どうも、木村(@kimu3_slime)です。
今回は、SNS時代におけるネットリテラシーの話をしたいと思います。
僕は、木村すらいむという名前を使っています。すらいむはネットのハンドルネームで、ネットは僕にとって人生の半分なので、名前として入れ込んでいるのです。
でも、インターネットの価値は学校や大人に教えてもらうことがなかったなという話がしたいのです。
インターネットは学校教育においてリスクとして見られている
まずは、僕自身がインターネットにどう触れていったかを短く紹介します。
僕は1992年生まれです。小学5年生あたりで、家にiMacとインターネット(ADSL)がやってきました。家でも割と自由にパソコンを使わせてもらっていたと思います。そして、ネットで好き勝手をして痛い目を見る中で、自然とネットの危険さ・便利さを学んでいきました。中学生・高校生の頃に自分でブログをやっていたことが、今の自分の原点ともなっています。「子供の頃は自然の中で走り回っていた」のと同じような感覚で、ネットの海を泳ぎ回っていた、ネット野生児です。
小学校高学年の授業ではキータイピングを習いました。中学・高校では、2003年に始まった情報という教科がありました。しかし、先生がパソコンに詳しいようには見えず、授業であまりインターネットに触れた記憶がありません。学校には、パソコン室が一応あり、1人1台は用意されていましたが、スマートフォンは普及していなかったような時代ですね。
当時の空気感として、パソコン・インターネットを使っている=オタク、あるいはあまり健全ではないという空気感がありました。「ビジネスでパソコン使うよね?」という感覚はまるでありませんでした(今もそうなのかな)。新しい技術が普及していくことによる不信感が根強かったと思います。今で言えば、スマートフォン・SNSに対して、同様の不信感を持っている学校・親はいるのではないでしょうか。
実際、東京都教育委員会の資料では、ネット・スマートフォン・SNSは、「トラブルを起こすもの」として扱われているように見えます。
画像引用:平成25年度インターネット等の適正な利用に関する指導事例集・活用の手引 – 東京都教育委員会
「ルールを決めているか」「利用時間が多いか」という設問には、「ルールを決めましょう」「利用時間はほどほどにしましょう」という考え方が見えます。
また、「スマートフォン等の使用時間と学力の関係」は露骨なグラフです。この表が意図するところは、「スマートフォンを使うと学力が低下しますよ」ということでしょう。「相関関係があるだけでは、因果関係があるとは断定できない」というのは統計学の基礎知識ですが、それが理解されていないように見えます。まあ、こういうグラフは残念なことにありふれていて、教育委員会に限ったことではないのですが、教育をする立場の人がこういうデータの使い方をするのは悲しいです。少し昔も、「ゲーム脳」という言葉が流行りましたし、保守的な人が反発する気持ちはわからないでもないのですが……。
まとめると、ネットに対して、学校・親には次のような考え方が傾向としてあります。スマホ、SNSはできるだけ使わないでほしい。使うにしても、ルールを決めて親・学校の目の届く範囲のところでやってほしい。学校非公式サイトはいじめにつながるおそれがあるから、監視しておきたい。
「インターネット=リスク」になっているんですよね。
ネットを使うリスクと、使うリターン
確かに、ネットをあまり使わない人にとっては「インターネット=リスク」という考え方になるのはもっともなことです。使わないと、メリットには気付きようがありませんから。そして、教育の内容を決めるのは、親や学校の世代なのです。
僕は、この状況はあまりに一方的だなと思います。もちろん、学校でネットを使うリスクを教えるのは良いことなのですが、パソコン・ネットに慣れ親しむことによるリターンも教えてほしいと思います。
最近、「PCを使えない学生が急増」というニュースがありました。
内閣府の「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」を見ると、中学生までの「PCを所有している率」が諸外国に比べてかなり低い結果になっている。海外先進国の中学生の80~90%が自分のPCを所有しているのに対し、日本は約30%しか持っていないのだ。
引用:「PCを使えない学生が急増」の問題点 (1/5) – ITmediaビジネス
パソコンを使えることは、今の時代の仕事において有利になります。Word、Excelは使えるようにしましょうという話はありますよね。DTP(DeskTopPublishing)という言葉があるように、紙の書籍を作るためにもパソコンを使います。どんな仕事に就くことになっても、パソコンやネットに関わらないということは少なくなってきています。
総務省によると、情報通信産業は国内の全産業の中で最大規模の産業になっています(平成24年時点)。このことを認識している教育者は、どれくらいいるのでしょうか……。
画像引用:市場規模(国内生産額) – 情報通信白書 – 総務省
これは個人的な話ですが、僕はネットから大きな恩恵を受けています。ネットで参考書を探したことで、受験勉強が楽になりました。大学選びも、「東京工業大学に合格するためのスレッド」というにちゃんねるの掲示板があったことがきっかけです。ブログとの出会い、就職活動、フリーランス、高知に引っ越すのも、ネットを使っていたからこそ得られたものです。ネットを通した人との出会いは、僕の財産です。
参考:「教わる」つまらなさよりも、「学ぶ」楽しみを。 文脈ゼミの手引きその2
「ネットでの出会いが危険である」という考え方は、僕には疑問です。ネットはそんなに一枚岩で語れるものではありません。匿名掲示板とSNSとトークアプリでは事情が違います。僕は、顔写真をネットのアイコンとして使っていますし、本名をFacebookで公開しています。ブログで正直に考え方を公開しているので、ネット経由で人と会うことも多いです。きちんと情報を開示した上でのネット経由の出会いなら、下手な知人のリアルな紹介よりも安全だと思います。
だからと言って、「これからの時代はネット! まだネットを危険視してるの?」みたいなことが言いたいわけではありません。
学校で、ネットを使うリスクばかり教えられてしまう子供がいるのは、かわいそうだと思うのです。「就職活動の時点でパソコンが使えた方が良いと気づいたけど、手遅れだった」というのは社会の損失だと思います。
リスクばかり評価されるのは良くないので、リターンも取り上げて欲しいなと思うのでした。
参考:勉強の成果ではなく、勉強時間を評価する学校教育について
参考:前例主義の背後には、デメリットを過大評価し、メリットを過小評価する考え方がある
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。