「ずっとA、B、A、Bをやっていたいだけ」くいしん独立3万字インタビュー

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話し手:くいしん(@quishin

聞き手:木村すらいむ(@kimu3_slime

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学びたい、勉強したい

※話は、ふたりでファミレスで「勉強したい、学びたい」という話をしていたところからスタートします

くいしん 「学びたい」という気持ちは、独立する話と混ざってくるんですけど、独立したら何をやろうかなと考えたときに「学び」というテーマがすごい大きかったんですよね。勉強したいみたいな。

──(木村) わかります。

くいしん 仕事はまあ、放っておいてもすると思うので(笑)。意識的にこれをやるぞって積み上げていくものは、仕事の実績ももちろん必要なんですけど。いわゆるビジネスとして成功することに対して、猛ダッシュしたいタイプではないので。売上をどんどん高くしていくぞとか。「フリーランスで1000万2000万稼いだぞ!」っていうそこに喜びがそんなに強くないというか、第一義ではない。

── そうですよね。

くいしん じゃあ、空いた時間、時間を確保してそこで何をするのかというのを考えたときに、勉強という答えが出てくるんです。

── 出てくるんですね、くいしんさんが。ああー。

くいしん 単純に全然勉強してきてない人なので。大学に行ってないっていうのもそうだし、社会と接してきた中でいろんなものを得てきたタイプなので。ちゃんと勉強する時間は、先に確保しておきたいなって気持ち。

その内容は、もともと5年前から言ってるんですけど。できてなくて。世間的にもよく言われてるけど、英語とファイナンスとプログラミング。プログラミング自体をもう少し勉強したいというのと。あと英語とファイナンス。

英語は、海外のメディアを読みたいから。書きたいというのも、多少なきにしもあらずだけど。たとえば、バイラルメディアでもそうだし、メディアのいろいろっていうのは輸入されてきたものが日本にもあったりとかするから。英語読めるだけでソースの量が全然変わるわけじゃないですか。だから、それをやりたいっていうのと。

あとはファイナンスっていうのも一個あって。それは単純にお金とか経営みたいな意味で金融を学びたい。世の中的にもこの3つは重要だと言われてますよね。

── そうですね、言われています。

くいしん 学問という意味では、木村さんと一緒にやれることもあるんじゃないかなと。

── そうですね、重なるところはあるかも。古典、昔の本って、僕的には個人的には大事だと思っているんですけど。別に世の中にそんなに求められてないんですよ。たとえば記事の検索数とかでもわかるんですけど、昔の本のレビューを書いて検索上位に来たところで、そもそもその本を探している人自体がそんなにいなかったりするっていうのがあって。だから、どうにかもう少し、面白い世界があるんだぞとか、役に立つかもしれないんだぞっていうところに寄せて、コンテンツ化していきたいなっていうのはあるんですね。古典を読めとは言いたくなくて。古典っていう面白い世界が広がってるんだっていうのをどうにかして伝えられないかなっていうのはあります。

くいしん それはどういうメリットが自分にあるの? どういう欲求なんですか。みんなもっと、頭が良くなって欲しいとか(笑)、いろいろあると思うんですけど。

── 物事の原点がわかるというか。たとえば、資本主義っていう言葉があるじゃないですか。でも資本主義って何なのか、わかんないですよね。そんな中で、たとえばマルクスっていう人がいるんですけど。彼が『資本論』っていう本を書いて。

くいしん 『資本論』、はい。読みました。「マンガでわかる〜」みたいなやつだけど(笑)。

── マンガいいですね(笑)。それは資本主義のある種の批判なんですけど。

くいしん そこでひとつ疑問があるんですけど。資本主義の話って言ったら『資本論』ってなるじゃないですか。でも、マルクスはすげーざっくり言うと、資本家が悪い、資本家えげつねえぞみたいなことを書いてるわけですよね? その辺を噛み砕いて教えて欲しいです。

── んー。

くいしん 第一の疑問は、木村さんは今、「ある種の批判」と言ったけど。批判が、なぜ本流みたいな扱いなのかというか。資本主義を「いいものですよ〜」って説明する本が同じ時代に別にあったりしたんですか?

── ないですね。資本主義を説明しつつ、「こういうものだからこの点は危険です」っていう感じの本です。資本主義を分析した結果、ここが危険だったという切り口の本。資本主義自体は既に自然にあって、それを分析したところやべえんじゃないかっていう。研究してみるとやばいんじゃないか、こういう理由で、っていう本。

くいしん ほうほう。

── 資本主義の特徴は、投資家ということが出てきたことなんですよ。お金を使って、事業に投資をして、そうすると出したやつより増えてる。っていうのが資本家。普通の人って、そういうふうにお金って使ってないんですよ。たとえばサイ◯リヤでごはんを食べるときに、お金をまず出すと、それを使って食べ物が出てくる。食べ物が私たちにとって価値があるから使える。仕事も、仕事の場合は、労働力っていうのものを払ってそれの代わりに得るっていう活動ですよね。普通の仕事ってそうですよね。

くいしん スキルとスキルを交換したりとかね。

── その場合、マルクスが特に批判していたのは、時間労働、サラリーマンに対することで。今よりも、もっと、比べ物にならないくらい立場が厳しかった。

くいしん 工場勤務の搾取構造とか。

── そうですそうです。実際労働環境はひどかったらしいんですよ。工場が始まった時期で。その頃は何も法律的に労働者を守るものがなくて。12時間労働がようやく法律で決まったか決まってないかみたいな。子供とか女の人も働きに駆り出されたり。工場って、24時間回してる方がいいんですよ。なんでかっていうと。鉄を溶かす機械、炉ですよね、炎をずっと炊き続けてた方が良くて。

くいしん コスパが良いってことですよね。

── そうすると、じゃあ8時間制の交代で、3回夜中もやればいいじゃんって、資本家あるいは経営者は考えるわけですよね。その方が多くお金が入るんだから。そうすると、夜中、24時間人は働くことになるわけですよね。それは24時間経営のコンビニも似たような問題でしょうけど。今は労働基準法とかしっかりしてるからわりとマシになってはきてると思うんですけど。資本家の自由な活動に任せたままだと、労働者の保護っていうのは勝手には起こらないんだってことをマルクスは言っていて。だから労働者は労働組合とかを使って対抗する、権利をちゃんと勝ち取ることが大事だし。資本主義をそのままにしていたら、いつかそういう労働者による反乱が起こって、社会主義って呼ばれる体制に変化していくんじゃないかっていう予測を立てたりした。

 

独立したい、は昔から

※ここはファミレス。ご飯が届きました

くいしん 一回食べますか(笑)。

── 独立に至る思いというか、まずは独立志向みたいなところを聞いていきたいんですけど。くいしんさんのブログを読み返していたら、ブログも面白いエントリがいっぱいあって、どうしたもんかっていうところなんですけど。めちゃめちゃ気になるのが、お父様の話で。

くいしん えっ。俺なんか書いてました?

── 父が自営業で社長だったから、それってカッコいいと思った、ニヤッと笑ったみたいな話ですね。

くいしん ああー!

参考:昨日は父の日か。父の日だったから父について少し書こう。 – 天井裏書房

── 「スーツを着て出かけていくからサラリーマンなの?」って聞いたら、違うんだみたいに言ってニヤッって笑ったみたいな。

くいしん それはすごい大きいと思います。独立志向というか、会社員ではない働き方みたいなところで言うと。

── そういう志向って、どこかで手に入れたのかなって。家族の方が自営業とか、何かがないとくいしんさんほどの独立精神を普通は持ってないものだなと思うので。

くいしん どこかで会社をやりたいとか、独立したいっていうのは100%親の影響だと思う。だからまあ、憧れはもちろんあると思うけど、そっちの方が良いっていう気持ちは漠然とあるというか。会社員のほうが悪いとかどうこうとかではなく。いい悪いじゃなくて、自分はそうなるんだろうなみたいな感覚。

── 自分がそうなるんだろうなっていう予感みたいな。

くいしん もっと言うと、お笑いにしてもその意識はあって。お笑いは基本個人事業主だからさ。個人事業主っていうか、業務委託契約でしかないわけですよね。たとえば吉本芸人は、吉本の社員ではなくて、業務委託契約でしかないから。

※くいしんは高校卒業後、吉本興業の養成所NSC東京に入学。音楽雑誌編集者やweb制作の仕事を経て現職に

── その期間に良いパフォーマンスを発揮してたら続くけど、そうじゃなければダメってことですよね。

くいしん うん。芸人の時点でその意識はありました。会社員ではない。だから、いわゆる一般的な仕事観みたいな、今となっては説明できるけど。やりたいことを我慢してやらなきゃいけないとか。毎日同じ場所に通わなわきゃいけないとか。それこそ満員電車に乗らなきゃいけないとか。

