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集団ストーカーの被害は解消される 「統合失調症という事実」を読む

どうも、木村(@kimu3_slime)です。

統合失調症と思われるネットユーザーであるaiueo700さんゴリホーモを紹介する記事を書いていて、そもそも統合失調症のことをちゃんと知らないなと気づきました。

僕が最初に統合失調症についてネット上で知ったのは、「Dr 林のこころと脳の相談室」でした。精神病に関する相談文とケースが公開されているので、具体的なイメージがしやすいんですよね。

そのサイトの運営者である精神科医 林 公一さんの著書「ケースファイルで知る 統合失調症という事実《電子増補版》」を読みました。

 

統合失調症とはなにか

そもそも、統合失調症とはなんなのでしょうか? 一問一答形式でまとめてみました。

Q.そんなに多くの人がかかるわけではないでしょ?

A.  100人に1人かかります。身近なところに必ずいるはずですね。20歳前後の若い人が発症することが多いようです。

Q.症状は?

A. 主な症状は、被害妄想と幻聴です。被害妄想は、盗聴されている、監視されている、嫌がらせをされているという内容が多いようです。幻聴は、悪口が聞こえるなど。自分で聞いている声がまさか幻聴だとは思いませんから、気づきにくいのが難しいポイントですね。

A. 原因・対処法は?

統合失調症は、脳の病気です。原因は完全には解明されていませんが、ドーパミンという化学物質が脳内で過剰に分泌されていることが、幻聴や被害妄想の発生に関係しているようです。

治療を受ければ治ります。ドーパミンを抑える薬を飲む、薬物療法がメインです。治療を受けないと症状が悪化しますし、治療を中断すれば一時は良くなったように見えても再発してしまいます

Q. 治る病気なのに、なんでかかっているように見える人をネットで見かけるの?

A. 統合失調症という病気の実態があまり知られていなく、その結果、治療をせずに症状が悪化してしまったからです。「ケースファイルで知る 統合失調症という事実《電子増補版》」は、統合失調を知る人を増やしたいと願って書かれた本ですね。

 

統合失調症を治すには?

 

統合失調症は、投薬治療で治る病気です。しかしながら、統合失調症であると周りの人が気づかなければ、そもそも治療を受けることができませんよね。

どうしたら、統合失調症に気づけるのでしょうか?

 

症状を知る

主な症状は、幻聴と被害妄想です。ゲンカクとかヒガイモウソウ……と言われても、言葉自体はよく聞きますが、体感したことがないと何のことだかわかりませんね。

本では具体的な症状が紹介されていたので、整理して引用します。

嫌がらせされている誰も彼も、自分に対して嫌がらせをしてくる 殺す計画を立てられている 留守中に家に侵入された
監視されている:盗聴器・盗撮カメラがある 四六時中、外から監視されているみんな自分の生活をのぞいて、笑っている 道を歩いているときや、電車の中で、注目されている 知り合いみんなが自分に関する情報を交換し合い、共有し合っている 私の話したことがすべて近所に知れわたっている
情報が漏れているインターネット回線に侵入されて、閲覧しているページがすべて 知られている 自分のプライベートなメールが回覧されている
悪口を言われる「死ね・バカ・自殺しろ」という声が聞こえるどこかに通信機が仕掛けられていて、盗聴している奴らの話し声が時々聞こえる コンプレックスをもっている容姿のことをひそひそ言われる

引用:ケースファイルで知る 統合失調症という事実《電子増補版》 第1章

もし自分がこんな目にあったら、疲れてストレスが溜まりまくってしまいます。出かけるだけで命の不安を感じますし、家にいても不安はおさまらないでしょう。

ほかにも、思考伝播(しこうでんぱ)と呼ばれる症状が典型的だと言われます。

「自分の考えが見透かされている」「テレパシーを感じる」といったように、何らかの形で自分の考えが他人に伝わったり、逆に他人の考えが伝わってくることを指します

電磁波攻撃テクノロジー犯罪マイクロチップを頭に埋め込まれていると言った言葉が使われるのをネットで目にしますすが、これは思考伝播の症状でしょう。(参考:非営利団体 組織ストーカー電磁波犯罪被害の会

DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)という国際的な精神病の診断基準によると、次のような症状が最も重要とされています。

1 妄想
2 幻覚
3 まとまりのない会話
4 ひどくまとまりのない、または緊張性の行動
5 陰性症状。すなわち、感情の平板化、思考の貧困、意欲の欠如など

参考:Diagnosis of Schizophrenia – Schizophrenia

このような症状の人が周りにいたら、うまくコミュニケーションを取って精神科にかかれるようにしてあげたいですね。

 

