どうも、木村(@kimu3_slime)です。
2018年2月にデビューして破竹の勢いで成長したバーチャルYoutuberグループ「にじさんじ」。これを例に、2018年3月におけるバーチャルYoutuber全体の流れについて、「グループ化」をキーワードとして考察します!
2017年12月がバーチャルYoutuber発掘の月、1月が個人勢登場、2月が企業勢登場の月だとすれば、3月はグループ系Vtuber登場の月だと思ってます。そのくらいにじさんじの勢い・話題性が確実にあり、その背景にはグループ化があるのです。
(Vtuberに関する個人的な考察であり、僕の好み・視点が入っています。特定のVtuberを非難する意図はないことを予め断っておきます。)
にじさんじ・グループ系Vtuberがなぜ強いかというと、「関係性が生み出すコンテンツ」がめちゃくちゃ多いから。コラボもしやすく、キャラ同士の絡みが生まれやすい。一人面白い人がいるなと思うと、芋づる式に新しい人を知って行って、どんどん沼にハマっていき、気付けば箱推しになっている。
— 木村すらいむ (@kimu3_slime) March 13, 2018
https://twitter.com/aktona/status/973593282591600641
バーチャルYoutuberの「グループ化」とは
画像引用:にじさんじ公式バーチャルライバー
バーチャルYoutuberの「グループ化」という言葉の意味をはっきりとさせておきましょう。
僕が「グループ化」という言葉を思いつくきっかけとなったのは、「にじさんじ」です。もしにじさんじをまだ知らないなら、ぜひ委員長の動画だけは見てください。
バーチャルYoutubeの事を全く知らない人にまず見て欲しいのは、四天王の5人。で、その次に僕がオススメしたいのは、月ノ美兎委員長を代表とするにじさんじ組。Vtuberの話題についていきたい人は、ぜひ委員長・にじさんじを追って欲しい……!
2018年2月から8人の1期生メンバーが登場し、約1か月でチャンネル登録者数上位まで食い込んできています。
https://twitter.com/aktona/status/973738527186825216
グループ化の他の例は、夢咲楓部長を代表とする「ゲーム部(プロジェクト)」です。メジャーなゲームのファンを「面で」取り込んでいく戦略として、グループ化が確実な流れだと確信できた例ですね。
夢咲さんは、バーチャルYoutuberではないポケモン実況Youtuberともコラボを予定していて、ポケモン対戦ファンという大きなファン層に向けて活動しているのがすごいと思います。
https://twitter.com/Kaede_gamebu/status/972338106979385344
やったああああああああああああああああああああああ!!!!! pic.twitter.com/BfyOJ2c15E
— バッヂ (@kanbaddi_baggi) March 11, 2018
最近では、シロさんやばあちゃるさんが所属するプロダクション「.LIVE」が、10人のバーチャルYoutuberをリリースすることを表明。これもグループ化の流れが評価されている例ですね。
電脳少女シロちゃん所属の.LIVEが10人のバーチャルYouTuberを同時リリースします!
バーチャルYouTuberになりたい方募集中!https://t.co/NyP23PmFkv— .LIVE【どっとライブ】 (@dotLIVEyoutuber) March 13, 2018
岩本町芸能社・あんたまは、グループで活動しているのですが、今回想定するようなグループ化ではないと思っています(詳しくは後述)。
バーチャルYoutuberブーム・四天王は「グループ化」だった
グループ化の流れは、にじさんじ以前、2018年2月以前からじつはありました。
2017年12月にバーチャルYoutuberブームが起こり、キズナアイ、ミライアカリ、輝夜月、シロ、のじゃロリおじさんの四天王5人が同時にネットでの注目を集めた……これはグループ化として見ることができます。
つまり、にじさんじやゲーム部などのように、自らグループとして活動する場合だけがグループ化ではありません。四天王のように視聴者が並行してグループのように応援することも、グループ化なのです。
2018年1-2月からは、個人系Vtuberが多数登場して、天魔機忍や猫機JC淫のようなコラボを見ることが増えました。このようなコラボもこれもグループ系の流れとして見ています。Vtuber同士のTwitterでのからみも、ゆるいグループ化ですね。
注意したいのは、僕は「グループ化が良い・悪い」という話をしているわけではない、ということです。
個人的には、カフェ野ゾンビ子さんやモスおじのようなわりとソロ系のVtuberも好きだし面白いと思ってます。グループ系Vtuberの台頭がVtuber全体にとって良いことなのかどうかは、正直わかりません。が、僕はにじさんじ勢をめちゃくちゃ楽しんでいます。
