人民の一般意志で国はできあがる ルソー「社会契約論」を読む

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どうも、木村(@kimu3_slime)です。

ルソー「社会契約論」を読みました。

ルソーは初めて読んだ時にピンと来なかったので、プラトングロティウスホッブズロックモンテスキューと迂回しています。

いわゆる「社会契約論・啓蒙思想」に触れたいなら、ルソーの前に、まずホッブズを読めば枠組み・問題意識が手っ取り早くわかるかと思います。

ルソー「社会契約論」は、そこまでの流れを前提にしている部分があるかと。グロティウスやホッブズやモンテスキューを当然のように引いてますし。(こういう話、ルソーを手にする前に最初に知りたかった笑)

社会契約を人民の人民に対する契約として捉えたことは新しい点で、そこには一般意志のという少しわかりにくい概念が関係してきます。その両方を紹介します!

 

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国は人民同士の契約の上に成り立っている

ルソーは、1712年・ジュネーブ共和国(現在のスイス)に生まれ、フランスで活躍しました。ホッブズ・ロックから1世紀ほど後ですね。

社会契約論を書いたのは1762年。その約25年後に起こるフランス革命に影響を与えたと言われています。ちなみに、生前に著作は評価されず、死後・フランス革命後に評価されたようです。

「社会契約論」は、ホッブズ・ロック・モンテスキューと同様、人類が自然状態からどうやって・何のために国を作るかを説明します。それが、社会契約です。

われわれの各々は、身体とそのすべての力を共同のものとして一般意志の最高の指導の下におく。そしてわれわれは各構成員を、全体の不可分の一部として、ひとまとめとして受けとるのだ。

引用:社会契約論 p.31

ルソーの社会契約は、モンテスキューやホッブズの考え方、人民が一緒になり契約してその権利を君主に預けるという考え方を批判しています。

人民が契約して託す先が、人民自身(区別するために主権者と呼ぶなのです。

 

そういう約束が先にある以上、ある主権者が他の主権者に服従するようなことはできない、と言います。なぜなら、それは最初の社会契約を無効にするものだからです。

これは共和制・君主制がありえない、民主制のみが正しい政治制度だという話ではありません。

たとえ共和制・君主制であっても、主権が人民の一般的な意志(一般意志)にもとづいていれば良いのです。共和制でも、代表者を人民の投票によって選べば、それは実現されやすくなりますね。

 

逆に、代表者(貴族や君主)が一般意志にもとづいていない振る舞いをしているなら、それは社会契約に反することです。

国家は貴族や君主だけが最初に存在するのではなくて、人民の人民に対する約束だったはずだ。とすれば、その約束が破れたとなれば現行法は無効で、革命をする(戦争状態へ移行する)のもやむをえない、となりますよね。

これがフランス革命が起きるロジックになるのは納得です。

 

一般意志とは何か

ルソーの社会契約論は、人民が人民に対して契約すること、そしてできあがる統治システム・法を人民の一般意志にもとづいて運営する、という点が重要です。

この「一般意志(genral will)」という言葉は本の中で何度も登場するのですが、きちんと定義がされておらず、彼の文章の断片から読み取るしかありません

(もとはドゥニ・ディドロが最初に言った言葉だそうです。人の言葉を使うなら、ちゃんと紹介して欲しいですね。専門家しか理解できなくなります。)

ちょっと不満を漏らしますが、ルソーの文章自体が明快ではないんですよね。一般意志に限らず、自然状態、戦争状態、主権、とは何なのかがわかりやすく説明されません

さて一般意志という言葉は、特殊意志と全体意志という言葉と比べることでわかりやすくなるかと思います。

人民は、ほっておいても、つねに幸福を欲する。しかし、ほっておいても、人民は、つねに幸福がわかるとはかぎらない。一般意志は、つねに正しいが、それを導く判断は、つねに啓蒙されているわけではない。一般意志に、対象をあるがままの姿で、時には、一般意志に見えるべき姿で見させ、それが求める正しい路をしめし、個別意志の誘惑からそれを守り、その眼に所と時をよく見させ、目前のはっきりとした利益の魅力とはるかで目に見えぬわざわいの危険とを比較軽量させなければならない。

引用:社会契約論 pp.60-61

個別意志というのは、個々人の願望にすぎないこと、あるいは公共が求めていることとは言えない欲望のことですね。

対して一般意志は、幸福を欲することなどを含みます。誰もが望むことですよね。これには、平和、自由、平等を望むことなども含まれているでしょう。僕は公共意志、共同のための意志と捉えても良いと思ったのですが、いかがでしょうか。

 

一般意志は、個別意志の総和(全体意志)であるとは限りません

社会の結び目がゆるみ、国家が弱くなりはじめると、また、個人的な利害が頭をもたげ、群小の集団が大きな社会に影響を及ぼしはじめると、共同の利益は損なわれ、その敵対者があらわれてくる。投票においては、もはや全員一致は行われなくなる。一般意志は、もはや全体の意志ではなくなる。

引用:社会契約論 p.145

一般意志=全体の意志という状態が良い国家の状態ですが、そうではなくなってしまうこともあると。

ルソーは、そういう時にも一般意志は破壊あるいは腐敗しないと言います。一般意志、国家の平安を求める意志は確かに人々の中にある

ただし、個人が全体の幸福を人よりも多く受け取ろうとしている社会では、その私的でエゴイスティックな意志に一般意志が負けていると捉えるわけです。

 

ルソーが唱えた一般意志の概念は、ファシズムや全体主義につながったという批判もあるそうです。

確かに、一般意志の話はわかりにくく、全体の意志を一つにまとめた方が良い人民の意志(全体意志)は一般の意志、人民が望んでことをするなら良い国家だ、と解釈する人がいるのはやむをえないと思います。悪用できてしまう。

とはいえ、個別意志、全体意志、一般意志の違いを理解していればルソーはファシズムや全体主義をまるで肯定していないのは明らかです。むしろ、全体意志と一般意志が一致しない悪いパターンだったわけですね。

 

文章を書いてまとめていたら、一般意志の話は自分なりに理解できた気がします(笑)。

啓蒙思想・社会契約論の本はこれで一通り読み終わりました。いよいよ、古代ギリシャの時代から近代までつながってきたなという感じがします。

より現代をクリアに眺めらるのが楽しみになので、引き続き近代の古典を読んでいきましょうか。

木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。

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