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ニコニコ動画におけるBB動画(素材、合体、劇場)の歴史

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

僕はニコニコ動画について考えると、BB動画を作る文化が大好きです。

参考:2018年、ニコニコ文化とは何か? 未だ認識されぬ「例のアレ」を例に

しかしながら、僕が知っているのは最近(主に2013年以降)の動画。

ニコニコ動画において、どのようにBB動画が生まれ、流行っていったのか。簡単に調べてみたので紹介します

 

ニコニコ動画におけるBB動画(素材、合体、劇場)の歴史

BB動画とは

画像引用:BB動画の作り方+BB

そもそもBB動画とは、ブルーバックグラウンド動画の略メインとなる素材部分以外を青い背景にした動画の総称です。こうすることで動画編集ソフトで青い部分を透明にして(クロマキー合成)、他の素材・背景と組み合わせて使うことができます

青い色が含まれる素材では、GB(グリーンバック)やRB(レッドバック)が使われます。

日本では、1956年時点でBBの技術が映画に使われています。(参考:ブルーバック – Wikipedia

 

2008年〜 MAD用のBB素材・アイマス(765comm@nd)

では、ニコニコ動画におけるBB動画の歴史を見てみましょう。なぜ、そもそもBB動画はアップされるようになったのか。

 

最初に登場したのは、BB素材。BB素材というのは、元となる動画から使いたい部分を切り出して作られたBB動画のことです。

BB素材」タグや「ブルーバック素材」タグを見ると、2008年1月頃からBB動画は登場しています。MADを作るための素材として作られたものが多いですね。08年代はアイマス、初音ミク、ドナルドなど。09年に入ると、修造、チャー研、マグロなど。

 

最古のBB素材とされているのは、2008年1月29日の「アイドルマスター ロケットガール 高槻やよい 「GO MY WAY!!」 BB.ver」です。

画像引用:アイドルマスター ロケットガール 高槻やよい 「GO MY WAY!!」 BB.ver

アイドルマスターのゲーム中のダンス動画を切り出し、BB素材にしています。2分と長時間なのですが、めちゃくちゃ丁寧に切り出されていて、愛を感じますね。作者はアイマスMAD製作者のecho(えこP)さん

7月14日には、この素材を使った「アイドルマスター ロケットガール 高槻やよい 「GO MY WAY!!」」をアップ(削除されてしまいましたが)。170万回再生された大作MADです。

 

2008年7月には、アイドルマスターL4Uで765comm@nd(ナムココマンド)と呼ばれる隠しコマンドが見つかりました。

アフターエフェクトなどの動画編集ソフトを使って切り出すのが普通なところ、ブルーバックのステージで踊らせるコマンドが登場したのです。

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これはニコニコ動画のアイマス動画作者、いわゆるニコマス界隈で話題となりました。

参考:765comm@nd – ニコニコ大百科

 

2010-11年 オリジナルBBの登場・BB合体

これまではBB動画は単なるMADの素材として見られてきました。

歴史にとって大きな変化を与えるたは、BB合体が登場したことではないかと思います。

BB合体というのは、既存のBBを組み合わせて新しいBBを生み出す技術のことキメラのようなモンスターが登場するのは、BB動画ならではの面白さです。

イエローサブリメン(イエサブ兄貴の)「BB合体講座-歴史編-」で詳しく解説されています。下の画像はレスリング素材を使った「タンショウカワカブリムシ」。

画像引用:BB合体講座-歴史編-

 

講座によると、最古のBB合体は2010年4月4日にアップされた「本格的ま・こ(削除されてます)」。

この動画の作者が7月4日に「BB愛好壁の会」というニコニコミュニティを作り、BB合作を作るなど盛り上がったり、BB合体の技術が普及していったりしたようです。

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2010年代は、BB合体はレスリングシリーズを扱ったものが多かったようです。

