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高校生の初コミックマーケット参加・初同人ショップ体験 僕と東方Projectとの出会いその3

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

ダンシング☆おにぎりと東方アレンジ 僕と東方Projectとの出会いその1

原作体験版でお気に入りのMIDI曲三つを語る 僕と東方Projectとの出会いその2

に引き続き、僕の好きなゲームである東方Projectの思い出を書いていきます。

 

「同人」を知らない当時は、どうやって買えばいいのかわからなかった

中学3年生の時に東方Projectのゲームの体験版にハマり、製品版を購入したくなった。体験版は、全ステージの半分以下しかプレイできないのだ。

2007年、高校に入学した僕は製品版を購入しようと決意した。

とはいえ、パソコンのゲームをどうやって購入すれば良いのかまるでわからない。近くの中古ゲーム屋や、ヤマダ電機では売っていないゲーム、同人ゲームだったのだ。(現在、東方輝針城のみダウンロード販売されている。2014年から、インディーズゲーム販売サイトPLAYISMにて。)

当時の情報源は、製作者ZUNさんのブログ「博麗幻想書譜」だった。

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画像引用:博麗幻想書譜

まるで知識のなかった僕であったが、Google先生を活用して、「このゲームは、コミケ(コミックマーケット)で販売される」ということがわかった。

 

コミックマーケットとは?

コミックマーケットとは、年に2回、お台場の東京ビックサイトで行われる、日本で最大規模の販売イベントだ。コミックという名前がついているが、販売されているのは漫画に限らず、ゲームや音楽CD、グッズなど様々だ。アニメや漫画のキャラクターのコスプレができる、コスプレエリアという場所もある。

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画像引用:コミックマーケットとは何か?

 

コミックマーケットの会場は、フリーマーケット、見本市のようになっている。出店している人(サークル)はそれぞれの、スペースを持っている。そのスペースには、「東A-58a」と言ったように住所となる番号が割り当てられている。コミケに出店することをインターネットで告知する人は、このスペースの番号を伝えておくのだ。そうすれば、買いたい人は当日そのサークルを訪れることができる。

コミックマーケットは夏と冬の年2回、それぞれ3日間かけて行われる。それぞれ夏コミ、冬コミと呼ばれる。出店されるお店のジャンルは、日付によって違う。東方は通例2日目である。また、イベントの名前は「第89回コミックマーケット」ではなく、「コミックマーケット89」と呼ばれ、さらには「C89」と略される。「C72 東A-58a」とう表記方法は、コミケを知らない人が見てもさっぱりわからないだろう。

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画像引用:コミックマーケット89ジャンルコード一覧

 

という説明は、僕がコミケに何度も通ったからできることだ。

コミックマーケットの公式サイトは、どちらかというとサークル出店者・コミケ経験者向けの説明が多く、初心者が「コミケとは何か」を手っ取り早く知れる場所ではない。高校生だった僕には、コミケに行ったことのあるオタクの友達はいなかった。そもそもそれ以前に、当時は友達が全くいなかったのだが、それは置いておこう。

とにかく、コミケ・同人活動は良くも悪くも内輪になりやすい。連帯感を強めるのは楽しいのだけれど、それでは新しい人が入って来なくなってジャンルが続かなくなってしまう。僕は、東方Projectを新しく好きになる人が増えてほしいなと思って、このシリーズをか書いている

 

惨敗した初コミケ

群馬県高崎市に住んでいた高校一年生の僕は、2007年の夏コミで「東方風神録」を買いに行こうと決意した。

二つ下の妹もインターネットが好きで何やらコミケに興味があるらしく、二人でコミケに一緒に電車で行くことになった。東京までは片道2-3時間かかる。いきなり遠くに行くと心配されるだろうから、親にはナイショで出かけた。今思うとやや無謀だけれど、それでも買いに行きたかったのだ

東京ビックサイトの最寄駅に着いたのは、10時頃だったと思う。初めてコミケ当日会場付近の電車に乗った時、そこにいる「いつもあまり見ない人たち」に、なぜか強い連帯感を覚えた。目当てとしているものは違うが、趣味のために集まった仲間であり、同志なのである