「そうじゃないように生きたい!」なんか思ったことはなくて。そうじゃない生き方をするっていうのが当たり前というか、選択肢がそれしかなかった。最初からそうやってインプットされてたっていう感じはすごいある。だから普通に、サラリーマンっていう言い方になっちゃうけど、サラリーマンになろうって思ったことがそもそもずっとなかった。逆に想像できなかったというか……。サラリーマンって言っても、子どもからしたら何してるか謎じゃないですか?(笑)。

── 僕も一般的なサラリーマンっていうのは。

くいしん もちろん営業とか、事務とかそういう風に言ってもらえばわかるけれども。

── 職種とか部署とかで言ってもらえればわかります。

くいしん サラリーマンっていうのが何なのかずっとよくわからないまま。今でもみんながサラリーマンっていうのは何を指して言ってるのかっていうのは、イマイチピンと来ないというか。それこそ小学生くらいの時から、基本的にはみんなサラリーマンになるからねみたいな言われるじゃん。その意味がわからなかったというか。そこに対してしっくり来てないし、考えたこともなかった。

── そうではないようなつもりでいるから、その中身を知らなくても自分には関係ないし。

くいしん うん。だからその分、自分が会社員として働いてからものすごい苦労してると思いますけど(笑)。社会のこと知らなすぎだし。上席に対する敬いの精神とか本当になくて、めちゃくちゃ会社に迷惑をおかけしました……。

── ふふふ(笑)。会社員になって最初の頃、結構大変そうですね。

くいしん バトルじゃないけど。「それ失礼じゃね?」みたいなことを、若いからこそっていうのもあるかもしれないけど、言っちゃってたし。この話すると「全然想像できないですね」みたいに言われるけどね、今は。

── そういう昔のくいしんさんが。

くいしん 普通に「ちゃんとしてる人と言えばちゃんとしてる人」っていう風になってると思うので。

── そう見られてると思います。

くいしん まあある程度距離が近いと、ちょっとおかしいと思ってる人もいると思うんだけど。

── (笑)。

くいしん おかしいと思われること自体は基本的には嬉しいことで。

── そうですよね。

くいしん 動物占いで狼の人は「変わってるね」って言われるのが一番の褒め言葉なんだって書いてあって。それは本当そうですね。逆に言うと、自分があまりに普通すぎるっていう、「普通コンプレックス」はめっちゃありますね。「自分は狂人じゃないな」って。だからこそ、もっとぶっこみたいっていうことなわけで。

参考:ぶっこみ論 – Twitter

── もし自分が普通だったら嫌だなあと。

くいしん 普通になっちゃったらいやだし、前提として、普通の人だと自覚してる。普通の人だからってわかってるから、「こういうやり方をしたらどうだろう」っていう選択を選ぶというか。「お前高校卒業してからお笑いやってたんだからいいじゃねえか」って言われることもありますけど、たとえばですけど、美大出てるとわかりやすいですよね。「美大出てる=すごく変わってる変な人」ってことに、説明していなくてもなるというか。めちゃくちゃ偏見だけど(笑)。

── 弟さんとかそうですか?

参考:大川直也

くいしん えっ、直也? 直也は美大卒じゃないのよ。大学を中退してる。中退して、そのまま個人事業主です。弟のこともあるかもしれない。弟の方が全然、ぶっ飛び具合が比べものにならないから。……それはもう、誰よりもヤバいよ(笑)。直也よりぶっ飛んでる人に会ったことない。

── そんなに。

くいしん 話してみて、「この人の頭の中おかしいわ」っていう感覚がすごい。

── (笑)。

くいしん 周りにそういう本物の芸術家が普通にいたから、自分は普通の人なので普通の人なりにがんばろうぜって気持ちなのかもしれない。最近よく思うんだけど、ここ何年も、直也と鳥井さんがツートップですね。

── 鳥井さんもその枠なんですね。

くいしん その枠つったらおかしいか(笑)。「考えてることが面白い」みたいな意味でいうと、同じ枠ですね。すごい広く言えば。だから、Waseiに入社した理由もそれも幾分かありますよね。鳥井さんの一挙手一投足を近くで見て、探りたいという。ドキュメンタリー精神、記者精神ですよね。

── なるほど。

くいしん そこはジャーナリスト精神というか。自分新聞というのがあって……(笑)。自分新聞が自分の中で更新されるわけじゃないですか、毎日。

── 一緒に働いてると。

くいしん いや、違う。自分が生きてると(笑)。自分が生きてると、日々、自分新聞が更新されるんですよ。昨日は木村さんと会いました、木村さんはこういう人でした、ハンバーグ美味しかったです、みたいな。一緒に働いてたら、新聞の登場回数が多いし、細かく聞けるわけじゃないですか。聞けるというか、いろいろ知れる。それは、Waseiに入りたいと思ったことのひとつとして、大きいですね。

 

やっと独立の具体的な話に

── 11月からっていうのは社内的に決定なんですか?

くいしん 全部決まってます。関わり方としては、立花さんみたいな感じ。ライターとしても書くし、でも外部ライターではなくてあくまで「編集部員」なので、全体の動きも見るし。

※灯台もと暮らしの立花さんは、編集部に所属したまま、2017年度から北海道下川町の地域おこし協力隊員に。

参考:森林と生きる町・北海道下川町。その実態と歴史を学びに行ってきた – 灯台もと暮らし

── 働き方としては、ほとんど変わらないじゃないですか。何が変わりますか? 違うのは、仕事の量とか?

くいしん 記事を書く本数は減ると思います。そうなると、他の時間で、いろんな媒体で書いたり自分の媒体やったりできるので。本数でいうと、月に6から8くらい。1本5万で、30〜40プラス、いろいろの収入。執筆じゃないところ。執筆に関しては、生産量がここまでっていうのは自分の中で明確にあるので。ここまでしか書けないみたいな感覚があって。それはインプットとアウトプットのバランスとかいろいろあるんだけど。ひとつは、才能というか。めちゃくちゃマシンガンのように書ける人っていて、それはライティングの才能がめっちゃあるってことで。わかりやすいのは森博嗣さんとか。「灯台もと暮らし」の編集長の伊佐知美さんとかも超そうなんですけど。あれはもう、書く才能がめちゃくちゃあるってことで。

── はい。

くいしん 量をめちゃくちゃ書けるっていうのはそれだけで凄まじい才能なので、それだけ世の中にインパクトを与えられる、世の中に与えられる影響も大きいということなので。だから、知美さんはそういう戦い方をするのが良いと思う。めちゃくちゃたくさん書けるから。

── そうですね。自分のライティング体質に合ったライティングを。それはそうですよね。

くいしん そうそう。書いてる量も、実際書いてる量で行ったら俺と知美さんで知美さんの方が多いと思う。知美さんの方が本数的にも多いし。さらにイベント登壇とかして、移動も多い。……単純に、化け物なんですよ(笑)。僕は僕で、編集というのかディレクション的なことをやりたいというのも元々あるので。いわゆるウェブディレクションだけじゃなくて、企画を見るとか、会議に出てどうこうとかそういう風なところでも一緒に仕事できる人がいたらいいなと今は考えてます。ライティングだけじゃないやり方でやっていきたいっていうのはすごいある。ライティングに依存しないで仕事をしていきたい。

── そうですね。

くいしん 肩書き的には最初は、フリーライターですって感じになるのかもしれないけど、それはそれでわかりやすい形として、原稿を書くっていう依頼ができるっていう見え方をするためにそう名乗る。名乗りもしないかもしれないけど。フリーライター、編集っていうのはひとつはあるけど、そうだけじゃない仕事の仕方をしていきたいっていう感じですね。

── 個人事業主の事業の方向性として。

くいしん 最初から会社を作っちゃってもいいんですけど。会社に依頼される仕事と、個人に依頼される仕事って違うじゃないですか。個人として仕事をしてみたいっていうのも一個ありますね。今のステータスで。

── 先に実験を。

くいしん 居酒屋がすごい好きなんですけど。

── えっ(笑)。はい。

くいしん 居酒屋の何が好きかって、お酒がどうこうっていうのもあるけど、いろいろ食べれるっていうのがとにかく好きなんですよ。量が少なくて、いろんな種類のご飯を食べれるっていうのが好きで。それはビュッフェでも中華でも何でもいいんだけど。それが人生の中で優先度が高いことで。いろいろやりたいっていうのが。「いろいろ経験したい」という感覚がすごい人より強いなっていうのを最近なんとなく考えてます。

── いわゆる「何々の専門のライターです」っていうタイプではないっていうことですね。

くいしん うん。一点突破みたいなことは、できないと思うし、あんまりやりたくないっすね。なんとか専門家みたいな。もっと今風に言えば「肩書きに縛られるな」みたいな話なのかもしれないけど。そういう言い方をするよりは、居酒屋でご飯を食べたいという話というか。

── (笑)。

くいしん 自分の欲求がそうだからそうしたいっていうところです。だから、一回個人として働くパターンもやりたいし、会社もやりたいみたいなのが一個ある。

── どっちもやりたいんですね。

くいしん もうひとつ、単純にチームを作るための時間が欲しい。

── それはそうですね。いきなり会社をスタートしますっていうよりは、下準備の段階があったほうが。

くいしん チームとか、会社とかチームができてメディアをやるとなったときに、そこにいる人たちで初期設計を作りたい。そこにいる人によって色が変わるものを作りたいっていう感覚はすごくあって。それはすごいありますね。Waseiからの影響かこれは。

── そうですね、完全にそれは。

くいしん Wasei的なものの中にいたことによって、自分がそういうのを作りたいなと思えたので。

参考:灯台ができるまで (note袋とじをまとめた電子書籍)

── ある程度のメディアの方向性はくいしんさんの中であるかもしれないけれども、それもあった上で、メンバーを踏まえた上でどういうメディアを作るのか考えたい。

くいしん うん、うん。

── メディア作りました、ライターさん募集します、っていうのではない、っていうことですかね?