しかし、2010年10-12月に「野獣先輩フェイスBB」、「野獣ステップBB」と「ホラホラダンスBB」が投稿されてからは、野獣先輩・淫夢を題材にしたBB動画が大量に生み出されることに

さらには、ホラホラダンスBBを改変したBBまで作られ始めます

画像引用:BB合体講座-歴史編-

 

この頃になると、BB素材を作る目的がMADを作るためだけではなくなっていますよねBB素材をもとに、面白いBB合体や改変をする遊びが流行ってきているのです

また、タグとしても「BB先輩シリーズ」が独立。一般のネタは「BB素材」、野獣先輩は「BB先輩シリーズ」と住み分けがされていったように見えます。

 

以降は、こちらの記事でも紹介したように、BB先輩シリーズが2013年にかけて盛り上がっていきました。

参考:BB先輩シリーズ、BB先輩劇場が淫夢二次創作を生み出していった 真夏の夜の淫夢入門その4

野獣先輩というひとりの人物の素材が大量にあり、語録の面白さもあり、「〜〜先輩」というネーミングのしやすさもあり、面白いBB素材を求める人が集まっていったのでしょう。

 

2010-13年 BB劇場の登場

また、BB動画の歴史において重要なのは、BB劇場の登場だと思っています。

BB劇場とは、BB素材を他の音楽や映像に合わせるために使うのではなく、オリジナルの物語を作るために使った動画のことです。

 

例えば、淫夢のBBをアニメの音楽や映像に合わせて使うタグが「COATアニメーション」です。あくまでアニメの音楽や映像がベースとなり、そこに素材を入れ込むという形式です。

最古のBB先輩劇場は2010年8月の「真夏の夜の縁日」と言われています。

画像引用:真夏の夜の縁日

BBのキャラがお祭りの中で楽しんでいるようす。ところが、画面が突然読み込み中に変わってバイブ音がなり、不穏な雰囲気が生まれたまま終了します。

ホラー風のこの動画は、何かの音楽やアニメを元にしているわけではなく、オリジナルのものですよね。こういうものがBB劇場と言えるでしょう。

BB先輩劇場の誕生と同時期に流行っていた「本編改造淫夢」は、BB素材を使わないBB劇場(オリジナル物語)と見れるのではないでしょうか。

 

2011年2月に「クッキー☆風メッセージウィンドウ」が配布されてからは、テキスト(文章)を入れたノベル風のBB先輩劇場も増え、表現が豊かになりました。(初出はわかりませんが、2011年7月「居酒屋へ行く先輩たち」は)

BB劇場はオリジナルの物語を生み出せるという性質を持っているため、バトル淫夢、ホラー淫夢、泣ける淫夢、ほのぼの淫夢、社会派淫夢などのジャンルに派生していきます。

 

2013年頃を境にレスリングがやや衰退し、淫夢が流行ってきます。これは、BB合体やBB劇場など、淫夢がオリジナルのストーリーを生み出せる性質を得たからだと思います。音MADを作らなくても新しい動画が供給できるようになったんですよね。

参考:ガチムチパンツレスリングはなぜ流行り、なぜ衰退したのか? 音MADの時代からストーリーの時代へ

 

まとめ

  • 2008年 MADの素材としてBB素材がアップされ始める
  • 2010年 BB合体の技術が誕生。BB愛好者のコミュニティもでき、BB合作が作られて盛り上がる
  • 2010年〜 BB先輩が独立したジャンルに。さらに、BB劇場も生まれたことで、オリジナルBBが活躍する舞台が生まれた

といった流れでしょうか。

およそこうして今に至るわけですね。最近では「止まらないオルガBB」を皮切りに、淫夢以外のBB動画が盛んになってきている気がします。

参考:「止まるんじゃねぇぞ…💃」の元ネタ・初出は?「走るオルガ、走るガンガー」の元ネタ・初出を解説

今後もニコニコ動画内で面白いBB動画が見れるのを楽しみにしています。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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