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友達をもたずにいられたのは、ネットコミュニティのおかげだった

どうも.@oily_slime です.

今回は,僕の人生を振り返りながら,インターネットをきっかけとして出会ったコミュニティとの関わりを明らかにしてみようと思います.

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友達がいなければインターネットにコミュニティを紹介される

人間嫌いのぼっちが人間に関心をもつようになった経緯で,僕には友達と思える人がいなかった話をしました.それを思い出して,次のようなツイートをしました.

思い返してみれば,友達をもたずにいられたのは,インターネットがもたらしてコミュニティのおかげなのではないかと思い当たることがいくつかあります.それを明らかにするため,最近のことから,昔のことへと振り返ってみます.

 

ブログを書く習慣を与えたものは

僕は今,このようにブログを書いています.少し前にもブログをやっていたことはありましたが,今このブログをやってみようと思っているのは,本,Twitter,Evernote で手に入れ,培った考えのおかげです.本を読む量が増えたのは,読書メーターを知ったことによるところはあると思います.Twitter と Evernote は,大学のサークルで出会った友人の紹介で知り,使い込むようになりました.こうしたサービスは,自分自身の力で見つけたわけではありませんでした.インターネットを日常と関連させて用いるようになったのも,大学でそうしている人たちが多かったということに影響されていると思います.

大学やサークルは,僕が友人と思える人を見つけるため,より主体的にインターネットを利用するためのコミュニティを提供してくれました

2ちゃんねるやまとめサイトを利用して受験勉強をしたら成績が伸びた

僕は,群馬県の公立高校から,都内の大学へ進学しました.その学校の学力レベルに対しては,高いと言える大学へ進みました.高校は,学力的には県内中位から上位の学校で,偏差値順で言えば他に10高くらいが上位校としてありました.高校は市街地からは離れていて,川と田んぼに囲まれています.通っている人は,近所だから通っている人か,山のほうから1時間くらいかけて電車で通っている人が多数でした.

高校では,地元の大学へ進学しようとする人が目立ちました.今年の大学合格者データを調べたら,4割ほどが地元の大学へ合格していました.高校の同級生を見ていて感じたことは,学校や親によって生徒が地方に縛られているように見えたことでした.進路決定においては,地元の大学や職場を学校や親が進めていて,地元に居続けることがデフォルトでした.同級生の頭はそう悪くはなさそうなのに,親や学校への従順さゆえに,頭を使う可能性を減らしていっているように見えました.家を守るとか,一人暮らしへの心配や,地元を離れて暮らすことはできないといった経済的なものもあったのでしょうが.その点,都内の大学へ進むことを許してくれた家庭環境には恵まれていました.

僕が同級生を従順であると思えたのは,中学のときの同級生と比べて態度が良かったというのはありますが,インターネットで情報を仕入れていたからでした.

受験シーズンである高校3年生になると,学校は,朝補習,模試,宿題などを増やし,生徒が勉強するように仕向けます.その教材は,教科書併用のものや,センター試験対策を視野に入れたものでした.学校で配られたテキストは,あまり良い質のものではなく,使っていても勉強になる気がしないものでした.僕は,受験勉強をはじめるにあたって,2ちゃんねるや受験勉強のテキストを探して, Amazon で買っていました.受験勉強をしてみると,学校の授業のペースでは,数学IIIC,物理II,化学IIを学び終えるのが遅すぎることがわかり,授業中は自分で選んだテキストをこっそりと自習している時間と化しました.地元の大学や私立大学は,筆記試験よりもセンター試験の方が配点が高いところが多かったので,数学IIIC,物理II,化学IIといった筆記でしか使わない科目へのサポートは少なかったのです.大学で進学校出身の学生の話を聞いて,高校2年生で受験科目の大半の勉強を終えていることが多いことには驚かされました.センター試験の対策も学校ではあまりしていないということも驚きでした.

大学受験にあたっては,まとめサイト,参考書紹介サイトを徘徊していたことや,2ちゃんねるの大学受験板などを購読していたことが役に立ちました.いわゆる学歴厨というものや,大学ごとの文化の差がわずかながら感じられて,大学生といっても多数はこんなもんかもしれないなという感覚が得られました.地元というものの小ささも考えさせられました.参考書紹介サイトや2ちゃんねるがなければ,高校のレベルから離れた大学へは進学できなかったでしょう.自分に合わないテキストしかなければ,勉強する気になれなかった可能性さえあります.

また,これはインターネットとは関係がありませんが,オープンキャンパスに行ったり,校外模試を受けてみたことも,地元を離れるきっかけを与えました.オープンキャンパスによって,大学ごとの学生の層の違い,交通の便など地理的特性というものを意識して進路を選択することを意識するようになりました.校外模試では,自分の高校より上位の高校にいる人の様子が垣間見えました.大学名オープン,プレ,実践と呼ばれる模試では,受験者層がより静かでオタクっぽくなり,こういう人たちがいるところに行けたら穏やかに過ごせるかもしれないというあこがれをもたせてくれました.