くいしん なんなんですかねー。それがなんでその順番じゃないのかっていうのは、今パッとはわからないですね。

※しばし考える

……バンドの影響かもしれないですね。会社とかメディアっていうのは旗を最初に立てて、それに対して共感する人集まってくださいでもいいと思うんだけど、それだとなんかちょっと違うんですよね。違うという感覚があって。それはなんでかっていうとバンドの影響かもしれない。4人が集まってるからこういうバンドになって、だからこの音が出てるっていうのが。

── メディアよりも前に、メンバーが集まってるっていうことが、あるという。

くいしん まあ別に、どっちにしろ、「くいしんさんと一緒にやりたい人集まってね!」っていうのを言うのは僕なので。どっちも一緒なのかもしれないけど。

── 鶏と卵どちらが先かみたいな(笑)。

くいしん なんとなくそっちのほうが、いい曲ができるんじゃないかというイメージがあるからやりたいみたいな。結構最近そういうことばっかり考えてて。

── どういうイメージで描けるかってことですか?

くいしん 「直感」とか、「理屈じゃない」みたいな感覚を身体的にもっと定着させたいなーという感覚。年齢もあるし、今は独立して何をやるかっていうのを具体的に考えてるからかもしれないんですけど。メディアをやりたい、会社をやりたい、個人でこうやりたいみたいなのって、どんどん考えたいじゃないですか。考えて決めていきたいじゃないですか。

── そうですね。

くいしん これがこうで、これが自分はやりたくてみたいなのがもちろんあるんだけど。そうじゃない感じ。理屈じゃないところみたいな。化学反応とかかな。偶発性、偶然性みたいなところに自分は魅力を感じて。それはなんでかっていうと、バンドが好きだからかもしれない(笑)。それって、バンドをやり始めた時ってその4人がこういう音をやりたいみたいななんとなくあって集まってるんだけど、実際できるものっていうのは、集まってから作られていくものだと思うので。

── そうですね。

くいしん そういうところはバンド的な感覚が大きいのかな。理屈で、これとこれをやりたいからこうしていくっていうのを、どんどん固めていって、そこに対してバキバキに器を作った状態に手伝ってもらう人を入れてやるっていうので、結構失敗してきてるんですよね、僕はたぶん。お笑いとかもそうだし。

── そのやり方を過去にやってきている。

くいしん コンビとかも、まさにそうなんですよ。こういうお笑いをやりたいってバキバキにあるやつ同士が集まるので。それで、5人くらい相方がいたんですよね。4回5回コンビ別れして、新しい人と組んでっていうのをやってて。今に至るので。そういうやり方じゃないほうがいいなみたいな感覚はすごいあるかもしれないです。

── 考えてると型にハマっちゃうっていうのはありますよね。うまくやろうとしちゃうっていうか。

くいしん でもそれも鳥井さんと一緒なのかもしれないですね。鳥井さんもローカルとか日本の文化がどうこうみたいな感覚っていうのは、もともと鳥井さんが持ってた企画というか。もちろん、5人が集まったからあの形にはなるんだけど。でも鳥井さんがあらかじめある程度持ってたものでもあるよねっていう。

── そうですね。

くいしん そのバランス感覚が面白かったからもともと好きだったのかもしれない。今になって思うというよりも、もともとそういう感覚はすごいあった。

── 鳥井さんっていう人がいて、持ってるものがもともとあって、そこで既に集まってきている人たちがいて、その人たちで話し合ってみると、ここが同じところがあったっていうのに気づいて、もとくらを始めた、みたいな話ですよね。

くいしん そうそう。と言いつつ、誰も集まらない可能性もあるから(笑)。

── まあバランスですよね。

くいしん 手伝ってくれる人いませんってなったら、milieu(ミリュー)みたいに、この強み一点突破でやろうと思ってます。完全に一人でやって記事を出して行って、形を見せた上で手伝ってくれる人を探すみたいな。そこの順番がどうなるのかは、出してみたところ勝負で。

── まあ、そうですね。

くいしん 出たとこ勝負ですみたいな。

── そうっすよね。

くいしん 余白をガバガバに取ってるのが好きなんですよ。

── 取っておく方が良いんですか?

くいしん 取っておくほうが好きなんですよ、自分が。その状態にある方が。ガチガチに1日8時間10時間これとこれをやらなきゃいけないっていう状況が。

── 予定表にタスクいっぱい詰め込むのは嫌なんですね。

くいしん ヒマがいいですよ。「ヒマである」ということは、めちゃくちゃ強いです(笑)。どうしても良い、その日で決めて良いって。日々ガバガバな状態、それが良いっすね。だから俺、飲み会の予定とかも、3週間後のこことか言われて、まあだいたい空いてます。

── スケジュール調整できるんですか(笑)。

くいしん 「いっぱい飲んでそうだけど、結構空いてますね」って言われることが多くて。それはなんでかっていうと、先の予定を全然入れないのよ。常に今週の予定は今週決めたかったりするし。今日飲みたいって今日なっちゃったりするから。火木金土とか飲み会が入っちゃってると、バッファないから超嫌なんです。

── ははは(笑)。休息日、休肝日がなくなっちゃいますもんね。

くいしん 休息もそうだし、今日動きたい、今日これをやりたいってなった時に動ける状態が良い。という感覚はすごいありますね。

── 個人事業主で何やるか的な話は行けたと思うので。これまでのことっていうので、付き合う人みたいな。くいしんさんの人間と仕事の話を、抽象的に言えばそれを聞きたくて。具体的にいうと、これからも付き合っていく、確定している人たちがいるわけじゃないですか。

くいしん います。

 

一緒に仕事をしたい人

── 先にもらった手元のメモによると、Waseiの鳥井さん、Huuuuの柿次郎さんとか、cocowaの松本さん。その3人との関係は続いていくわけですけど、どうして続けていきたいと思うのか、っていうのは何かありますか。

くいしん これはもう「好きだから」だけなんですけど(笑)。

── 人が好きなんですか? どういう好きなんだろう。

くいしん 仕事に対する価値観かなあ。仕事観みたいな話で。それは何かっていうと。まあみんな「人で仕事をしてる」ってところじゃないですか。すごい単純な話。

── 確かに共通点はそうですね。

くいしん みんなそうなんじゃないかな。3人に限らず、全員そうな気もするけど。

── 人を見て仕事をお願いする。

くいしん なんて言えばいいんだろうな。人で仕事をしていくっていうことだと思うので。仕事観っていう意味でいうと、それは全て人との関わりっていうことなので。常に面白い人と仕事をしたいという感覚はまずある。

── 面白い人と仕事をしたい。その対極にあるものとしては、仕事の内容で仕事をするとか、仕事の稼ぎの量で選ぶっていうことではない、ってことですかね、あえて比較するとしたら。

くいしん そうじゃないですか。成果。

── 成果のやり取りだけではない。

くいしん もちろん成果物は良くないとダメなんだけど。成果とか、効果って言ったほうがわかりやすいか。「この人にこれを書いたらこういう効果があるから」これをやるんじゃなくて、「その人が好きだから」それをやるっていう感覚がすごい強くある。なるべく、今後は、くいしんさんにこの人に取材してもらいたいから、取材してもらったらたぶん面白くなると思うんでどうですかっていう、バイネームで来てるもの。指名で来るものを優先的にやりたいという感覚はすごいある。

── それはそうですよね。バイネームの仕事をやりたいし。比較の対象としては、金額は大きいけど、バイネームではない仕事は、そっちが犠牲になるくらいなら選ばないということですか。

くいしん そうっすね。結構マジでそうっすね。ちょっとこれ違うなみたいな違和感があったら、多少単価が高くてもやらないっていうことは十分にあると思う。それは綺麗事ではなく。もちろん食えなくなったらやると思うけど。別に食えなくなったら、極論就職してもいいし、何してもいいし。鳥井さんに「Waseiに戻してください」って言うかもしれないし。それは色々選択肢はあると思うんだけど。誰と誰に当たったけどダメだったから俺のところ来てるな、みたいなのは嫌だよねっていう。それでも良い場合もあると思うんだけど、誰かを助けるという意味では。違和感というか、あんまりやりたくないのに受けちゃおうっていうのは、本当にもう、自分をすごく傷つける行為なんですよね。

── わかります。本当にそうですよね。だから興味のあること以外には受けない。そういう経験とかってありますか。

くいしん うん。web制作時代とかもそうだし。売上を取らなきゃいけないから何が何でもやるとか。それはでも、残業とかになってるからね単純に。そうじゃない状況にはしたいっすよね。自分のお金のところも含めて。自分のバリューとかも含めて。まとまってますかね今の話。

── 大丈夫だと思います。人で仕事を選んでるってことですよね。

くいしん それは本当そうですね。ローカル的な案件とかは全部Waseiに入れます。

── 紹介するってこともできるわけですもんね。

くいしん ローカルの案件は僕にはマジでWaseiに直にお願いします。

── 小田原とか茅ヶ崎とか、馴染みのある土地でもそうするんですか?

