アウト・オブ・コントロール時代、著作権は何のためにあるか?

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

大谷卓史「アウト・オブ・コントロール―ネットにおける情報共有・セキュリティ・匿名性」を読みました。

ネット時代の著作権の考え方を問う「クリエイティブ・コモンズ」って、インターネットのアウト・オブ・コントロール的な面(一元管理できない)を前提としている、と気づきました。

今回は、アウトオブコントロールとは何かを踏まえたうえで、著作権が何のためにあるか、自分なりのスタンスを示したいと思います。

 

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コントロールできないものの存在を前提として

2008年に執筆された本書で大きく取り上げているのは、ファイル共有ソフト・Winny(ウィニー)です。

ユーザーによってアップされたすべてのファイルがサーバーを介さずに蓄積され、自由にダウンロードできるソフトです。

画像・動画・音楽を共有するには便利だったんですよね。当時はYoutubeやニコニコ動画もありませんでしたし。実際、10年ちょっと前に僕も使っていました。

2010年代になってからは話題を聞く機会は減りましたが、00年代では、Winnyを通じたウイルスによる情報漏洩や、ソフト制作者の逮捕と話題になりました。

 

  • 一度流れた情報がコントロール・削除できない
  • コピーの容易さから、著作権侵害が起こりやすい

これらのWinnyの性質は、現代でもYoutube・ニコニコ動画、各種SNS、いやインターネット全般が持っています。これがアウト・オブ・コントロールですね。

これだけ見るとネットは悪だみたいになりそうですが、それはネットの利点と表裏一体だと思います。

つまり、インターネットの利点とは、あらゆる情報を低コストで共有・拡散することなんですよね。

歴史的にも、WWW・HTMLを生み出したティム・バーナス・リーは無償でその技術を公開しましたし、フリーソフト・オープンソースと呼ばれる運動によって良いソフトが無償で配布・共同開発されるようになりました。

このサイトのシステムとして使っているWordPressもオープンソース・無料であり、僕はその恩恵にあずかっています。

 

インターネットは、共有をめちゃくちゃ効率化する技術・システムなんです。そのメリットの代わりに、アウト・オブ・コントロールなデメリットが生まれる

僕は野放しの共有を善だとは思いませんし、かといって「著作権侵害を助長するからYoutube・ニコニコ・SNSは悪だ」とも思いません

インターネットの利点は、僕だけでなく、もはや多くの人にとって手放せないものになった

であるならば、アウトオブコントロールな存在をセットとして認めた上でデメリットを少しずつ解消するのが現実的だと思うのです。

 

著作権は「文化の発展に寄与するため」の権利だ

本書では、著作権が何のためにあるかという哲学的根拠の話がわかりやすく述べられていました。

日本の著作権法第一条を見ると、著作権法の目的は、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」だとされている。つまり、日本の著作権法においては、「著作権者等の権利保護」は、「文化的所産の公正な利用」と同じように、より上位の目的である「文化の発展」に寄与する手段として考えられていることがわかる。「著作権者等の権利」はそれ自体でよいとされるのではなくて、その結果として「文化の発展に寄与する」かどうかによって正当化されている。

引用: アウト・オブ・コントロール p.121

著作権について議論したい人は、まずこの著作権法第一条を知るべきだと思ってます。

つまり、著作権は人権のように当たり前に保証される権利(自然権)ではないんですよね。「どのような形で保護すれば文化の発展に寄与するか」、それに合わせて検討・変化するべきものなのです。

 

アウトオブコントロールを前提とするなら、著作権の厳罰化は非現実的だと思います。

摘発するにしても、YoutubeやSNSなどのシステムごと制限するような形でないと、コストがかかりすぎる。

また、P2P・動画共有ソフトでのダウンロード制限は、売り上げとは無関係・デメリットになるケースがあるという研究が日米両方であります。

全体として、私的コピーによる著作権者の収益減少は限定的であり、YouTubeの場合著作権者の収入を増やすこともあるという結論が得られている。日本のネット配信では著作権保護強化を要求してコンテンツの供給が進まない例が多く見られるが、このような態度は得策とはいえない。著作権者は私的コピーをあまり気にすることなく、ネット配信に乗り出すべきであり、政策もこれを励ます方向に進むべきであろう。

引用:ネット上の著作権保護強化は必要か-アニメ動画配信を事例として

ダウンロードを禁止したとしても、売り上げが上がるとは限らない(逆になる可能性がある)。漫画村などはその例となるのではないかと思います。

著作権には、収益を減らすのを防ぐ役割はあるけれども、増やす役割はないんです。

ダウンロード・コピーを禁止するよりもやることがある、つまりネット配信に最適化することだ、という話ですね。

 

また、ネット時代にパロディや二次創作によって人気になるコンテンツは増えてきています

アニメ・ポプテピピックなんかは、パロディがあるからこそ人気になった作品ですよね。

バーチャルYoutuberのブームも、ニコニコ動画への転載がきっかけで、本家のチャンネル登録者数を一か月で10万以上伸ばしています。転載=悪・削除としていたら、キズナアイさんの海外での人気(有志の字幕作成)もなかったでしょう。

もちろん、有料コンテンツの丸上げは制限したほうが良いと思います。著作権法は、タダ乗りを抑制する役割は果たしてほしいです。

ただし、コンテンツをネットで自由に配布させることは熱心なファン(課金ユーザー)を生み出す下地になることは、もっと評価されて良いかと思います。

ネットの勢い・アウトオブコントロールな世界は、もはや避けて通れないものです(避けた企業は終わると思ってます)。

であるならば、あらゆる場合に著作権を厳しく行使するのではなく、ファンを増やしうる活動については緩めたほうが、より豊かな文化を生み出し、結果として経済的なリターンも得られるのではないでしょうか。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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