どうも、木村(@kimu3_slime)です。
海外(英語圏)のミームとして有名な緑のカエル、カエルのペペについて紹介します。
画像引用:Boy’s Club #1
「カエルのペペ」とは何か
カエルのペペ(Pepe the Frog)は、2005年に制作されたMatt Furieのマンガ「Boy’s Club」に登場するカエルが擬人化されたキャラクターです。
画像引用:Boy’s Club
10代の男の子っぽいイタズラを描くマンガで、緑色がペペ、Andy、Brett、Landwolfがルームメイト。
そんなペペですが、2008年頃から英語圏の画像掲示板4chanを中心に、インターネットミームと化してゆきます。
feels good man
最初にミームと化したのは、「feels good man(気持ちいい)」という画像。これは画像掲示板においてスタンプ的に使いやすいです。
これはもともとは、ペペが「トイレでおしっこをするときにズボンを膝の下までおろしていたこと」がルームメイトの噂になったときのセリフです。
その後、これを改変した画像が生まれていきます。次のものは、ポケモンのヤドンと「feels good man」と組み合わせたもの。
feels bad man
2009年にはさらなる改変である、feels bad man(sad flog)が生まれました。
「You will never X」と呼ばれる画像では、「このミームを始めた人を突き止めることはできない」と書かれています。元のマンガを離れ、ミームとして独り立ちしてきたと言えるでしょう。
英語圏で最も有名なミームのひとつに
さらに、2011年にはsmug pepe(ドヤ顔のペペ)、2014年にはangry pepe(怒るペペ)が作られ、ますますミームとして発展していきます。
その結果、2015年には画像系のマイクロブログサービスTumblrで、最もリブログされたミームとなりました。もちろん、Twitterでも存在感を放っています。
Australian jet lag got me like pic.twitter.com/kriAAd6mZe
— KATY PERRY (@katyperry) November 8, 2014
「ペペ」がヘイトの象徴に?
そんなペペですが、だんだんとその扱いに政治性が帯びてくるようになりました。
2015年の4chanでは、smug pepeをドナルド・トランプとして描いたイラストが投稿されます。
4chanやRedditでトランプ陣営とペペのセットが支持を集め、ついにトランプ自身がペペのイラストをリツイートするほどになりました。
画像引用:Pepe the Frog – KnowYourMeme
そして、2016年にトランプはアメリカ合衆国の大統領選挙で当選します。
その背景には、ミームを使いこなしながらトランプを支持する白人至上主義の人々、オルタナ右翼があると言われています。
「Pepe the Frog」(カエルのペペ)は、2000年代後半からインターネット上で使われだしたネットミーム。当初は差別的な意味をもっていなかったものの、2016年の大統領選の時期に人種差別的な言葉やナチスのシンボルなどとともに使われ始め、次第にオルタナ右翼の象徴とされるようになった。
画像引用:胡乱な人種差別主義結社が「オルタナ右翼」になるまで – WIRED
もともと白人至上主義的思想やトランプ陣営とは全く無関係のミームでしたが、オルタナ右翼的な人々によって使用され認知されていくことが、ペペがオルタナ右翼の象徴とされてしまった。
「カエルのペペ作者」のMatt Furieは、2017年にペペの葬式のマンガをアップロードしました。オルタナ右翼に乗っ取られてしまったペペを、殺す判断をしたわけです。
画像引用:Rest in Peace, Pepe – THENIB
ミームが社会に影響を与える時代に
これは単にミームを楽しんでいた僕の立場からすれば、この結末はとても悲しいことです。しかしながらペペは、ミームは政治利用されうる前例として大いに参考になります。
日本ではまだミームは政治的に利用されていないと思います。例えば「全部アベのせいだ」という反安倍派(ネット左翼)による陰謀論をネタにするミームがありますが、これは(現状)ネトウヨ的運動に利用されていると言えるほどではないでしょう。しかしながら、日本もアメリカのような状況になる可能性はあると感じます。
ミームは、所属グループを示すために使われ、アメリカの政治を「善と悪」に二分し、差別的状況を常態化させる、とする記事も書かれました。
確かにそのような側面があるのは事実ですが、匿名掲示板である4chanの影響、求心力を得ている白人至上主義の集団(オルタナ右翼)の影響もあるのであり、ミーム単独が原因になるわけではありません。
2ちゃんねるにおける「猫ちゃんの命の輝きを見よ!」というフレーズは、もともと攻撃的な表現(荒らし)でしたが、大喜利やパロディによって柔らかい意味を持つようになりました。ミームには良い側面もあるわけです。
これからますますミームが社会に影響を与えるようになり、一気にメディア・大衆が知る時期を迎えるでしょう。そのときに、ミームのことを「わかったつもり」ではなくきちんと知る人を増やせるよう、改めて「文脈をつなぐ」を成長させていきたいと思いました。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。