くいしん うん。単価的にWaseiだと合わなくて、くいしんがやったら相手の助けになることだったらやるかもしれないけど。基本的には、ローカル関連とか地方創生絡みの案件は、すべていちどWaseiを通してもらったほうが、よいものになると思うし。

 

Waseiにいた一年半

── Waseiに、何年いたことになるんですか。

くいしん 1年半ですね。厳密には1年7か月。普通は9月末で終わるのがベターなんだと思うけど。そこは全体のタイミングをいろいろ考えて10月末まで、11月から個人で、というふうにしてもらいました。

── Waseiでの経験はどうでしたか。入ってみたときの感じと今になって、Waseiあるいはそのメンバーに対して何が変わりました。

くいしん 良くも悪くも全然変わってないかな(笑)。

── ブレてはない。

くいしん 全然変わってない気がする。もちろんより詳しく知れたっていうところはたくさんあるんだけど。みんな個々にこういうところがすごいんだなとか、こういうところが弱いんだなとかそういう気づきはあるけど。大きくはそんなに変わってないっつうか(笑)。……本当変わってないかな(笑)。

── 彼らは彼らの道で動いている。

くいしん なんだろう。たとえば。鳥井さんに関しては、別にずっと敬語だし。

── そういうのないっすよね。人間関係で縮まったみたいな。なくはないか。

くいしん 縮まったところはもちろんあると思うんだけど。普通に飲み行ったりするのも変わらないし。ふたりで飲みに行こうっていう機会は減ったけど。入社する前の方が良く飲んでた。

── (笑)。

くいしん 回数でいったら、結局出張に行ったとかイベント打ち上げとかそういうので一緒にいる時間はすごい長いから。鳥井さんとふたりのときが一番楽しく飲んでると思うし。普通にふたりともベロベロになるし。完全にふたりだったのは下川町と福井なんだけど。仲悪くならなくて良かったなと。一般論として、仲悪くなっちゃってもおかしくないじゃないですか。

── まあ、一緒に仕事をしてたら、記事の方針が違ってみたいな。ぶつかる可能性はありますよね。

くいしん あと年齢が。知美さんも鳥井さんより上だからっていうのもあるかもしれないけど。社長を立てないとか、逆に年上だから仕事上で遠慮してしまうとか、コンテンツに対して言えないとか。そういうのは起こりうるものだったけど。そういう大きな問題とか事故はなかったかなと。

── それは今後も続くと。

くいしん そうですね。逆にある程度距離を取ることによって、鳥井さんとふたりで何かやるっていう機会は作りたいですね。『隠居系男子的。』みたいな。

参考:隠居系男子的。〜灯台もと暮らし運営会社Wasei代表の鳥井弘文が初めて語る自分のこと〜

── 少し距離を置いたからこそ、別の立場から企画で呼ぶみたいな。

くいしん そうそう。

── 社内からそれはちょっと難しい。

くいしん なんとなくそれは遠慮してるわけじゃないけど。同じ社内でやっても面白くないという感覚はあったので。そこはやりたいことのひとつではありますよね。コンテンツを作るくらいしかやることはないんですけど。まあ独立前後の流れの中でめっちゃ揉める可能性も0ではないけど(笑)。

── ははは(笑)。

くいしん 少なくとも今のところは大丈夫そうですよ。

 

柿次郎さん、松本さんとの出会い

── 人間関係的にはどうですか。Waseiに入ってから知り合った人とか。柿次郎さんは元から?

くいしん 柿次郎さんは入社する前から俺は知ってて。鳥井さんと柿次郎さんを僕が引き合わせたのが、Waseiに入社する少し前ですね。

── 既に柿次郎さんとは知り合い、友達で、それで紹介したという。

くいしん 柿次郎さんとつながってたっていうのは、一緒にランチしたとかそういうレベルの話なんだけど。

── 松本さんに関しては何かありますか。

くいしん 松本さんは、良くも悪くも、その3人の中で一番ぶっ飛んでるのはじつは松本さんなんじゃないですか。爆発的な成功の仕方をしてるし。今、考えてることがめっちゃ面白いと思う。ここから1、2年くらいで新しい手を打っていくときが結構面白いんじゃないかなと俺は踏んでいて。どんどんフットワーク軽くなっていってるしね。

── すごいっすよね。

くいしん 普通にハイパーデジタルノマド、ガチノマド化していってるんですよね。

── 単なる旅行かと思いきやそんなことはなく、普通に移動したままめっちゃ仕事してますよね。

くいしん 一番フットワーク軽く動けるやり方をしているのは松本さんですよね。みんなフットワーク軽いんだけど。松本さんはかなり来てるんじゃないですか。だからこそ、ちゃんとメイン事業がしっかりお金が回ってるからこそ、余裕、自分の頭が使うリソースも、別のことも考えられるのかも。

ある意味ではめちゃくちゃフラットに考えられる人だと思うので、物事を。自分のこだわりがないところはないし。俺もそうだし、鳥井さんも柿次郎さんも、ざっくりわかりやすくいうと、こういう世の中にしたいとか、自分の会社がこうなって世の中にこういう影響を与えたいみたいな気持ちってあると思う、ある程度。誰でも経営者だったらあると思う。そこの発想がめっちゃゼロベースの人だと思いますよ、松本さんは。

── 社会をこういう方向にしたいみたいなところが薄い? とは違うか。

くいしん 薄いっちゃ薄いのもあるかもしれないけど。自分のこだわりがないってことだよね。それに、何かを動かすってなったときに、たとえばWaseiだったらこの人数を食わせられる状態で何か次の一手を打つっていう必要がある。それがあんまりないのかもしれない、松本さんの場合は。身軽、いろんな意味で。だから、そこでもっと面白くなる瞬間があると思う。そういう意味で注目してるんだけど。近くで見ていたさは絶対的にある。イケダさんとかもそうだけど、そこらへんの30人40人くらいの会社やってる人より面白い発想というか、ぶっ飛んだ発想ではあると思うので。そこの面白さっていうのは圧倒的にある。

── 結局松本さんはどのタイミングで知り合ったんですか。

くいしん 完全にWaseiの仕事、100%それで。

── お会いしてみたらすごい面白かった。

くいしん うーん。これは言い方難しいですけど、お会いした当初がすごく面白かったっていうより、今が、面白いんですよね。

── どういうところを見てるんですか?

くいしん 1年半前は、まだ普通に「ノマド的節約術」を成長させるとか、サイトを作る段階だった。今は「OMIYA!」と2本柱って感じだと思うけど。ここ(サイト)だけを見てたと思うんですよ。それが、いろんなところに行ったりいろんな人と話すようになって、視野が広がってきたのかな。

── 解放されていく、そんな感じはあります。わかります。

くいしん ちょっとあるよね。それも自分でもわかってるし意識してるし。経営に対する感覚とかものづくりに対する感覚が、フラットなんでしょうね。

── そこが面白いポイントなんですね、わかります。

くいしん うん。くいしんさんのライティングスキル、インターネット上のキャラクターをそのまま活かしてくれるのは、間違いなく柿次郎さんなんですよ。

── くいしんさんの才能を引き出すとか、人を見る目を柿次郎さんは持っている。それはそうですね。

くいしん 面白、おふざけ的な要素を持ってるっていう愛称の良さっていうのはめっちゃあって。もともとバーグハンバーグバーグさんすごい好きだったけど。バーグの中でも好きな要素は柿次郎さんだったんだなっていうのは、今になってはすごいよくわかる。もとくらは、僕は異物感としての機能なので(笑)。

── そうですね。

くいしん それはそれで、そこに僕がいることのバランスが良いし、これからもそういう関係でいいと自分では思うんですけど。鳥井さんと二人で良く言ってたのは、僕はもとくらの中では「山椒みたいな存在」なので。スパイス的な存在。じゃあ、「このスパイスでカレー作ったらカレーがやっぱりうまい」みたいな話になったらいいなと思ってますね、柿次郎さんとやる仕事に関しては。

 

もとくらでのインタビュー経験

── またWaseiの話なんですけど。インタビューの回数ってめちゃめちゃ増えましたよね、前職と比べると。

くいしん もちろん。前職は編集じゃないからね。webディレクターなので。ちょいちょいそれっぽい機会はあったけど、いわゆるインタビュー記事を作っていたわけではないので。取材はめっちゃ増えてる。

── インタビューがうまくなったとか、この人の生き方に影響されたとかありますか。

くいしん 自分は「ただただコンテンツを作りたい人なんだ」ということに気づいたっていう(笑)。それはWaseiのコーポレートサイトのインタビューでも言ってたんですけど、本当それだけっすね。

── コンテンツを作るっていうのはどの部分、どこからどこまでがくいしんさんにとってのコンテンツなんですか?

