ネットでたくさんの無料教材が手に入ることを、いくつかの記事で紹介してきました。
無料で誰でも利用できる教材を利用した教育を、オープン教育と呼びます。
どうしてこうしたオープン教育は増えてきているのでしょうか?
大学は、どうしてオープン教育を提供するのでしょうか?
オープン教育に興味をもつ人向けに書かれたオープンエデュケーションという本を参考に、まとめてみます。
教育機会を拡大したい
教育機会を拡大するのが教育機関の使命の一つであるから、オープン教育を進めようという考えです。
発展途上国では、教材が高く、不足しています。無料で教科書と同等の教材が手に入れば、学ぶ機会は増えるでしょう。
また、国によらずとも、大学に通わずに大学の教育を受けたい人もいるでしょう。やる気のある高校生や社会人。経済的・地理的な理由から、大学へ進学したいけれどもできなかった人。
オープン教育は、新たな教育機会を提供します。
新たな広報活動
オンライン教材を公開していれば、高校生や社会人、外国の人にも大学を知ってもらうことができます。
オンラインで授業体験ができたら、広報、オープンキャンパスの代わりになりますね。
より良い授業形態に
- 学習履歴がデータとして残るので、教材の評価や改善に使えます。
オンライン講義を行い受講者が増えれば、修了率や回答率などのデータが残ります。どんな授業設計が良いか、ネット広告と同様にテストを行うこともできます。
- 反転授業
これまでの授業は、講義をまず受けて、その後家で復習をするという形式でした。オンライン講義を用いれば、もっと効果のある教育ができるのではないか。講義は授業前にオンライン講義で終わらせて、授業は対話やディスカッションをすることにしよう。そうした、反転授業( flipped classroom )と呼ばれる授業形態も提案されています。
教育活動の効率化
電子教材を作れば、教材を繰り返し用いることができるので、教育者の負担が減ります。
一度オンライン授業をつくれば、各受講者はその授業を受ければ良いので、講師は実際に行う講義の回数を減らせます。15週講義を行っていたのが、8週分はオンライン講義、講義を行うのは7週だけ、ということもできるでしょう。
まとめ
教育活動の効率化や、広報などの目的は、本を読む前からそれとなく予想できることでした。
ですが、「大学の教育をより良くし、より広い人に届けてゆきたい」ということは、当たり前すぎてあまり考えが及んでいませんでした。
オープン教育における収益モデルはまだ確立されておらず、活動が継続していくかは現時点ではわかりません。教材の作成には、著作権の問題もあり手間がかかります。
それでも、オープン教育は、教育の質を高め、教育への敷居を下げるという可能性を秘めています。学びは僕らの生活の基本です。より良い教育の機会が、誰に対しても与えられますように。