ただ、林さんによると精神科を受診しない人が多くなってしまっているそうです。その理由は、「自分は/自分の家族は統合失調症・病気ではないという願望」を持ってしまうから。確かに、事実を受け入れたくない願望は大きな壁になりますね……。

 

「病識を持ってから治療」は不可能

誰だって「自分は病気ではない」と思いたいものです。僕も統合失調症にかかったときには、そう思うでしょう。

「自分は絶対に病気ではない」と思っている人が病院に行くわけがありませんし、その状態で周囲の人が病院を勧めたら強く反対されてしまうでしょう。

どうしたら、精神科にかかったほうがいいかもしれないという精神状態に持っていけるのでしょうか。

すなわち、自分が病気かもしれないという認識病識)、自分はどこか調子が悪い病感)を持つためにはどうしたらよいのでしょうか?

と、僕は考えました。が、このような考え方は林先生は支持していません。「まずは病識を」はうまくいかないのです。

「病識を持つ→納得して治療を受ける」は多くの場合不可能で、「まず治療を受けて→その結果、病識が生まれる」という流れになります。

実際、「説得が裏目に出ました」というケースでは、家族が統合失調症の症状について説明したところ、本人は納得せず症状が悪化してしまったようです。これは読んでいてつらいものがあります。

まずは、統合失調症については詳しく話をせず、「つらいことを少しでも話せるよ」と精神科に軽い気持ちでかかってもらうのが良さそうです。

医者側も、治療開始の時点では、本人への病気の説明はあいまいなものにとどめることが多いようです。その後治療を続けるのは、薬によって症状がやわらいで、その結果病識が出てきてからになります

 

統合失調症はどのように治っていくか、投薬をやめるとどうなるか

統合失調症の経過は、以下のような図でまとめられています。

 

引用:ケースファイルで知る 統合失調症という事実《電子増補版》 第2章

発症しているのかどうかわからない前駆期から、被害妄想や幻覚が強くなる急性期に続きます。ネットで動画を見ることがあるのも、急性期の症状と見られるものでしょうか。この時期に、病気ではないという願望を捨ててきちんと受診できることが回復に向けたポイントです。

その後、休息の時期である消耗期から、回復期につながります。症状にも強い時期と弱い時期があるんですね。

受診をしなかったり、薬を飲むのをやめると、症状は悪化します。最悪の場合、自宅周辺の人を傷つけたり、自殺してしまうことさえあります。

これは薬のない時代だったら防げなかったでしょうが、今では防げることなのです。きちんと受診して、薬を飲む。統合失調症を知り、患者を支える人が増えていけば良いなと思います。

 

統合失調症から目を背けない

林さんによると、統合失調症の暗い側面は隠されてきたそうです。「危険でない、怖くない」というイメージを前面に押し出し、まれに起こる「危険で、怖い」事実を隠蔽しようとすることが行われてきた。

しかし、インターネットの出現で、もう隠すにも隠しようがなくなってきました。

私がそう考える一つの大きな理由は、インターネットだ。世界中の誰もが閲覧できる。誰もが発信できる。

誰もが発信できる以上、あらゆる事実が公開されることになる。
統合失調症に関していえば、それが100人に1人という高率に発症する病気である以上、社会全体ではとても多くの人が統合失調症の暗い側面を実際に目にしている。目にすればそのうちの何人かはネットに発信する。統合失調症の当事者が、症状が悪化している時期に自分の状態を発信することもしばしばある。
従来なら隠蔽され続けてきた面がネット上に公開され、それが興味深いものであれば短時間のうちに増幅されて流布する。
不都合だからといって事実を隠蔽することはもはや不可能な状況になっている。

引用:統合失調症についての本の理想とは —– 『統合失調症という事実 電子増補版』をめぐって – Dr 林のこころと脳の相談室

林さんは、「偏見」を解消する前に、「無知」を解消するために本を書いています。

「危険で怖い」ことがあるのは事実ですが、それはまれであり、「危険な状態になってしまうのは、適切な治療を受けなかったから」だ。この事実を知らなければ、いつまでも偏見はなくなりませんね。

 

この記事では紹介しきれませんでしたが、「統合失調症という事実」は、統合失調症にまつわる38ものケースが具体的に紹介されています。確かに危険な状態になる例はマレなんだ、ということが実感を持ってわかります

適切な治療を受けて、楽しく生きる人が増えてほしいと思います。そのためには、まずは知ることからですね。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

 

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