くいしん ウェブページです。

── ウェブページ。

くいしん 面白いウェブページを1枚1枚作る。和紙職人みたいな感覚。腕を揺らして、ていねいにその1枚を紡いでいくみたいなことがひたすら好きなんだなあ、みたいなのは本当に感じました。

あとは、「インタビューが強みだから頑張ろう」という感覚がいつからかあったのは、大きかったです。

── 書く記事の中でも、ジャンルとして。

くいしん 「人の話を聞く力」「質問力」みたいな話だと思うんだけど。そこが自分の強みだっていうのはこの1年半で自覚しました。だからそこはこれからも伸ばしていきたい。

── 書く部分だとどうですか。ウェブでのインタビュー記事ってもとくら以前に経験はあったんでしたっけ

くいしん いや、ないかな。昔自分のサイトを作ってたときくらい。(昔の)「クイシンコム」とか。

── そこで書いてたのがあったんですよね。

くいしん そうっすね。商業的な仕事としてっていうのはない。webでは。

── そこから始まって洗練されたいった部分はありますか、見出しとか、ここの文を捨てるとか。

くいしん もちろんあるし、より好きな部分、職能としても好きな領域なので、よりそこに自覚的になったっていうのはあるんだけど。文章を書くっていうこと自体はもともと好きだっていう自覚はあったし。もともとそこは絶対的な強みであるっていうのは、自分でもあったので。そこは実は変わってない。

── もとからあった。

くいしん もとからあったのがより明確になったという話で。インタビューとかの方が、自分の強みという風に思ってなかったので、そっちの方がすごいこの一年半の発見ではある。「あっ、そこ、伸ばすべきところなんだ」っていうことが発見で。

文章を書くっていうことに対しては、一貫してやっていきたいところだし。めちゃくちゃ意識に変化があったとかではではない。昔からの延長線上にある。

── インタビュー以外のって、たとえばどういうものですか、評論とかレビューとか。

くいしん うん、コラムとか。もっと言うと、もとくらで言うと、地の文が多い記事。人のセリフじゃなくて、お店紹介記事みたいな。知美さんとか結構書いてるけど。

── ありますよね、書いてます書いてます。

くいしん 知美さんとかだったら、女性誌、講談社にいてVOCEやってたって言うのもあるけど、出自が女性誌なので、そういう文章がすごい上手なんですよ。

── あれはよく書けるなあと。

ずっとA、B、A、Bをやっていたいだけ

くいしん 知美さんのあれは、ウェブの業界だったらトップクラスのものです。ただ、インタビュー記事はライティングという意味でも自分はウリだと思ってるところで。なんでそこまで自信を持てるかっていうと、これはすごい最近気づいたんですけど。最初のキャリアが音楽雑誌だったからなんですよ。

── 確かにそうですね。

くいしん 音楽雑誌っていわばインタビュー雑誌だから、インタビューとディスクレビューの2個しかないから。あとはアーティストの連載とか細かいところもあるんだけど。基本的にはアルバム聞いて感想をレビューするか、インタビュー記事を作るかの2個しかない。インタビュー記事って言うのは、もとくらでも音楽雑誌でもそうなんだけど、ひとつの雑誌があって、質問者、書き手とか聞き手のセリフがあって、インタビュイーの言葉があって、それが交互に書かれているものを、ここではインタビュー記事と呼びます。今文章になっているこれしかり。

で、これがここ数ヶ月の大発見なんですけど、お笑い芸人時代にネタを書いてたときもそうなんですよ。それは最近の大きな気づきなんですけど。

── ああー! そこまでつながるんですね。

くいしん 芸人時代に。

── ネタを書くっていうのはあんまり想像できないんですけど、「俺」「お前」みたいな感じで書いてあるんですか。

くいしん まさにそう。A、B、A、Bみたいな話です。ラジオの書き起こしみたいな話で。もちろん身振り手振りみたいなのも、脚本、映画の台本みたいな感じで書いてる部分もあるけど。基本的にはA、B、A、Bっていう世界なんですよ。だから、そもそもライターになりたい、ライターとか編集者になりたいって思ったのが、芸人時代に文章を書いてて、その書いてるところが自分でも楽しいし評価されたところでもあったので、それをやろうっていう話なので。そういうA、B、A、Bみたいなことをずっとやってる人なんだなっていうのが最近の気づき。

── (笑)。

くいしん これヤバくないですかね?(笑)。自分で、ヤバいと思う。人間として進歩なさが。「この人A、B、A、Bっていうのをずっと書いてるだけじゃん」っていうことだから。昔はA、B、A、Bだけではご飯が食べれなかったけど、この後食えるかどうかわからないけど、Waseiで仕事できたことも含めて、それで食えてるから。結果オーライかな。究極的にはそれっすね。ずっと、A、B、A、B。A、B、A、B、A、B、A、B、死ぬまで。それはある程度腹をくくってますね。

── そんなに好きなんですね。

くいしん ずっとA、B、A、Bをやっていたいだけの人。今年入ってからかな。本のタイトル忘れちゃったけど、僕は細野晴臣が好きで、YMOっていうバンドの。糸井さんとかのもっと上の世代の人なんだけど。糸井さんが原宿とかでコピー書いてたときに、もっと上の世代で横尾忠則とかがいて、横尾忠則のちょい下くらいが細野さんとかYMOなんだけど。星野源がすごい憧れてる人。

── あー。

くいしん 星野源と細野晴臣の対談がテレビブロスか何かで連載されてて。それが書籍化されたのがあって。

参考:地平線の相談-細野晴臣

くいしん それを読んで今年もすごい感動してた。めっちゃ面白いってなってたんだけど。結局読んでる本とかも、A、B、A、Bになってる。

── 「これは素晴らしいA、B、A、Bだ!」っていう風に驚いている。

くいしん 感動する本も全部それなんですよ。川村元気の『仕事。』もそうで。

── そうですよね。

くいしん さっき蔦屋書店でも手に取ってたくらい、すごい好きな本で。インタビュー本みたいなのも好きだし。インタビューとかじゃなくて、A、B、A、Bの

── 対話が。

くいしん 対話が好き。それを読んでたい。

── 読むのも好きだし、作るのも好き。

くいしん 「クイシンコム」はそれを365日更新するサイトに。くいしん中心にいろんな人の雑談とか。木村さんもそれ要員で考えてるので、学問的な。ぜひ一緒にやりましょう(笑)。

── はい。しもつさんとのラジオも、今の話聞いててそうかなとちょっと思いました。

くいしん あれも前振りですね完全に。あれの書き起こしは「クイシンコム」で載せさせてくれって、言ってある。とにかくもう「クイシンコム」はくいしんのインフォメーションとくいしん中心にA、B、A、Bが毎日更新されてるサイトにしようと思ってるので。

── そうすると、ちょっと話飛んじゃうかもしれないけど、好きなメディア、ほぼ日とかCINRAとかもA、B、A、Bが主題にあるから好きなんですか?