コミックマーケットに入場可能となるのは10:00だが、コミケには、「始発組」という言葉がある。コミケで目当てとなるものを買うために、始発電車に乗る人たちのことだ。朝の5-6時から「待機列」と呼ばる列を形成して、10:00まで待っているのだ。なぜそこまでする人がいるかというと、あまりに人気サークルの商品は売り切れてしまうからだ(参考:なのは完売)。これは迷惑になるので禁止されているが、前日に会場付近で徹夜して待機する人を指す「徹夜組」という言葉もある。wikipediaの「コミックマーケットが抱える問題」は詳しい。

コミックマーケット(3日間)の参加者数は爆発的に増え、50万人を超えている。参加サークル数も3万を超えている。

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画像引用:コミックマーケット年表

そんなカオスな空間だとは知らずに、ビッグサイトに向かった。開場の10時になると、列に並んでいる人がみんな拍手をする。コミケは販売会でありながら、一つの祭典なのだ。しかし、なかなか列は動かない。ようやく建物に入れたのは、1時間後だ。

壁に表示された「A」などの記号を頼りに、「上海アリス幻樂団」のサークルを探す。会場内の混み具合はジャンルによるが、花火祭りの会場くらいに混んでいるのは普通だ。動きたいと思っても思うように動けないので、人の流れを見極める必要がある。購入者が多いとされるサークルは、壁際に配置されている(いわゆる壁サークル)。

あれは11:30くらいだったろうか、なんとか「上海アリス幻樂団」の最後尾に到着。どの列がどのサークルのものかを表示するため、列に並んでいる人は「最後尾札」を持つのだと知る。並ぶこと30-1時間、ようやく販売スペースが見えてきた……! と思ったら、「上海アリス幻樂団、完売です!」との声が。群馬から東京分のお金と時間をかけて、真夏の蒸し暑い中慣れない人混みで待機して、それでも買えなかったので、さすがに残念だった。でも、製作者であるZUNさんの顔を初めて生で見れて、嬉しかったな。それだけが収穫です。

 

同人ショップ・メロンブックス高崎店で製品版を購入

コミックマーケットを中心に行われている創作・販売活動は、同人と呼ばれている。同人というのは、同じ志を持った人いう意味だ。売られている本は同人誌(いわゆる薄い本)、ゲームは同人ゲーム、音楽は同人音楽と呼ばれ、作品全般は同人作品と呼ばれる

コミックマーケットは、ただ商品を売るだけではなく、作り手とファンの交流会という面を持っている。アイドルの握手会と少し似ている(微妙に違うけど)。同人作品は、普通の本屋、ゲーム屋、CD屋では流通していない。基本的にコミケで流通させるために少量作るもので、コミケ以外では手に入れにくい。ある意味でプレミアなのだ(だから熱心にコミケに向かう人がいるし、転売屋も生まれる)。

そこで、コミックマーケットで売られるような同人作品を取り置いて販売してくれる存在、同人ショップというものがある。コミケに出店しているサークルは、同人ショップに販売を委託する(委託販売)することで、コミケに参加できなかった人がそれを変えるようになる。すべてのサークルが委託販売しているわけではないが、比較的大手のサークルは大抵委託販売している。代表的な同人ショップは、「とらのあな」「メロンブックス」「アニメイト」「駿河屋」あたりだろうか(諸説あり)。

東方風神録は、コミケの1か月後から委託販売が始められることになった(参考:博麗幻想書譜)。それを知った僕は、ネットで家の近くにある同人ショップを探すことに。

ありがたいことに、地元であった群馬県高崎市にはメロンブックスがあった。高崎駅の西側である。

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画像引用:Google

高校生だった当時、入るのにめちゃくちゃ勇気が必要だった。レンタルビデオショップのアダルトコーナーに入る感覚に近い。店内に入ると、肌色やピンクの表紙の本が多く、目のやり場に困る。当時は一般とアダルトのゾーニングもはっきりしていなかったように思う。なんとかお目当ての上海アリス幻樂団の作品を見つけ、購入。中身が見えないように、黒い袋に入れられる。お店を出て、近くにあった自動販売機で「おでん缶」が売られていたことをなぜか覚えている。

 

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ひとまず、東方原作を手に入れるための冒険は終了した。

クレジットカードを手に入れたら、メロンブックスの通販で作品を買えば良いのだが、当時は高校生。親にオタクの趣味の話をするのも恥ずかしく、できなかった。これも良い思い出だ。

次回は、東方Projectと匿名掲示板・wiki・ブログ文化の話を書きたいと思う。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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