どうも、木村(@kimu3_slime)です。
僕はニコニコ動画の「例のアレ」カテゴリが好きで、最近は記事としてたくさん紹介しています。例えば、エア本さん、真夏の夜の淫夢、クッキー☆、syamu_game、東山源次、aiueo700。まだ紹介できていませんが、レスリング、たれぞう、ハセカラ、QVC福島、Nona Reeves、Tehu(淫夢)あたりも例のアレカテゴリではメジャーです。
その中でも、「淫夢」だけは他ジャンルと違って、ニコ動での2008年の発掘から8年経ってもオワコン化しないように見えるのはなぜなのか?
・二次創作が活発なジャンルが持続する
・淫夢は外のコンテンツを「淫夢化」して取り込んでいる
・「語録」が外部コンテンツを取り込む強力なツール
二次創作が活発なジャンルが持続する
ある時にどんなにブームになったジャンルであっても、いつかは必ず勢いが衰えていきます。
例のアレの新Youtuber枠、住所公開チルドレンとらんちゃんねるの二つが強い。 / ホモと見るヒカキンチルドレン通っている小学校を自ら公開し特定される (2:51) https://t.co/g7fNXKGSnw #sm29698907
— 木村すらいむ (@kimu3_slime) September 23, 2016
例えば、例のアレカテゴリにおいて、2016年7月は東山源次、8月はaiueo700がブームでしたが、9月には上のツイートの「瞬殺のコルバルト」がブームです。HSI姉貴も人気ですね。
人が老化を逃れられないのと同じように、コンテンツは廃れていきます。しかし、面白い「新作」が供給されれば、老化を遅らせられます。
ポケモンは今年誕生から20年も経ちましたが、未だにブームなのは、ゲームやアニメの新作が生まれ続けているからでしょう。もし原作の新作が生まれなくなったら、ファンは減っていく。
「例のアレ」カテゴリは、最初にジャンルが見出される発掘期を過ぎれば、新しい原作が生まれなくなります。エア本さん、真夏の夜の淫夢、クッキー☆、syamu_game、レスリング、どれも原作が十分に発掘されました。
それでもジャンルが勢いを維持できるのは、音MADなどの二次創作が生まれているからです。例のアレにおいて、ジャンルのエネルギーとなっているのは新たな二次創作です。
淫夢は外のコンテンツを「淫夢化」して取り込んでいる
では、二次創作が作られ続けるジャンルとそうでないジャンル、何が違うのか?
淫夢の特徴は、外のコンテンツを「淫夢化」して消費する力が強いことです。
その力の強さは、「真夏の夜の淫夢」という動画タグの使われ方に端的に表れている。ニコニコ動画のタグ検索で、関連タグに「真夏の夜の淫夢」が登場する割合が多い。
つまり、ここで関連タグとして「真夏の夜の淫夢」が上位に表示されるということは、クッキー☆、syamu_game(ホモと学ぶ〜)、変態糞親父は淫夢に従属したコンテンツ、淫夢のサブカテゴリということでしょう。乱暴な言い方ですが。
必須アモト酸(エア本さん)やレスリングシリーズの関連タグには淫夢が登場しません。なので、エア本さんやレスリングと淫夢は異なる派閥であることがわかりますね。
淫夢は、他の多くのジャンルを内包し、風評被害として取り込むことで母体を大きくしているんですね。
「語録」が外部コンテンツを取り込む強力なツール
じゃあ、なぜ淫夢だけがクッキー☆など他のジャンルを取り込むことができて、エア本さんやレスリングがそうではなかったか。その違いは何でしょうか?
他のジャンルを取り込み二次創作を作る力は、語録の持つ力に由来すると考えます。エア本さんにもレスリングにも語録はありますが、淫夢はそれにも増して語録が強力なんですよ。
例えば、たれぞう、syamu_game、aiueo700など例のアレで人気なYoutuberは、初めは「ホモと学ぶ〜」というタイトルで発掘されます。そのタイトル名とともに、「真夏の夜の淫夢」というタグがつけられ、「淫夢語録でコメントします」という暗黙のルールが決められる。クッキー☆のように、たとえ動画内容はノンケ向けだったとしても、文末に(棒読み)とつければ淫夢語録ユーザーとして楽しむことができる。こういうことができるほどに語録が発達しているジャンルは、淫夢だけなんですよ。
画像引用:【東方合同動画企画】魔理沙とアリスのクッキーKiss
いっとき、syamu_gameがブームになっていた時、トロピカル無職のアレンジが、ほのぼの神社ばりに量産されました。そのとき、例のアレ・音楽アレンジの勢力図が変わるかと思ったが、結局トロ無の方は衰退してしまった。これは言葉・語録の強さ(使いやすさ・豊富さ)が、淫夢語>シャム語だったからではないか。
当たり前のことですが、ニコニコ動画でコメントされやすいジャンルの語録は、使いやすく豊富な語録です。したがって、最も強力な語録を持っているジャンルである淫夢の語録がコメントされ、ユーザーに伝染していきやすい。語録を使ってコメントすることができるようなジャンルならば、そのジャンルに全く無関係の動画であっても、語録によって内輪のものに引きずり込むことができるんです。
淫夢死すとも語録は死せず
ここまでの話をまとめると、二次創作を生み出し続けるジャンルが持続するという原則があって、淫夢は豊かな「語録」によって外部のコンテンツを取り込み二次創作を生み出している、ということでした。
新たなストーリーが作れるが作れるほどに成長した語録を持つジャンルは、他ジャンルを消費しやすいです。
例えば「BB先輩劇場」や「迫真XX部」のように、「淫夢×自分の語れるもの」で二次創作ができる。「biimシステム=淫夢×RTA」とも見なせるだろう。淫夢語録でのゲーム実況(淫夢実況)はジャンルとして確立されているが、エア本実況やクッキー☆実況はジャンルとして成立するほど流行っていない。
「ほのぼの神社」も「UNICORN」も「英雄の証」も、淫夢が見出し輸入したことで、もはや淫夢のBGM(風評被害)となっている。淫夢本編自体は目立ったテーマソングを持っていなかったわけだが、それを外部から取り込んでしまった。そりゃこういうことができるジャンルは生き残るよなあ。
ここまでの理解を踏まえると、ストーリーを生み出すほどに豊かな語録を持ったジャンルは、二次創作を大量に生み出し、持続する。
たとえ淫夢本編が完全に除去されてしまったとしても、語録さえあれば淫夢的な動画は生まれ続ける。仮に淫夢がオワコンになっても、別のジャンルで充実した語録が生まれれば、結局淫夢と似た現象が起こる。だから、ジャンルの衰退を過剰に恐れることはないな、と思ったのでした。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。