くいしん そうですね。

── 好きなメディアってくいしんさんが挙げているものがいろいろあって、何が共通するんだろうなと考えていたんですけど、そのA、Bなのかなと。本の趣味とかの話も思いました。

くいしん 中でも、CINRAやもとくらも普通のインタビューメディアだけど。A、B間のテンポの良さ、という意味ではほぼ日が圧倒的に良いと思うので。

── あれはどうやってるんですかね。

くいしん あれは本当覗きたいですよね、覗けるものであれば。

── どう編集して書いてるのか。

くいしん ただ俺は悔しいから絶対「ほぼ日の塾」には行かないっていうのは決めてます。

── 習わずに自分の道でやってやるぞと。

くいしん そこは我流で。

── 何ならもっと良い文を、良いA、Bを見せたると。

くいしん 良いA、Bで(笑)。人生の使命がそれだと最近は考えてます。A、B、A、B、A、B、A、B、A、B、A、B……。

 

流通の妙の面白さっていうのはTwitterしかない

── A、Bを作って届けるんですね。その話はもっと深めたいんですけど、先に進んで。この1年的な話で、記事を書いたあと届ける部分があるじゃないですか。書いて終わりじゃなくて、ソーシャルで拡散とかLINEとかnoteとか、その辺でこの1年で発見とか、こうやると良いんだなとかってありますか。

くいしん 細かい気づきはいろいろあるんだけど。

── エゴサをよりするようになったとか。

くいしん エゴサはよりしてます。ウェブをやってる醍醐味ってそこだよねって思う気持ちは明確になったかな。1年半前はいろんな作業のひとつでしかなかったけど。編集・執筆だけじゃなくて、流通を自分でやれる。そこが楽しいポイントだよねっていうのはすごい良く思うし。既存の出版とか雑誌、書籍の世界と明確に違うのはそこだと思うので。

── 手紙よりは簡単にコメントもらえますよね、リアルタイムに。

くいしん そこはそう気づいたってくらいの話ですかね。あと何かありますか。たとえばこうとか。

── Twitterですよね基本的にくいしんさんが好きなのは。Facebookそんなに触ってないですよね、たぶん。

くいしん 結局だからさあ、流通の妙の面白さっていうのはTwitterしかない。

── 僕も普通にそう思ってます。

くいしん Facebookのいいね!とかシェアも面白いんだけど。なんというか、友達同士しかつながってないので。

── 人の流れで流れていく感じはありますね。

くいしん いきなり外の世界にバーンと出ていくみたいなことっていうのはあんまりない。

── 話題性とか記事の内容の面白さだけでっていうのはなかなかない感じがします。このクラスタに刺さってみたいな。

くいしん トレンドとかも含めて、Twitterの方が流通の妙、爆発感っていうのが。PVはFacebookの方が伸びやすいっていうのは常識だと思うんだけど、とはいえそこの広がり方の面白さはTwitterしかないっすよね。日本で記事を流通できるサービスってTwitter、Facebook、はてな、NewsPicksしかないと思うので。はてなとかNewsPicksみたいなものがもういくつかできたらそれはそれで面白いかなっていうのは思うかな。それは作りたいですね、漠然と。流通を担う仕組みサービスを自分ができたら面白いと思う。それは先の話、5年くらいの単位の話。

── A、Bができた上で。

くいしん A、BはA、Bで、自分のA、Bが流通しやすい。A、Bの究極系を作っていく。

 

雑誌からウェブへ移ったきっかけはmixi日記

── 仕事観の部分はさっきざっくり聞きましたよね。お父様が自営業で社長やってて。それが自分にとっての当たり前だと思っていたし、そもそもそんなにサラリーマン的な方面への興味を持っていなかった。独立精神を得たというのではなくて、元からそう。

くいしん そうっすね。ちなみに父親は全然おすすめはしてこないですけどね。しんどいし、周りで楽しく会社員やってた人の方が多いだろうし。自営業良いよみたいなことを言われたことは一度もないです。車でのその記憶だけで。テレビとかでなんとなくサラリーマンっていう言葉を知って、そうなのかなと思ったら、それとは明確に違うっていう回答が来たのでそれが面白かった、カルチャーギャップというかすごいインパクトがあったことではありますね。

── その観点からいうと、逆に会社に入った時期もあるんですよね。

くいしん 出版社に入ったのは、フリーライターになるために入ったんですよ。そもそも。お笑いを卒業した時点で、ライターになるために、放送作家とかも考えたんだけど。放送作家とかも本当に一部の事務所とかもあるけど、基本的にはみんなフリーなので。そもそも選択肢がフリー的なことしかなくて。でもそこに行くためには、今だったら多少違うかもしれないけど。

── ソーシャルメディアがある。

くいしん 当時は出版社とかで修行、普通に働いた上で独立するっていうのがパターンなんだなって。10年くらい前、2000年代半とか。それでいうと、ライブドア事件とか、ITバブルが超面白そうに見えてたっていう感覚もすごいある。

── それはあったんですね(笑)。

くいしん うん。もう一個はmixiなんですけど。mixi日記をやってたっていう。お笑いやめて出版社入るくらいまでの間、mixiを熱心に書いてて。その時点で、文章が面白いよねって。それまでは、読書感想文的な話で先生に褒められたことはなんとなくあるけど。

── うんうん。

くいしん 別にそこで超天才児だったりとか、表彰されて金賞だったとかそういうのはないんで。mixiをやってたときに、周りの友達からレベルで面白い、面白いって言ってくれる人がいて。あれは日記の世界、ブログと変わらないですよね。友達がつながってて、友達が読んでくれてとか。面白い、面白いって言われて。っていうのが原体験ではないけど、ひとつ重要なのがmixiですね。

── ウェブで書いてみて、面白いっていう反応がある。

くいしん A、B、A、Bの原点はネタ書いてたときで、ブログ、ウェブ記事、一人語りはmixiが原点ですね。そのときにめちゃくちゃ周りの人から褒められたし、絶対文章書く仕事したほうがいいよみたいに言われたのは、すごい思い出というか心に残っていて、今も重要なことですね。

── 文章でやっていくぞと。

くいしん そんなに当時思ってなかったかな。後付けの部分ももちろんあるけど。今思えばあそこではすごい肯定感、そこで認められたっていうのは大きかったなと。稀にあれコミュニティとか、mixiあんまりやってないか。

── やってないです。

くいしん 基本は友達同士でつながってるけど、申請してOKされればマイミクになれるんですよ。友達じゃなくても。田中元くんとかはmixiつながりで、ネットで最初にできた友達みたいな感じだし。文章が面白いからって言われるようになった最初のきっかけはそれがでかい。

── なるほど。

くいしん 俺は文章がうまいんだぞ自慢しかしてないんだけど(笑)。

 

「モテキ」のような音楽雑誌時代

── いやいや(笑)。そこの自信から、ウェブ系の文章を書き始めたわけではないんですよね。音楽の雑誌やってて、その後フリーになったんでしたっけ。

くいしん 芸人やってて、mixiやって、出版社です。出版社ではクズ中のクズだったし。めちゃくちゃだったんですよ、社会性がなさすぎて。

── 初めての会社体験。アルバイトとかはなかったんですか、出版関係なく。

くいしん 飲食店バイトとかそういうレベルしかない。文章に関わったことは全然ない。

── いきなりだと難しいですよね。

くいしん 出版社に入って、とにかく超激務で。入社して一週間で会社に泊まりました(笑)。9月1日から仕事始まって、9月7日くらいのはたしか泊まってた。

── カツカツだったってことなんですか。

くいしん カッツカツ。最初の数ヶ月は、取材もしてたけど、ひたすら書き起こしをしながら原稿書きまくって。

── 原稿にするまで。

くいしん 初月は、1日から12日までで20本くらい原稿書いてたと思う。300字400字とかもあるけど、短いものだと。めちゃくちゃいっぱい書いてたね。なんでそれができるかっていうと、寝ないで24時間書き続けたからっていうだけの話なんですけど。

── 激務ですね。

くいしん これは自慢でもなんでもなくて、。そうじゃない感じでみんなできたらいいねって心から思います。

── 書くこと自体は楽しかったけれども、働く環境はシビアすぎた。

くいしん うーん、そうだね。やってる内容も文句なかったし。当時の自分からしたら、サイバーエージェントよりもGoogleよりも入りたい会社に入れた、元々憧れてた雑誌に入れたって感じだったので。超ピンポイント、1社しか就活みたいなことを出してない。ピンポイントで応募して受かったっていうだけなので。「お笑いを挫折したときの挫折みたいな感覚あるんですか?」とか聞かれるけど、お笑いよりも雑誌を辞めたときのほうが挫折感は全然大きかった。

── それはなんの挫折ですか。

くいしん 普通に頑張ったのにできなかったなと。めちゃくちゃがむしゃらに頑張ったのに、失敗しちゃったみたいな感じで思ってた。

── でも回せてる人いるんですか、続いてる人は。

くいしん ほぼいないっすね。

── そうっすよね。

くいしん 俺なんて良い方だと思うんだよね。今ここまでこの世界に復帰できてるんで。

── キャリアがつながっている。

くいしん うまくいったというか、幸福な方だと思う。もっとダメで……。

── 全く違う業種とか、病気しちゃってとか。

くいしん 病気しちゃってとかの人もいるだろうし。あとは、入ってすぐなのに、「大川さん、ライブ来てくれてありがとうございます」みたいに言われるんです。これは業界がどうこうではなくて、自分がそこに違和感を覚えたってだけの話なんだけど。自分は何もなくて何もできないのに、いきなり社会に出て、芸人やってて遊んでてただけなのに、それこそ文学部とかで勉強してたらまた違う感想持ったのかもしれないけど、俺は本当にラッキーパンチ的にそこに入っちゃってるから。原稿が書けたっていうのと、面接をうまく切り抜けられたっていう、その2点しかないんだけど。社会経験もない中で、ちゃんとした大人の人がそうやってお願いします!みたいなことを言われることに対する違和感が半端じゃなかったですね。

── 急にめちゃくちゃ持ち上がっちゃったみたいな。

くいしん そうそう。映画の「モテキ」とか観ました?

