プラトンの『国家』を対話形式で紹介するよ

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どうも、木村(@kimu3_slime)です。


すらいむ 今日は、プラトンの『国家』を紹介してくれると聞いてやってきました。

木村 そうだよ。とても読みやすく、ためになる本だと思う。かつて中学生であった時に「これは教科書だから読んでおきなさい」と渡して欲しかった。

すらいむ へえ、そう。ずいぶんな入れ込みようだ。そもそも、プラトンって誰なの?

木村 古代ギリシャの哲学者だ。同じく哲学者のソクラテスの弟子にある人物で、『国家』や『ソクラテスの弁明』などの著作を数多く残している。

すらいむ 古代ギリシャって、紀元前、2000年以上前だよね。そんな昔の人の話が、面白いの?

木村 面白い。これはゼウスに誓って断言できる。

すらいむ なぜゼウスが……例えばどんなことを言っているの?

 

木村 そうだな。ソクラテスになりきって、君に問いかけてみよう。正しい人とは、どのような人だろうか。

すらいむ うーん……、「借りているものを、借りた人にきちんと返す人」じゃないかな。お金を返さない人は、正しくない。

木村 「借りているものを、借りた人にきちんと返す人」が正しい人、果たしてそうかな。例えばきみが友達から包丁を預かったとする。その時は正気だった友達が、あとで精神を病んでしまい、正常な判断ができなくなってきてから包丁を返してくれと言われたら、どうする?

すらいむ そりゃ返しちゃダメだよね。でも、それは友達だから返しちゃいけないんじゃないかな。危ないやつならば、敵ならば、返したほうがいい。

木村 じゃあ、正しい人は敵に対しては害をなすことがあると思う?

すらいむ あると思う。相手が悪い人間なら、敵であるならば、害さなければならない。

木村 そうか。ところで、馬に害が与えられると、善くなるか、悪くなるか?

すらいむ 唐突だね。悪くなる。

木村 では、人間の場合にも同じことを言えるのではないか? 人間は害されると、人間としての善さについて、前よりも悪くなるのではないか?

すらいむ そうだと思う。

木村 ところで正義というのは、人間としての善さの一つではないか?

すらいむ まあそうかな。

木村 だとすると、害された人たちは、必ず前よりも不正な人間とならなければならない。

すらいむ そうだね。

木村 ところで音楽家は、その音楽の技術によって、人を音楽の才能のない者にすることができるだろうか?

すらいむ できないよ。

木村 じゃあ馬術家は、馬術によって、人を馬術の才能のない者にすることができるだろうか?

すらいむ それもできない。

木村 では、はたして正しい人間は、自分が身につけている正義によって、人を不正な者にすることができるだろうか? あるいは、一般に、善い人間は、その善さによって、人を悪い人間にすることはできるだろうか?

すらいむ いや、できない。

木村 ものを冷たくするということは、熱さのはたらきではなくて、その反対のもののはたらきだ。

すらいむ そう言われればそうだね、うん。

木村 ものを湿らせるということは、乾きのはたらきではなくて、その反対のもののはたらきだ。

すらいむ 確かに。

木村 じゃあ、害するということは、善い人のはたらきではなくて、その反対の性格の人のはたらきだ。

すらいむ そう思える。

木村 つまり正しい人は、善い人だね?

すらいむ そうですね。

木村 したがって、すらいむよ、相手が友達であろうが誰であろうが、およそ人を害するということは、正しい人のすることではなくて、その反対の性格の人、すなわち不正な人のすることなのだ。

すらいむ いかめしい口調が気になるけど、言っていることはその通りだと思う。

木村 だとすると、「借りているものを、借りた人にきちんと返す人」が正しい人というのは間違いだね。その主張の意味が、「正しい人間は敵に対して害を与えて、友達に対しては善いことをする義務がある」というものだとすれば。それは真実ではない。さっきまでの話で分かったのは、人を害することは、けっして正しいことではないということだから。

すらいむ なるほど。

木村 「借りているものを、借りた人にきちんと返すこと」が正義、正しいことの定義として失格だと明らかになったなら、正義とは一体何なのか、他にどのような主張が考えられるかな。

 

 

すらいむ それを話すと長くなる……って、さっきからあなた、『国家』第1巻の6〜9節をずっと見ながらしゃべってたよね?

木村 バレたか。こういう風に、正しさとは何か、善い国とは何か、一歩一歩対話の中で主張を確かめながら解き明かしていくのが『国家』、プラトン対話編の魅力だ。

すらいむ 本当に正しさなんて定義できるのかなあ。

木村 僕もできるとは思わないけど、それを「真実を目指そうとする」のはプラトンの著作の特徴でさ。『国家』で、見せかけの善ではなく、善そのものを目指そうとする議論は、イデア論と呼ばれている。

すらいむ 理想論だね。

木村 理想が何であるかにかかわらず、理想を目指そうとする姿勢は、まさに知を愛する人(哲学者)といった感じだよね。そういう姿勢がなければ、何の学問も発展しない。

すらいむ そうだなあ。

木村 ところで『国家』など対話編ではプラトンの師であるソクラテスが登場するけれども、それを書いている時点ではソクラテスは殺されちゃってるんだよ。

すらいむ えぇ……。

木村 ソクラテスは道行く人に議論をしかけまくっていて、それがきっかけで「国家の信じない神々を導入して、青少年を堕落させた」と宗教犯罪として訴えられた。その時の弁明が、『ソクラテスの弁明』。

すらいむ 弟子のプラトンはソクラテスをすぐれた精神の持ち主と信じていただろうに……。

木村 そう。いかにすぐれた人物がいても、彼が住む国家や社会がすぐれたものでなければ、生きていられない。厳しい話だ。それが、『国家』などにおいて哲人による統治を主張しているプラトンの原動力になっているかもね。って『国家』の翻訳者である藤沢さんが言ってた。

すらいむ 受け売りかーい!

木村 この世には、何一つオリジナルな思考なんてないんだよ。プラトンの著作ほど参照された思想は、この世にはないんじゃないか。

すらいむ そうかもね。

木村 数百年数千年の間、淘汰されずに生き残ってきた本が古典だから。

すらいむ 古典って難しい印象があったけど、対話形式なら読みやすいね。

木村 そうそう。「嫌われる勇気」はもっと新しくてやさしい対話形式の本で、こっちもおすすめ。

すらいむ 数千年前の議論の積み重ねが、今でも通用するものとして残っているって不思議だなあ。読んでみるか。

 

 

プラトン「国家」

 

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木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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