外部コミュニティとの接触が,学校あるいは地元のコミュニティへの疑問をもたせる直接的なきっかけとなっていたことに気づかされます.

 

インターネットで話題となっているパソコンゲームが自然と僕をコミュニティへと導いた

ネットで情報を仕入れると書きましたが,これはネットを使い始めて1日目の人ができるわけではありません.ネットには胡散臭い勉強法のサイトもありますし,2ちゃんねるにはいい加減な情報がたくさんありますし,取捨選択する力,リテラシーが身についていることが必要です.そもそも,2ちゃんねるや情報サイトといったものの存在を知っていなければなりません.

僕が受験勉強をする時点でそのことを知っていたのは,あるゲームを好きになってやりこんで,そのゲームのコミュニティを通して,匿名掲示板や情報を仕入れていたということによっています.家庭や学校の教育によるものではありませんでした.

僕は,中学生くらいの頃に,同人サークル 東方Project の弾幕シューティングゲームを知り,ゲームをやりこんでいました.初めはプレイしているだけでしたが,やりこむにあたり記録を残したくなって,やがてブログ(受験勉強の時に止めた)にそのことを記録するようになります.

単なるクリアではなく,やりこみの領域に入ると,一人で上達することには限界があります.スコアアタックであれば,手軽にできる稼ぎポイントとそのやり方を知っているかどうかによって,スコアに何倍もの差がついたりします.ミスを減らして上手にプレイすることに挑戦するにしても,他人の攻略方法を参考にすれば簡単に切り抜けられる場面があります.東方Project のゲームは,プレイヤー層が多いこともあって,コミュニティが発達していました.特に,ゲームプレイに関するものでは,東方攻略wiki, スコアボード,攻略スレのある匿名掲示板といったコミュニティの存在が大きいものでした.

 

見るコミュニティから参加するコミュニティへ

僕は,それらの情報共有媒体を利用して,自分のプレイを改善したり,考察したりして,ブログに記録していました.東方アンテナという,RSSを利用して東方プレイヤーのブログの更新情報をまとめてくれているサイトがあったおかげか,僕とブログと同様のスタイルでプレイ日記をしている人が増えてきたことがありました.自分で何かしたわけでもないのに,同志が増えた感覚がして嬉しかったです.

ブログ以外の活動としては,攻略スレに入り浸っていました.一時期,東方攻略 wiki が編集不可能になっている時期がありました.wiki は攻略スレの内容の転載を中心とした記述になっていて,wiki が編集不可能ということは,掲示板への書き込みが蓄積されずに流れるということを意味していました.

僕はそれを大きな無駄だと感じて,編集不可能状態の wiki の管理者とコンタクトを取り,攻略スレで告知をしながら,新しい wiki を作りました.wiki は,東方 Project 攻略 wiki という名前に変更しました.旧 wiki の記事は,攻略スレの転載が中心で,スレに書き込みのない場面は空白になっていました.そこで,場面ごとの記述は wiki 編集者が書いてまとめるような形にして,スレの書き込みは端に残しておくようにしました.そのテンプレートは普及し,今でも残っています.ただし,wiki を作ったのは良いのですが,その後の管理を無断でサボってしまいました.1年ほど前,そのことを指摘され,別の方が運営しています.

こうして振り返ると,インターネットで話題になっているゲームをやりこんでいたことが,2ちゃんねるや wiki というものを知り,情報収集,その検討という習慣を身につけることにつながっていたことがわかります.

東方Project のゲームを知ったのは,それまでのネットコミュニティによるものでした.東方を知る前は,ダンシングおにぎりというFLASH音ゲーやメイプルストーリーというMMORPGをしていました.ダンシングおにぎりでは,東方の音楽のアレンジが使われていて,そこで興味をもちました.メイプルストーリーというMMORPGでは,東方のゲームをしている人と出会って,MSNメッセンジャーで会話をしたりしました.

ここまでの話は,中学生から高校生の頃の話です.その頃,パソコンでゲームをしていて,ネットを使っている同級生はあまりいませんでした.ネットの話を同級生とすることはありませんでした.ゲームもネットも家にあって,それを使うことが許されている家庭であったのは,僕の人生に大きく影響を与えていたのだと思います.

 

自分自身の意思ではないものも自分の人生に大きな影響を与えている

友達のいなかった僕に,ローカルなコミュニティとは別のコミュニティを紹介してくれたのは,インターネットのできる家庭環境と,そこで出会うコミュニティでした.それがなければ,ブログを書いてみるというインターネットへの主体的な関わりもしなかったでしょうし,今住んでいる場所も都内ではなく地元で,進んでいる大学も違ったものになっていたでしょう.

インターネット,それのもたらすコミュニティの出会いが,いかに人生に影響を与えてきたか.皆さんもこの機会に,振り返ってみてはいかがでしょうか.

 

補足

ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法