どうも、木村(@kimu3_slime)です。
僕はニコニコ動画を毎日見る程度にはニコニコ動画が好きで、このブログでも「ニコニコ動画・ゲーム実況」というカテゴリを作って30近い記事を公開しています。
ニコニコ動画の面白さとは別にしても、ドワンゴ会長の川上量生さんは個人として面白いんですよね。今回は、彼の考えをインタビューで聞き出した本「ニコニコ哲学-川上量生の胸のうち」を紹介します。
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川上量生さんとは?
この本を手に取ったのは、ニコニコ動画のうんちくがみたいからではなく、川上量生という人間に興味を持ったからでした。僕にとっての川上さんの話をさせてください。
2007年の初期からニコニコ動画は知っていましたが、2014年まで川上さんのことは知りませんでした。動画サービスにユーザーとして触れている限りでは、彼を知る機会はあまりありませんからね。
彼を初めて知ったのは、コンピュータと人間が将棋対決する企画「電脳戦」の告知イベントに参加しようと、六本木のニコファーレに行ったときのことです。ニコニコ動画に登録しているユーザーあてに招待メッセージが届き、面白そうな企画だから行ってみようと思ったんですよね。
ニコファーレ自体面白い施設で、会場はニコニコ生放のため録画され、そして生放送のコメントが会場の壁面を囲むディスプレイで表示されます。「prprprprprpr」みたいな、パソコンで見れば笑わないようなコメントも、リアルな空間で展開されるとなぜか笑ってしまう(笑)。
画像引用:nicofarre – about
イベントでは、将棋界の会長とともに壇上に座っている茶髪の人がいました。ああ、彼が川上量生、ドワンゴの会長なのかと。表情のせいでしょうか、なんかゆるそうで親しみが持てるんですよね(笑)(本当にゆるいかどうかはともかく)。で、話がめちゃくちゃ面白かった。良い意味で普通の考え方してないなと思ったんです。
それで思い出して、そういえば4Gamers.netの「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」という対談をやっていたのはこの人かと、事前の情報とピタリと一致しました。「「ひろゆき」みたいな人間が増えていくと,人類は滅亡する!――川上量生氏との対談企画「ゲーマーはもっと経営者を目指すべき!」年末特別号」とかは、昔のインターネットの話、「ひろゆきさんのような人が増えたらどうなるか」という話をしていて、好きな人はめっちゃ好きなはず。ちなみに、ニコニコ動画が主宰するゲームのイベント「闘会議」で僕がアナログゲームエリアに行った時に、川上さんが普通に一般人風に混ざってて、やっぱりゲーマーなんだと確信した(笑)。
kawangoという名前の匿名ブログ「はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記」「続・はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記」も面白いのでほぼすべて読んでしまいました。「kawango=川上です」とはどこにも名乗っていないけれども、書いてるテーマと文章だけでもうバレバレ(笑)。「ひろゆき@オープンSNS」に近い、彼しかこの文章は書けないよなという雰囲気がある。
「ニコニコ哲学」のほかにも、彼の著作はいくつか読みました。「鈴木さんにも分かるネットの未来」だけは少し難しめで、他は「ニコニコ哲学」くらい読みやすいかな。
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誰でもわかるけれど、聞いたことのない話
川上量生という人物に興味を持てば、もう自然と彼の著作を読みたくなるから、もう「ニコニコ哲学」の紹介はしなくていいかな、なんて思ったり(笑)。まあちょっとだけ。
この本は、クリエイターと読者をつなぐサイトcakesの連載「
川上量生の胸のうち」をベースに書籍化したものです。僕の好きな本「嫌われる勇気」もcakesの連載が元ですね。
参考:アドラー哲学の入門書「嫌われる勇気」を読んで、好きなことができるようになった
「ニコニコ哲学」は「インターネットには国境をつくったほうがいい。」「文系は論理を手段にし、理系は論理で真理を探究する。」「人類は滅びないほうがおかしい。」といった主張がどういうことなのか、インタビューの中で解き明かされていきます。こういう「聞けばわかるけれど、聞いたことない話」が川上さんの著作の面白さです。文理・芸術の垣根を越え、1億年単位の長期的な視点を持ち、エンジニア・ゲーマーとしてのアイデンティティから語られるからなんでしょうかね。
もう本の内容とは関係ないですが、あとがきの僕の好きな部分を引用して終わりにします。
書籍にするにあたり内容を追加したいという申し出が加藤さんからあり、これについては少し揉めた。加藤さんは、ぼくがこれまでどんな人生を送ってきたかを語ってほしいといってきたのだ。なぜなら読者は知りたいはずであり、それがあるかないかで本の売れ行きが変わるだろうという。加藤さんの意図を知り、ぼくは取材の当日に拒否をした。この連載に関係ないと思ったのである。そんなものを入れたら、この本の価値が下がる、明らかに完成度が下がるじゃないかと、ぼくは言った。売れ行きがあがるとかいったって、本来、内容に関係ない要素を入れるということは単におまけをつけるということだ。それは要するに割引販売じゃないか。自分の半生にそもそも市場価値があるとは思わないが、仮にそれに読者がつくとしても、それならそれで別の本にするべきだろう。しかし、そもそも、ぼくは自分の半生を語りたいなんて、まったく思っていない。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。