── 見てないですね。

くいしん 主人公がフリーター、派遣みたいな。ドラマ版では派遣なんだけど、映画版になったらナタリーの編集部に就職したっていう。

── ナタリーが出てくるんですね

くいしん 音楽メディアの記者になって、俺音楽好きでカルチャー好きだっただけなのに、こんな仕事できてて最高ウェーイ!みたいになったりとか。タダでフェスとか入れて、去年まで金払ってきてたのに、タダで来れちゃってるよみたいな描写があるのよ。

── あー。

くいしん まったく同じ経験をしてて。ビジネスマナーの本とかもうちょっと読んだりすれば良かったんだろうね。

── 入っちゃったら時間ないっすよね。

くいしん マジでめちゃくちゃひねくれてたから、たぶん先輩とかにも言われてるんだよ。「お前ビジネスマナーの本読め」とか。会食とかでどういう風にするとか、先輩にお酒を注げとかそういうレベルで注意されたりとかして。

── あー、そういうのは。

くいしん でも「俺は、そんなの知らねー!」って思ってたんです(笑)。

── 知らないっすよね。

くいしん 「そんなの関係ねえ!」って思ってた。マジで、心から。俺はもう実力だけで突破してやるみたいに思ってた。今思えば本当にキチガイだし、そんなやつがいたら叱るよね(笑)。でも自分はそうでした。

── 僕もそうですね、お酒の席みたいなのは大学で学ぶっていうクッションがあったから、少しマシになった。

くいしん そうそう。大学って良くできてるよ。微妙に社会勉強ができるようになってて。

── 社会勉強させてもらってたなと、話聞いて思いました。

 

音楽雑誌後の低迷期

くいしん その後は、フリーランサーです、と言いつつ、フリーターとして過ごしてて。たまに個人でライティングの仕事を受けながら、1年くらいは貯金を食いつぶしてバイトしてた時期もあるしみたいな感じ。フリーター、たまに個人でライティング仕事をするフリーターみたいな感じ。

── その期間があって。その時期は、就職活動をしようとかっていうのはなかったんですね。

くいしん あんまりやりたいことが明確ではなかったから。さすがにだんだんお金なくなってきてどうしようってなって、一回、契約社員をやってました。

── もう少しお金の入る仕事を。

くいしん IT系の会社の、PC関連の仕事をしていました。

── その頃は、自分の気持ちはどうだったんですか。ぼんやりとしていたんですか、ムカムカしていたんですか、悲しかったんですか。

くいしん のんびりしてたね。2011年は6年前なので、25のときか。そこで初めて「クイシンコム」のドメインを取るんですよ。サイトを作ったりしようっていう風になる。その仕事をしてるとき。

── やってみようと。

くいしん インタビューサイトみたいなのを立ち上げようと思って。何本か公開したりしてたけど。でも当時、アドセンスやワードプレスにも出会うところまでもいかなかった。

── なくはなかったでしょうけど、まだ知らなかった。

くいしん そこまで浸透してなかったのかな。その時点でアナリティクスにもアドセンスにもワードプレスにも出会わなかった。

── どうやって作ったんですかそれは。HTMLとか。

くいしん 直也に作ってもらった。

── あー! なるほど。

くいしん 直也に作ってもらって、HTMLのテンプレがあって、自分でインタビュー部分はHTMLで流し込むみたいな感じ。

── 直也さんよくホームページのことご存知ですね。

くいしん あいつはもうバケモノクリエイターなので。当時からHTMLくらいは書けた。

── 「クイシンコム」が直也さんもいたこともあってできて、そこから活動を広げていくとウェブ制作っていう領域に出会って。

くいしん そうそう、それで丁稚奉公じゃないけど、web制作はちゃんといちど現場で学んでおきたいなと思って、中目黒の会社に勤めました。最初は茅ヶ崎から通ってた。1時間くらいかけて。で、中目に引っ越してきました、仕事続けます、その会社にいたのが2014、15年か。

── 14年入社。

くいしん Waseiが2016、17年だから、16の春までか。14の春から16の春まで。

── 丸2年くらい。

くいしん 働いてた。その期間は、ちょいちょいライターの仕事とか受けて、書いてた。2014、5年くらいに木村さんとかしもつーとかスズキさんとか鳥井さんとかその辺に出会った感じで。

── 14年のブログータンですね。

参考:ブロガー4人でトークイベント開催します!「ブログータン in 下北沢B&B ~ぼくたちがブログでは絶対書けない話~ 」 – 隠居系男子

くいしん うん。その時点で、次はメディアの会社に行こうと思って。次はそこそこちゃんとしたバリューのあるところに入ろうと思ってた。CINRAとか。

── そこも検討にあったんですね。

くいしん CINRAは上位で考えてた。鳥井さんには、CINRAかバーグハンバーグに入りたいと僕は思ってました、独立してもいいかなと思ってます、「でも、Waseiに入りたい!」みたいなことを言って。もし検討してもらえるんだったら入らせてくださいみたいな感じ。鳥井さんがメディアを立ち上げるか考えてた時期があって、手伝ってくれませんか、って誘われたんだよね。

── あー、そういう話ありましたね。

くいしん それがあったから、鳥井さんが一緒に仕事してくれるというか、仕事のパートナーとしてアリだなとは思ってくれてるんだなっていう前提はあったので。

── 提案してくれるんだったら、可能性はあるかもしれないなと。

くいしん そうですね、あざといことを言えば。それもあってっていう感じですよね。で今に至ると。

── お笑い音楽雑誌があってフリーの時期があって、ホリエモンとか藤田社長とか見て少しITの方面になんとなく興味を持って、パソコン関係の仕事について。

くいしん もう一個言うと、雑誌を辞めた時点でナタリーとかほぼ日が好きなメディア、ウェブメディアとして認識してたからっていうのはある。それは2009とか2010だから、出てきてブレイクするかどうかみたいな。

── ウェブ自体は見ていて。そしてサイトの制作、ウェブ制作となって、メディアの書く部分、作る部分に。Waseiの中であえて言うとすれば、特にインタビューというか、A、Bの部分なんだみたいな話。広いところから、自分ってこうなのかなと絞り込まれていった。

くいしん 得意分野が見えていったというか。

── いやあ。面白いですね。聞いてて、柿次郎さんがバーグのシモダ社長に引っ張ってもらったみたいな話を思い出しました。

参考:夜逃げ、ヤミ金、改名…理不尽スパイラルから救ってくれたのはインターネットだった。徳谷柿次郎の原点 – CAREERHACK

くいしん そうですよね。僕は完全に、柿次郎さんと鳥井さんにフックアップしてもらってるので。

── 人で仕事するみたいな部分、今はそうだって言ったじゃないですか、そういう部分ができあがったのは、鳥井さんとの出会いとかその辺からになるんですか、時期的には。もう少し前からあるんですか。

くいしん いやあー、会社というブランドとか、一流企業に入りたいみたいな感覚がマジで一回も抱いたことがないからよくわかんないっていう感じかな。

── あー。

くいしん 普通は会社のブランドとか、安定した職業とかいうものに惹かれたりするわけでしょ。大きい建物で働いてカッコイイとか。知美さんもそういう風に言ってた、大きい会社で働いてみたかったみたいな。キャリアウーマン、できる女みたいな感じでバシッとした格好で仕事するみたいなのに憧れてて、私はそれを最初選んだんだと言ってて。その感覚っていうのは今となってはわかるけど、そもそも芸人とかやってたくらいなので、そういう感覚がマジで抜け落ちてました。

── そもそもそういうのがあんまりないんだ。

くいしん 芸人自体が「人対人」しかないし、出版社も編集長が好きでとか、媒体が好きももちろんあるけど、中の人が誰と誰と誰って外から認識して入っているから、その時点で人でしか選んでない。この人と仕事したいって感覚でやってるから。なんつうかな、そういうタイミングなかったんだろうね。会社で選ぶとか職種で選ぶとか。

── なるほど。

くいしん ナチュラルボーン人選び人間ですね。

── お笑いの時点でそうなんですね。強いて言うとすれば高校か。高校も割と面白い人に出会いそうみたいな目線ですよね。

くいしん 工業高校で、ちょっと悪い高校だったので、そっちに行ったら面白いんじゃないかっていうのはありました。

 

── 仕事の話はだいたい聞けましたかね。

くいしん 仕事結構好きなので、仕事ずっとしちゃうんですよ。今でもすごい気をつけてるんですけど。仕事をすること自体は、ライティングとか好きなことであればずっとできちゃうから。ずっとやってると体が疲れるから。っていう意味でも、学びを。生活の中に織り交ぜたいという気分はすごくある。

── それで思ったのが、会社と個人事業主の違いというか、会社をもし立ち上げるとしたら、くいしんさんって経営者になるわけじゃないですか。そうするともしかしたらA、Bから離れうるわけじゃないですか。そこどうなんだろうな。ずっと個人で行く路線か、あるいは会社をやるんだ、そこは現時点ではどう見てますか。

くいしん 会社を作ってから、プレイングマネージャーになるのか、経営者になるのか。コンテンツを作る側もやりたいのかみたいな?

