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イキリオタク狩りはなぜ起こる? 連帯感を生み出すオタクの排他性

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

今回は、こんな説について考えてみようと思います。

イキリオタク狩り」という現象を例に、オタク・ネットコミュニティにおける連帯感と排除行動の関係を考えてみました。

自分たちの集団内の結びつきを得るために、排他性を利用するのではないか。そんな仮説です。

(この記事では、オタクやイキリオタク狩りを糾弾したいわけではありません。なぜ・どんなモチベーションでそれが起こっているのか、単に気になるだけです。)

 

イキリオタク・イキリオタク狩りとは

まず、イキリオタクという言葉について確認しておきましょう。

イキるとは意気がる(いきがる)の略。意気がる同様、虚勢をはり、調子にのること。えらぶることをいう。

引用:イキる – 日本俗語辞書

つまり、イキリオタクとは、虚勢をはって調子に乗っているオタクのことです。

参考:「イキる・イキリオタク」の意味・初出・元ネタは?

 

イキリオタクは2016年あたりからTwitterで流行り始めた言葉です。

一般的な意味があるとはいえ、どんな人がイキリオタクなのかという実際の判定基準は人によってばらけています。

僕はここで、イキリオタクという言葉が流行った原因として、イキリオタク狩りがあるのではないかと考えます。

「イキリオタク」という言葉は、基本的にイキリオタク(とされる)人への攻撃、ネタ化、蔑視として使われているのです。

イキリオタク(とされる人)が多く出現するハッシュタグ#あなたっぽいア二メキャラ#あなたがガチギレするとなど)を見て、「これはイキリオタクだ」と認定する人も多数いるようです。

イキリオタクというネーミングをつけて相手を晒すことで、不特定多数の同士(オタク)を集める。これをイキリオタク狩りと呼ぶことにします。

 

なぜイキリオタク狩りは生まれるか

さて、なぜイキリオタク狩りは行われるのでしょうか

それは、(Twitter上で)オタクが連帯感を強めるためではないか、と僕は考えます。

もう少し言えば、自分たちが(本物の)オタクであることを確かめるために、イキリオタクという存在を必要としているのではないか。

 

オタクの多様化=連帯感の喪失

その背景としては、2010年代に入ってオタクという言葉の定義が一般化して揺らいでいるにもかかわらず、オタクを自称する人が後を絶たないことがあります。

おたく・オタクという言葉は1970年代に生まれたものですが、2000年代に入りコンピュータ・ネットが一般化して、従来より多くの人が「オタク」のくくりに入るようになりました。

参考:おたく – Wikipedia

オタクの祭典と呼ばれるコミックマーケット参加者も、90年代後半から爆発的に増えています。

画像引用:コミックマーケット年表

かつては、オタクとはこういうものだ、と論じることができたかもしれません。しかし、こんなに大衆化してしまえば、オタクという言葉をめぐって齟齬が生じるのは当たり前です

こうなると、オタクであることだけでは、人と人が結びつけなくなってしまします。オタクを自称する人の数が増えれば増えるほど、連帯感が失われていくのです。

 

オタクであることの確認

未だなお、Twitter上ではオタクを自称する人が多く見られます。

確かに、いわゆるリアルな世界において、アニメ・萌え・ゲーム・凝った趣味を説明するために、オタクという言葉は使いやすいのです。

オタクという言葉は、非オタク的な人には効果を発揮します。しかし、オタクが多いTwitter上では意味をなしにくい言葉です。なぜなら、同じオタク(とされるような人)であっても、全く趣味の合わないユーザーに出会ってしまうからです。(何々のオタク、と限定すれば快適かもしれない)

SNSには、人を密集させる効果があります。Twitterなら、フォローやリツイートによってユーザー同士、互いのコンテンツを目にするようなシステムになっています。それはユーザーが仲良くなるきっかけでもありますが、一方で自分と合わない不快なユーザーに出会う可能性にもつながります。

オタクの人は、嫌いなユーザーを見るとこう考えるのではないでしょうか。

確かにこいつはオタクと呼ばれる人かもしれない。しかし、あまりにも目に余る目立った行動をしている(オタクはもっと良心的なはずだ)。こいつはイキリオタクだ。オタクではないんだ。

こうしたオタクの嫌悪感、もしくは自治意識として「イキリオタク狩り」が行われるという面があるのではないでしょうか。

また、狩りを行うことで、「こいつは確かにイキリオタクだ」と認めてくれるオタク仲間の存在がリツイートなどによって確認できます

狩りによって、自分がオタクであること、さらにはオタクの仲間がいることがわかるのです。

 

連帯感を得るための排他的行動はネット上に多い

「イキリオタク」を追い出すことでオタクの連帯感を強める、こうした排他的な行動は、オタクだけではなくさまざまなコミュニティで見られます

共通の敵を作って仲良くなる、ってそもそも人類の歴史上ずっと行われてきたことですが……)

例えば、ニコニコ動画の例のアレカテゴリには、排他的な空気があります。内輪ネタを踏まえない人を追い出すために、「草を生やすな」という規範や、ノンケ・ホモガキという蔑称があるのです。

昔のニコニコ動画(組曲の頃)にはユーザーに一体感がありました。しかし、ユーザー数が増えると、不快なコメントも増えて連帯感を得るのが難しくなった。

大量の人が使うサービスを快適に楽しむためには、自らのコミュニティを明確にするための排除システムが必要とされるのではないでしょうか

参考:組曲的ニコニコの終わりと、例のアレの居心地良さ – コメントの一体感を求めて

 

 

 

まとめると、

  • イキリオタクという言葉は、イキリオタク狩りを背景に広がった
  • オタク同士でつながりたいという需要から、狩りは広まっていく
  • 排他的行動でコミュニティ強化につながる例は多い

ということでした。

 

狩りとか、排他的行動というと、なんとなくネガティブなイメージで受け止められてしまうかもしれません。

僕個人としては、排他的なコンテンツってわりと好きなんですよね。排他性は、コミュニティの濃さ・面白さの証明でもあるのです。誰でも参加できるコミュニティって、キレが失われてしまうので。

ただ、排他が過激になって攻撃性を帯びてたり、内輪しか見えなくなってると面白くないな、とも思います。そうなると、内輪モメを起こしてコミュニティ自体が崩壊しそうです。

内側で荒れない程度の排他性を持ちつつ、新規ユーザーもとりこめるようなコミュニティを見つけていけると良いですね。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

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