ネットのごく一部で流行っている言葉や画像(ミーム)を解説するウェブサイト

インターネットミームとは? 意味、具体例をわかりやすく解説

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

ミーム」という言葉を聞いたことがありますか? この記事では、ミームの意味、具体例をわかりやすく簡単に解説していきます。

 

インターネットミームとは?

インターネットミームとは、ネット上で流行する画像や動画や言い回しのこと。ネットミーム、(単に)ミームとも。

日本語では、(流行り、おもしろ)ネタと呼ばれるようなものです(具体例は後ほど)。SNSや匿名掲示板上のユーザーがマネすることによって拡散していくのが特徴。当サイトでは、ミームの元ネタや起源、発祥(origin)を解説しています。

ミームという概念は、もともとは生物学者のリチャード・ドーキンスが著書『利己的な遺伝子』で提案したもの。遺伝子のgeneと、ギリシャ語で模倣を意味する語幹mim-を足し合わせ、memeと命名しました。日本語では、模倣子、あるいは文化的遺伝子と訳されることもあります。

参考:「ミーム」の起源・ドーキンス「利己的な遺伝子」を読む

しかしながら、このオリジナルの意味でのミームと、インターネットミームは、別物であるとドーキンス自身によって指摘されています

学術的な用語というよりはむしろ、もっと俗で気さくな意味として、ミームという言葉は使われているのです。以降、インターネットミームのことを単にミームと呼びます。

 

インターネットミームの具体例

具体例を見ていきましょう。

LOLcats(ウケる猫)

LOLcats(ロルキャット)は、猫の写真に白い字幕(キャプション)を入れることで笑えるネタにした画像のこと。LOLCATS.COMという専門のサイトが立ち上がるほどに数多くの画像が生まれています。

画像引用:lolcats – Google画像検索

LOLとは、laugh(ing) out loud(大きな笑い声)、またはlots of laughs(多くの笑い声)を意味する俗語(ネットスラング)です。日本語で言うところの、ウケる、(笑)やwww、草、と同じような意味合いでしょう。

日本語圏でも猫のおもしろ画像はありふれていますが、それらと違うのが、大きな文字で字幕が入っていること。「ミーム=画像+字幕」とされるくらい、字幕は重要な要素と言えます。

ミームの特徴は模倣、すなわちマネですが、画像の完全なコピーによってLOLcatsは拡散していったわけではありません。猫の画像がある、それに字幕をつけて面白くできる、それを匿名掲示板にアップすると面白い、面白いと思ったユーザーが新たなLOLcatsを生み出す……とアイデアの継承と改変が行われているのです。

「画像+字幕」で面白くするというアイデアは、日本語圏でも利用されています。「黒背景白字+芸能人」サムネ(ガキが…舐めてると潰すぞ)や、ヒカキン自動生成字幕画像シリーズがそうですね。

 

Polandball(ポーランドボール)

Polandball(ポーランドボール)は、ポーランドの紅白国旗をモチーフにしたキャラクター、イラスト、マンガのこと。「ポーランドボール 翻訳」という専門翻訳サイトが存在しています。

Germanyball(ドイツボール)とは犬猿の仲だけれども、喧嘩するほど仲が良いのかもしれません。

画像引用:Polandball Reddit Official Tutorial – POLANDBALL WIKI

普通のマンガと異なり、Polandballには単一の作者がいるわけではありません。「公式ポーランドボール・チュートリアル」なるガイドラインが存在し、一定の書き方を守れば誰でもPolandballのイラストを作ることができるのです。

例えば各国の~~ボールを集めた次のイラストは、45人のアーティストによる合作です。

画像引用:Official Polandball World Map 2018 – Reddit

Polandballというミームを支える背景には、英語圏の大規模掲示板であるReddit(のpolandball板)があります。Polandballの作り方をチュートリアルとして残し、リアクションのある投稿場所として掲示板があるのです。

このように、ミームの生成と拡散には特定のプラットフォームやサービス、コミュニティが関係していることが多いです。プラットフォームの種類によって、ウケるミームの種類は変わってきます。

しかしながらLOLcatsとPolandballのミームで共通しているのは、シンプルであるということです。構成している要素が単純で、誰でも簡単に作ることができる。これはミームの重要な条件です。いかに面白くても、マネするのが難しければミームとしては流行らないでしょう。

 

インターネットミームの蓄積と研究

ネットミームは、特にSNSの登場によって、日に日にその数と勢いを増しています。

2008年に始まった優れたサイト「KnowYourMeme(ノウユアミーム)」は、英語圏のあらゆるミームを調査しアーカイブしています。ミームといえばこのサイト。

GIGAZINは2018年の記事「インターネット上で流行る画像や言い回しはどのように生まれ拡散していくのか?」の中で、ミームに関する研究を紹介しています。ミームという概念はそれだけ奥深く、注目を集めているのです。

画像引用:On the Origins of Memes by Means ofFringe Web Communities – Arxiv

 

ネットの登場によって起こる新しい文化現象としてミームには注目が集まっていますが、まだそのアーカイブや研究は始まったばかりと言えます。特に日本語圏には、それほどミームというアイデアは普及していません。

ミームに近い概念や用語を、図示してみました。特に日本では、コラ画像(コラージュ画像)、MAD動画と呼ばれるものがミームに近いです。

ミームという言葉は、もっぱら画像、音、動画に対して使われます。マネされる言葉は、ミームというよりはむしろネットスラングと呼ばれることの方が多いです。言葉系の中でも、面白い文章をそのままコピーアンドペーストによって複製するコピペは、ミームとしての性質が強いですが。

参考:音MAD・映像MAD・ファンムービーの総称「MAD」とは? MADらしさとは何か?

 

ミームという概念は、日本ではまだあまり知られていませんが、ネットの流行現象や、ネット文化を理解するときに必ず役に立つ概念と言えます。

(バーチャルYouTuberの流行について、「バーチャルYouTuberミーム論」という文章を書いています。

当サイト「文脈をつなぐ」では、ミーム、あるいはミーム的なものに関する記事を増やしていくので、お楽しみに。

参考:「文脈をつなぐ」を「ミーム」に特化したサイトにしていきます

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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