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理系大学院卒が考える、大学に入る3つの価値とは何か?

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今振り返ってみて、大学に入る価値とは、なんでしょうか?

高校生との座談会を通して「大学で勉強するとはどういうことなのか?」、「そもそもなぜ大学に行くのだろう?」と考えるイベント「つくばアクションプロジェクト」に誘われたので、考えてみます。

参考:イベント企画『Open University Life』の進捗とコミュニケーションとイギリスの離脱 – つれづれTiru’s Life

僕は18歳の時に東京工業大学に入学し、大学院修士課程卒業まで6年間を過ごしました。専門は数学です。

僕は、図書館、ゼミ、人的ネットワークの3つが、大学の価値だと思います。

 

 

学術書のある図書館

図書館は、大学の資産のうち、大きなものです。

例えば、東工大附属図書館には、60万冊を超える蔵書があります。1冊1000円だとしたら、6億円ですね。とても個人では買えない量の本が、無料で読めるのです。

参考:平成25年度業務統計 – 東工大附属図書館

小中高の図書館や、公立の図書館と異なるのは、専門書が充実していることです。

大学が備えている学部に関連する本は、明らかに普通の図書館よりも多いです。普通の図書館では、学部の1-2年に相当する本が置いてあれば良い方です。専門的な本は、小さな本屋では扱っていませんし。

また、大学の図書館は、洋書や雑誌を取り扱っています。学問を深く理解しようとすると、どうしても日本語の文献だけでは情報が足りないことがあります。例えば、数学科では学部4年あたりから英語の教科書に当たることが多いですし、論文は基本的に英語になります。

専門書は、Amazonで買うことはできます。ただしAmazonでは、立ち読みすることができません。ネットの情報だけですぐれた本を選び出すのは難しいでしょう。

以上の点が、大学の図書館にしかない価値だと思います。

 

ゼミ、研究室に所属すること

大学においては、ゼミ、研究室という学びの形態があります。

理系の大学の多くでは、学部4年生になると、いずれかの先生の研究室・ゼミに所属して学ぶことになります。

学部1-3年生の授業は、大人数の講義や演習が中心となります。正直、(普通の)講義しか受けられないのであれば、大学の授業にそれほど価値はないなと思います。edXJMOOCなど、オンラインで講義を無料で受けられるサービスが増えてきているので。

研究室・ゼミに所属すると、「一人ひとりの学び」が重視されます。知識を単純に試すペーパーテストは減ってきます。

その代わりに、自ら読みたい本を決めて発表したり、自分の研究したいことを決めてそれに応じて学んでいくことになります。研究室・ゼミでは、学びのプロジェクトを産み育てていくことになるのです。

研究室・ゼミでは、個人が学ぶことに重点が置かれるようになりますが、だからこそ、学び合う姿勢が生まれます。学んでいることについて、同期や先輩、教授と議論・ディスカッションしていくのは、とても楽しいことです。似た分野に興味を持ち、ハイレベルな知識を持った仲間は、大学の研究室・ゼミ以外では見つけにくいと思います。

 

人的ネットワーク

大学には、多様な人がいます。出身地や、学んできた環境、学部が違う人がたくさんいます。そして、授業やサークル活動、部活やインターンなどで、交流し、仲良くなる機会があるのです。

多様な人との出会いは、人生の幅を広げます

僕のいた大学は、テストはそれなりにできる人が集まっていたのですが、そういう人はテスト以外にも何か飛び出たものを持っていたりするのです。何かのゲームで全国トップクラスの実力を持っていたり、アニメにめちゃくちゃ詳しかったり、基本的にハイスペックなんですよね。それまでの人生であまり会ったことのないような、強烈な個性を感じる人もいます。

そうなると、「こいつにはこのことについては叶わないな」という限界をリアルに知ることになります。優秀な人のモデルが、どんどん手に入るのです。そのモデルがあるからこそ、自分の得意なことは明確になりますし、生き方もより深く考えることができます

学部やサークルでの人間関係は、その後も続いていくことでしょう。自分で一から全く学んだことのない分野を学ぶのは大変ですが、それを専門としている友達に聞けば、すぐに教えてくれます。進学・就職などの情報交換も盛んです。東工大の場合は、蔵前同窓会という同窓会もありますね。

大学で得られるネットワークは、その後の人生を力強く支えてくれることになるでしょう。

 

僕は、図書館、ゼミ、ネットワークの機能こそが、大学の基本的な価値だと思っています。

それらは、ある程度のところまではネットでも運営できるのではないか? そう考え、文脈ゼミを運営し、個人大学を作ろうとしています。

参考:なぜ、東京から引っ越して、高知の嶺北地域に住むのか? 学びのインフラとして個人大学、文脈ゼミをはじめます

大学は、試験にさえ通れば入れる、誰にでも開かれたものです。学ぶことに興味がある人にとって、これほど価値のある組織は他にないのではないでしょうか。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。