── そうです。

くいしん 自分では、やらなくて良いと思ってるんですよ。自覚は。コンテンツ作りをやらなくても良いと思ってるんだけど。「やった方が良いですよ、そこから離れられないですよ」みたいなことはちょいちょい言われるので。

── (笑)。

くいしん 鳥井さんにも言われたことあるんですけど。そうなのかなっていう暗示にかけられてるのか、そうなのかなっていう気持ちも強い。それこそ糸井さんみたいなイメージというか。糸井さんはコンテンツをずっと作ってる人なので。そこはCINRAの杉浦さんとかではなく、糸井さんがロールモデル的というか、そっちの方がイメージが近いかもしれないです。

 

どんな人とチームを作りたい?

── 会社を作るとしてチームを組むわけじゃないですか。どういう人に声をかけていくとか。

くいしん 全然考えてないですけど。まず手を挙げてくれた人みたいなイメージです。

── 募集をどこかに出して。

くいしん 手を挙げてくれた人ということで考えてます。どんな人か。ざっくり言うとカルチャーっぽい人ですかね。暮らしっぽい文脈というよりは。

── カルチャーありますよね。くいしんさんの言うカルチャーって、まだ僕飲み込めてないところがあって。CINRAとかもカルチャーですよね。

くいしん 3か月くらい経ったら、次回はカルチャーの話を(笑)。

── 文化の話はそれは深い話なんだけど、また後で。

くいしん それは今考えてるテーマなので。もっと輪郭がきれいに見えたら始めたりとか法人化とかするかもしれない。やりたいことをもうちょっと明確に探るっていうのもあります。一回個人でやるというのは。あとはアシスタント募集したいですね。

── 確かにそういうところでだんだん。

くいしん どういう人っていうのはあんまり。インターネット感覚がある程度ある人とか、そういう条件はなんとなくあるかもしれない。Twitterやったことないですみたいなのはちょっと。それくらい。

── それで手を挙げてくれた人。

くいしん 木村さんとか近くにいる人で。一緒にできるように。あとは正社員みたいな話かどうかわからないけど、編集以外の人とも一緒にやりたいというのはあるかもしれない。デザイナーとかエンジニアとか。

── ああー! はいはい。

くいしん 編集者ばっかりだとどうしても。一旦編集者が4-5人集まっちゃうと、編プロ的なお金の回し方にはなってしまうと思うので。そこはできるだけ柔軟に考えたいと思う。麦わらの一味じゃないですけど。音楽家、料理人、みたいな。それくらい柔軟に考えたいという気持ちはある。

── 違う毛色の人をどう集めるかですよね。

くいしん 逆に言えば編プロとか編集者集団とかライター集団にはならないようにしたいという気持ちがむしろある。

── それは面白いですね。

くいしん 会社をやること自体がいつになるかわからないし。やらないかもしれないですからね(笑)。それは自分の気持ちも、フリーランスの間に見極めたいというか。

── 一旦ひとりになるとまた感じ方が違うかもしれないですね。

くいしん フリーランスをやる感じなのか、やっぱりちゃんと手伝ってくれる人がいてチームがいてなのか。フリーランスの期間を一回挟むと、そっちに対して確信も持てると思うので。っていう感じですかね。その辺で学んだりとか、人と一緒にやるみたいな方向に行くなと思ったらそっちに行くっていう感じですかね。

どのタイミングにせよ、さっきの会社員になるか独立志向かの話じゃないけど、起業っていうか、別に商いだと思ってるので。自分で商売をやる。会社の商売を手伝うのが会社員で、自分で商売をやるのが自営業っていうもので。そこに対してはフラットに、ただ自分の商売を自分で作りたいからやるっていうだけの話で。それ以上でも以下でもないよねっていう感覚はある。これからの時代、そこの壁がどんどんなくなっていくことが面白いんじゃないのと思ってるので。Huuuuもそうだし、cocowaもそうだし、Waseiも半分くらいそうだけど。働き方、雇用形態としては半社員半フリーランスみたいな形でやるとか。

── 本当にそうですよね。

くいしん それは一個の流れだと思うので。アシスタントとか一緒にやる人、会社に入りたいっていう人が現れたら会社にするし。自分で会社にした方がいいなっていう、事業先行ですね、これをやるからこれだけ人が必要で、じゃあ会社やりたいってなったらやるっていう。

── それ次第ですよね。

くいしん そんな感じですね。

── まずは個人事業を挟んで、そこから何か始めるかどうかってことですよね。

 

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くいしんの言う文化とは?

── カルチャーの話はまた今度がよいですかね。

くいしん 文化ですよ、一番大切なのは。自分が信じるべきもの、鳥井さんにとっての「暮らし」が僕にとっては「文化」なので。それはここ半年くらいで気づいたなあ。なんでかっていうと、たとえば世界を世の中を変えてきた、人類を進歩させてきたのって、テクノロジーじゃないですか。

── はい。

くいしん だからみんなテクノロジーっていうんだけど。テクノロジーって、テクノロジーだけだと意味がなくて。堀江さんとかがロケットを、ちっちゃいロケットをいっぱい飛ばして、誰でも宇宙に行けるようにしたいみたいなことを言うじゃん。それって何かって言うと、テクノロジーが生まれた瞬間がすごいんじゃなくて、そのテクノロジーをみんなで使えるようになった瞬間がすごいっていう話で。インターネットが最初は戦争のために発明されたみたいな歴史があるとしても、それが世の中に広まった瞬間、Windows95が出たときとか、スマホ、iPhoneが出たときとか、そういうタイミングが重要なわけで。

── 誰もが手にしたタイミングが重要。

くいしん そのときに何が起きてるかっていうと、文化になったときってことなんです。テクノロジーだったり、何でもいいんだけど何かが定着した瞬間がすごい大事で。みんなが出てにいれるようになった瞬間とか定着することっていうのが大事で。その定着することが何かっていうと、文化になるっていうことで。本当はテクノロジーを作ることよりも、そのテクノロジーが文化になる、定着する瞬間が一番大切というか。そこが自分はそ好きなポイントなんだよね。それを一言でいうと、文化になったとき。みたいな認識ですね。

── そこを僕もやりたいっていうのはありますね。

くいしん 言葉として今の言い方であってるのかどうかは考えてるところではある。そういう意味で文化を作るっていう。Twitterとかも、Twitterっていうサービスが出来上がった瞬間がすごいんじゃなくて、それがいろいろと、Twitterの場合は音楽系から火がついたので、音楽文化に貢献したとか。音楽の話をTwitterでするっていう文化が生まれたとか。そっちの方が。

── すごいこと。

くいしん すごいことなので。そういう意味で文化を作るという風に言ってますね。それが文化人類学なんじゃないかという話もあるかもしれないけど。それをやろうとしてます。

── 小倉ヒラクさんもよく話している話なんですけど。岩波文庫ってあるじゃないですか。白くて青い色で、古典の本とか文庫本にして売ってるっていうところで。そこの立ち上げをした岩波茂雄さんが、どの文庫本の最後にも必ずメッセージがあって。それで書いてあることは、学問というものを大学の中に閉じ込めるんじゃなくて、みんなに届けることが大事なんだと。そのために岩波文庫を立ち上げるんですって言ってるんですよ。まったく同じだなあと思いました。

参考:読書子に寄す――岩波文庫発刊に際して―― – 青空文庫

くいしん そうですね。最初の話につながるというか、学ぶとか学問というテーマで木村さんがやってるのはすごい面白いなと思ってるし。だからこそそれをみんなの手に、みんなにわかりやすいように、そこで「文化化」していくのが面白いんじゃないか、自分が好きなポイント、魅力的に思うところなので。それをやっていきたいですね。かなりいい感じにまとまったんじゃないですか。文化を作るっていうテーマで。もちろん自分たちで作るのもそうだし、手助けをしたりとか、残したいと思ったものを残すみたいな。

── あー、伝統を残す的な。

くいしん 残したいと思ったら残すことを手伝うかもしれないし。

── 作りたいと思ったら作る。残すっていうことでも、作り変えるとか、新たに作るみたいな目で見れば作るの枠組みですよね。

くいしん そうだと思います。残す、よりもつくる、のほうが興味があるところではあるから。っていう大テーマに向けて、インタビューだったり、インターネットに軸足を置くとか、そういういくつかのツール、武器、手段があればいいなという感じです。そんな感じで。第二回は文化について掘り下げるという感じで、「クイシンコム」でやりましょう!

 

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