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんの言葉なんですが、僕もとっても大好きな言葉です。

引用:「隠居系男子」と「天下統一系男子」

 

面倒臭さを乗り越えて真実に向き合う態度を持ちながら、その態度を目の前の一歩に落とし込む行動力をもつ。そんな、「人生の賞味期限が切れた普通の人」でありたいし、そういう人と一緒に生きていきたい。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。