ネットのごく一部で流行っている言葉や画像(ミーム)を解説するウェブサイト

原作体験版でお気に入りのMIDI曲三つを語る 僕と東方Projectとの出会いその2

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

ダンシング☆おにぎりと東方アレンジ 僕と東方Projectとの出会いその1に引き続き、僕と東方Projectの思い出を書いていこうと思います。

 

3面まで無料で遊べる体験版

ダンシング☆おにぎりで使われていた「東方系」の曲をきっかけにたどり着いた、原作である東方Project。

上海アリス幻樂団のホームページを見ると、どうやら、東方系とは、「東方紅魔郷(こうまきょう)」「東方妖々夢(ようようむ)」「東方永夜抄(えいやしょう)」などのシューティングゲームを指しているらしい。この三つの作品は、Win版三部作と呼ばれている。

そして、それぞれの作品は、無料で3面まで遊べる体験版を用意しているとのこと。シューティングゲームは全くの未経験だったが、音楽が聞きたかったので、早速ダウンロードして、プレイしてみた。

スクリーンショット 2016-05-29 午前2.24.28

2005-6年当時、僕がプレイしていた体験版は、紅魔郷、妖々夢、永夜抄の三部作だった。この頃の体験版の音楽は、MIDIを利用していた。

MIDIとは、Musical Instrument Digital Interfaceの略であり、コンピュータに音楽を再生させるための譜面データである。音の波形を直接記録したwav形式のデータに比べて、容量が小さいというメリットがある。その代わりに、演奏する楽器の質は各パソコンに依存する。再生する環境によって、演奏される音が変わってしまうのだ。

特にあまりこだわりがなければ、パソコンにデフォルトでインストールされているソフトウェアシンセサイザで曲が演奏されることになる。ソフトウェアシンセサイザは、ハードウェアシンセサイザに比べて一般的にチープな音源となる。東方紅魔郷においては、BGMにMIDIを使用する場合、「sc-88Pro(Roland)もしくは上位の MIDI音源」が推奨されている。(参考:マニュアル – 東方紅魔郷

ちなみに、「ZUNの音源を再現するスレ@wiki」というスレまとめwikiがある程度には、東方Projectの音源にこだわってる人たちがいる。

 

ROLAND ローランド SoundCanvas SC-88Pro
ローランド
売り上げランキング: 8,440

 

僕が使っていたパソコンはWindows XPで、シンセサイザはデフォルトのMicrosoft GS Wavetable SW Synthだった。そのため、ゲームの曲はややチープに聞こえたが、それが僕にとっての原曲初体験だった。つまり、演奏する音源はそれほど問題ではなく、メロディそのものに魅力を感じていたのだ。ファミコンのゲームのBGMが、高級音源を使った曲に必ずしも劣らないことと同じ理屈である。(参考:懐かしの雰囲気で楽しめる東方ファミコンアレンジまとめ。

ちなみに、東方花映塚(かえいづか)に収録されたBGMの曲の製作者コメントでは、「ラストはメロディアスな曲が多いのが東方の特徴。」という表現がある。

また、幺樂団(ようがくだん)の歴史というCDは、MIDI演奏のようにサンプリングした音源を使わない、より単純なFM音源をあえて使ったサウンドトラックとなっている。

 

幺樂団の歴史1 ~ Akyu's Untouched Score vol.1

上海アリス幻樂団

売り上げランキング: 4,531

 

音楽について語りたいことは多いので、体験版の音楽を三つ取り上げて紹介しようと思う。(まだゲーム部分にたどり着かないのか……)

体験版で原曲を聞いて驚いたのは、それがゲームの音楽であるということだ。ステージの進行や弾幕の展開、キャラクターの雰囲気とセットになってこその音楽であるということだ。

解説つきの動画をつけたので、興味を持った方は見て欲しい(もちろん、原作の体験版をプレイしてくれれば最高だ)。

東方紅魔郷より「上海紅茶館 ~ Chinese Tea」

[nicodo]sm28941276[/nicodo]

ゲームの舞台は、忘れ去られた人間や妖怪が住む場所、幻想郷(げんそうきょう)。ある日突然、紅い霧に包まれた。その異変を解くため、主人公たちは紅魔館という洋風の館に向います。

ステージのタイトルは紅色の境 ~ Scarlet Land。紅魔境(こうまきょう)と読み替えると、ゲームのタイトルの紅魔郷とかけているようですね。

メインのメロディは、勇ましく防衛するような感じ。Aメロ、Bメロは中華風ですね。

登場するのは、門番としての妖怪、紅美鈴。気を使う程度の能力を持っています。気功・武術の達人っぽい。

「上海アリス幻樂団」というサークル名が表しているように、東方Projectの作品は、純粋に東方ではなく、東洋と西洋の中間、和洋折衷の面を持っています。曲名に上海の文字入っていることから、東方Projectを代表するような曲と言えるでしょう。

3ステージ目自体も、東方と西方の中間です。出発地点は、神社の境内裏側という東方風の場所。そこから、西洋の悪魔である吸血鬼の館に向かう。そして、その中間である紅魔館の門、紅色の境を防衛するのが中華風の妖怪ということですね。

