どうも、木村(@kimu3_slime)です。
最近、TwitterでSCP-173(彫刻 オリジナル)の話が広がっているのを見かけます。
今回は、SCPとは何か全く知らない人でも、その元ネタがわかるように解説していきます。
https://twitter.com/suzuta79461/status/955736881462849536
SCP-173(彫刻オリジナル)の元ネタ・SCPとは
「ねこですよろしくおねがいします」の元ネタは、SCPと呼ばれるクリーチャー作品群・ホラー作品群です。
「SCP財団」というホームページ上で、不特定多数のネットユーザーによって世界観が共有され、作られています。都市伝説の集まり・妖怪図鑑をみんなで楽しむようなもの、と言えばイメージしやすいでしょうか。
SCPという言葉は、「SCP財団」上で生み出された生物(クリーチャー)も指しています。
例えば、「ねこですよろしくおねがいします(SCP-040-JP)」は、動画サイトやTwitterで見かけることが多い生き物(?)です。
本来は、井戸小屋に閉じ込められ、見えないようにされているねこ。それを見てしまった人は、「ねこがいる」という観念にとりつかれ、さまざまな場所でそのねこの存在を報告するようになってしまいます。(というネタ・設定です。)
画像引用:ねこですよろしくおねがいします
参考:「ねこですよろしくおねがいします」の元ネタ・SCPとは?
SCPを記述する文章って、どうも事務的で、読みにくいんですよね。初めて読む人が困惑するポイントだと思います。
読む上で押さえておきたい最低限のポイントを紹介します。
SCPの世界には、SCP財団と呼ばれる組織があります。Secure(確保)、Contain(収容)、Protect(保護)でSCPです。危険な存在であるクリーチャーたちを管理しようとする集団が、SCP財団ですね。
ホームページ「SCP財団」の個々のページに記述されているのは、SCP財団の職員向けの解説です。
・それぞれのSPCには、SCP-173などのアイテム番号が割り当てられます。
・収容するための難易度に応じて、おおまかに3つのオブジェクトクラス(Safe、Euclid、Ketel)が割り当てられます。(参考:オブジェクトクラス – SCP財団)
・SCPの取り扱い方は、特別収容プロトコルとして記述されます。
・「説明」の箇所では、そのSCPの起源、これまでに行ってきた実験、得られた結果が記されています。
メタな視点で言えば、「アイテム番号・オブジェクトクラス・特別収容プロトコル・説明」をセットにした文章が、設定上のSCPクリーチャーを生み出しているんですね。
「もしこんな生き物がいたら、どうやって対処すればいいのだろう?」という発想を、「SCP財団」の中で繰り広げているわけです。個々のSCPのページには、数字によるプラスマイナスの評価があるので、人気のあるキャラクターを作ろうと日々努力が重ねられています。
SCPの概要を知りたいなら、SCPの解説動画を見るのがいいかもしれませんね。
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彫刻 オリジナルの元ネタ・SCP-173とは?
SCP-173は、生きており、人間に対して敵対的な彫像です。
「彫刻 オリジナル」と呼ばれています。英題は「The Sculpture – The Original」。
画像引用:SCP-173 – SCP財団
(C)”無題 2004″ 加藤泉,Keisuke Yamamoto
この彫像から一瞬でも目そらすと、頸部を断ち切ったり首を絞めてきて殺されてしまうのです。めちゃくちゃ怖い。
……という設定を、SCP-173の元ネタとなった画像を見た4chan(海外の画像掲示板)ユーザーは考えたのです。
全てはSCP-173から始まりました。出任せで一発ネタに過ぎないcreepypastaでしたが、それは多くの人々に影響を与えました。やがて他の投稿が現れ始めました。そしてある日、誰かがそのためのwikiを立ち上げたため、最終的にそれらが全て4043になってしまうことはありませんでした。/x/時代のSCPは未だ若く、The Holders4、Ted the Caver5、Treedog6、一昔前の/x/におけるその他の戯文もまた非常に新しく、まともなものでした。- DrGears
/x/とは、4chanのランダム掲示板内にある超常現象板のこと。
ホラーゲームに出てきそうな彫刻画像を見た4chanユーザーは、SCP-173という名前を与え、報告書の体裁でネタにしました。
そしてSCP-173のスタイルを真似して報告書を作るユーザーが現れ、それがWikiとしてまとめられていった結果が、SCP財団(SCP Foundation)となったのです。
(日本語版ページSCP財団は、本家の翻訳と日本独自の文章が合わさっています。)
ちなみに、SCP-173(彫刻 オリジナル)の元ネタとなった彫刻は、「無題2004」と呼ばれる作品です。
作者は加藤泉さん。海外の画像掲示板で話題されていましたが、製作者は日本人だったんですね。
さびれた雰囲気の写真を撮っているのはKeisuke Yamamotoさんです。
この彫刻、およびその写真は加藤泉さんの了承を得てSCP財団のページに掲載されています。
注意: SCP-173は加藤泉氏の作品である”無題 2004″およびその写真を二次利用して生まれたものです。SCP-173のコンセプトは元作品である”無題 2004″のコンセプトとは全く関係ありません。
この彫刻及び写真はクリエイティブ・コモンズライセンスの元では公開されていません。記事の文章のみがクリエイティブ・コモンズライセンスの元で公開されています。いかなる場合においても、この彫刻および画像を営利目的で利用してはいけません。加藤泉氏は”無題 2004″の画像の利用を、非営利に限るという条件のもとでSCP Foundationおよびそのファンに対してお許しくださいました。これは加藤泉氏のご厚意によるものです。
詳しくは「ライセンスガイド 」もご覧ください。
注意したいのは、「SCP-173のコンセプトは元作品である”無題 2004″のコンセプトとは全く関係ない」ということ。
美術館に展示されていた「無題2004」がテレビにが映ったことがきっかけで、「これはSCP-173だ!」と話題になっているようです。
参考:SCP-173の元ネタ、『無題2004』が静岡県立美術館で展示中! – Togetter
SCPを何らかの形で知った方へ
この文章だけは読んでいてください。SCP財団というコンテンツの存続自体に関わることです。
そして「無題2004」そのものをSCP-173と呼称するのは冗談でも無礼だと捉えられます。
SCPに入ってくるなと言う気は到底ありません。ただ少しの知識と良識は持っていてください。 pic.twitter.com/zpHLYr0yWR— ウェスティン (@westplain248) January 24, 2018
「SCPだ! 気をつけろ!」とネットでSCPネタを楽しむのは問題ないと思います。
ただし、「無題2004」の展示や、加藤泉さん本人に迷惑をかけないように気をつけたいですね。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。