補足しておきますが、吸血鬼にとっての「紅茶」は、お茶の葉ではなくて、人間の血なのかもしれない。不気味ですね。

 

東方紅魔郷 ~ the Embodiment of Scarlet Devil.[同人PCソフト]
上海アリス幻樂団
売り上げランキング: 166

 

東方妖々夢より「遠野幻想物語」

[nicodo]sm28941283[/nicodo]

とっくに春になる時期になったはずなのに、冬が長引きつづげている幻想郷。失われた春を探しに出発した主人公らは、「迷い家(まよいが)」にたどり着きます。

迷い家というのは、訪れた人に富をもたらすと言われる山の中の幻の家。この伝承は、民俗学者の柳田國男が残した「遠野物語」によって知られています。そんな迷い家のBGMが、遠野幻想物語です。

ステージのタイトルは、マヨヒガの黒猫。民族風の落ち着いた曲ですね。サビが高原のように元気が良く、開放感と躍動感があります。

そして出会うのが、不吉の象徴と言われる黒猫の妖怪、橙(チェン)。山の化け猫に取り付いた式神です。主に妖術を扱う程度の能力を持っています。

ちなみに、「遠野物語」は、座敷童子、河童、狐や狸の妖怪、神隠しなどを日本中に広めました。日本の代表的な妖怪は、岩手県の遠野地域における伝承から生まれたものなんですね。遠野市には、昔話を語り継ぐ語り部の方がいらっしゃいます。(参考:【岩手県遠野市】昔の話ではなく昔話を語り継ぐ「語り部」という宝物 – 灯台もと暮らし

岩手県つながりといえば、イーハトーブです。「坊ちゃん」などで知られる宮沢賢治は、イーハトーブという言葉で理想郷を指しています。そして、それは岩手県をモデルにしていたのではないかと言われています。幻想郷は、ある意味で岩手県の雰囲気を取り込んでいるのかもしれません(参考:イーハトーブ – wikipedia

遠野幻想物語のように、各地に伝わる伝承もとにストーリーを展開していくのは、東方Project作品の特徴ですね。紅魔郷は吸血鬼の伝説、妖々夢は「桜の樹の下には屍体が埋まっている」という伝説、永夜抄は竹取物語。

さらにちなむと、この曲のMIDI版とWav版は音程が2半音違い、MIDI版の方が低いです。MIDIの方が落ち着いていて好きですね。

 

口語訳 遠野物語 (河出文庫)
柳田 国男 小田 富英
河出書房新社
売り上げランキング: 13,448

 

東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.[同人PCソフト]
上海アリス幻樂団
売り上げランキング: 76

 

東方永夜抄より「プレインエイジア」

[nicodo]sm28941285[/nicodo]

舞台は夏の幻想郷。妖怪たちは、いつもほんのちょっと満月が欠けていて、本物の満月が現れなくなっていたことに気づきました。満月がないということは、それを力の源とする妖怪にとって死活問題。そこで、妖怪たちは人間とタッグを組み、夜が明ける前に異変を解決しに向かいます。

そして辿り着いた人間の里。そこが、ステージ3です。しかし、何か様子がおかしく、人里があるはずの場所に人里がない。

その原因は、上白沢慧音(かみしらさわ けいね)の力。彼女の半分は人間、半分は白沢(ハクタク)という獣です。半人半獣のワーハクタクですね。

彼女が人間の時に持っている力、歴史を食う程度の能力によって、人里の歴史を消してしまったのです。

曲名のプレインエイジアは、おそらくplain asia、混じりっけのない東方。東方節全開です。いつもの。短いメロディの繰り返しによるサビと、中盤の発狂ピアノ、そしてトランペットによるサビ。気持ち良いですね。

ちなみに、慧音が使ってくる必殺技、スペルカードは、日本の神話、歴史にちなんだものが多いです。エフェメリラティ137は神武天皇、GHQクライシスはアメリカのGHQによって占領されかけた日本、三種の神器は天照大神、高天原は古事記など。

 

東方永夜抄 ~ Imperishable Night.[同人PCソフト]
上海アリス幻樂団
売り上げランキング: 244

 

ここまで長々と書きましたが、お願いしたいことは一つだけ。

上海アリス幻樂団ホームページで公開されている無料体験版をプレイし、ぜひ自分の耳で原曲を聞いていただきたい。

次回は、僕が東方Projectのゲームの製品版を手に入れるまでの話を書こうと思います。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

関連記事

ダンシング☆おにぎりと東方アレンジ 僕と東方Projectとの出会いその1

高校生の初コミックマーケット参加・初同人ショップ体験 僕と東方Projectとの出会いその3

匿名掲示板・wiki・ブログには、一緒にものを作る楽しさがある 僕と東方Projectとの出会いその4

クッキー☆と真夏の夜の淫夢 僕と東方Projectとの出会いその5

凋叶棕(RD-Sounds)の東方アレンジは物語と考察に溢れている 僕と東方Projectとの出会いその6