今回伝えたいのは、「バーチャルYoutuberが大量に登場する中で、グループ化は人気になるための戦略として強い」ということなんですよね。
グループ化は、良し悪し・好き嫌いにかかわらず起こっていくこと・必然だと思います。
グループ化が月ノ美兎委員長という才能を発掘した
では、グループ化はなぜ強いのか? その分析に入っていきましょう。
まず最初に、グループ化が才能あるVtuberを発掘する、という点についてです。
グループ化の成功例はにじさんじですが、その中でも最初に頭角を現したのは月ノ美兎委員長です。にじさんじ勢の中でチャンネル登録者数トップ、3月14日時点で約10万人です。
生放送で同時視聴者数2万人近く行くこともあったり、委員長きっかけで「ムカデ人間」がTwitterトレンド入りすることがあるように、かなりの話題性があることがわかります。
- 清楚な公式設定なのに、「ムカデ人間を見ている」と崩してくるところがまずキャッチー
- 生放送によってコメントを拾いながら、大量に名言を生み出している(名言製造機)
- しかも、生放送を編集して動画として楽しめるところまで昇華する意欲・技術がある
コンテンツとして見ると変人・奇人ですが、マジでめちゃくちゃすごいと思ってます。人とは違うことをやる覚悟、創作の才能があるんですよね。
画像引用:月ノ美兎 – Youtube
委員長のような才能を発掘できるのは、グループ化のおかげだと思います。グループ化とは、数を多く打つということでもあるのです。(にじさんじの場合は、おそらくいわながさんによるオーディション選別が有能なのですが…)
Vtuberというジャンルはまだ発展途中であり、何が正解か、何が成功につながるかがはっきりしていません。
だから、計算して1人を「当てる」のは難しく、試行錯誤の人数・回数が増えた方が「当てやすい」と思います。
よくできた3Dモデルがあっても、チャンネル登録者数が伸びるとは限りません。逆に、2Dモデルであっても、8人同時にトライすれば、誰かが輝く可能性があるのです。
アイドルの世界では、AKB48や乃木坂46はグループ化・数によって個性・才能を発掘する例ですよね。
お金や技術で再現できないもの、それが個性
少し話を広げますが、バーチャルYoutuberのチャンネル登録者数の伸びは、何によって決まるのでしょうか?
動画のジャンル? 面白い企画? 海外からの人気? よくできた3Dモデル? 声の良い声優? もちろん、これらはチャンネル数を左右する要素だと思います。
これは僕の個人的な考えですが、Vtuberのポテンシャルは「中の人の個性・トーク力」に大きくかかっていると思います。3Dのモデル・技術は企業であれば、資本力があればある程度カバーできます。
しかし、個性・トーク力のある人は簡単には集められません。演技に強い声優であっても、個性が出せるとは限らない。アマチュアで声の活動をする人を起用するとなれば、一種の博打となります。
そういう意味で、僕は四天王勢の中ではシロちゃん・月ちゃん推しです。彼女らは「Vtuberをやってるやってない以前に、面白い・クレイジーな人なんだ」ということが言葉の端々から伝わってきます。Vtuberであるなしに関係なく、人間的な魅力を感じてしまうのです。
個性・才能というものは、お金や技術だけでは生み出せない。だからこそ、それらを見出す確率を上げるグループ化は強いのです。
「グループ化」が強い理由・グループの力でファンを集める
「グループ化は才能発掘の確率を上げる」という話をしましたが、グループ化が強い理由は他にもたくさんあります。
端的に言えば、グループ化はグループの力を合わせることによって、個人で集められるファンの限界を超えることができるからです。
Vtuber単体での面白さの飽き・限界
Vtuber単体・個人勢には、面白さ・コンテンツ生産量に限界があります。企業であれば単体でも多くの動画を生み出せますが、個人はどうしてもかけられる時間・量が追いつかない。
グループ系Vtuberがなぜ強いかというと、「キャラ同士の関係性が生み出すコンテンツ」がめちゃくちゃ多いからです。
にじさんじであれば、かえみと(むかでろーん)、りんみと、かえるなど、人気のキャラの組み合わせが生まれています。グループであれば、コラボもしやすく、キャラ同士の絡みが生まれやすいのです。
グループ内で通じる内輪ネタ・モノマネも、関係性が生み出すコンテンツです。えるさんの森は、楓さんによって指示され、委員長が実行することによって燃えました。
参考:森を燃やされた?バーチャルYoutuber「エルフのえる」とは
グループの中に一人面白い人がいるなと思うと、絡みによって芋づる式に新しい人を知って行くことになります。一人知ればまた一人と、どんどん沼にハマっていき、気付けば箱推しになっている。
グループ内の関係性を知れば知るほど、「好き」を分かち合えるファンがいることもわかってきて、ファン同士でも連帯が生まれていきます。
グループ化・コラボは、ファン層を共有し、面白さ・コンテンツ量・新規視聴者の発掘・合計視聴者数を増やしてくれます。
Twitterでの活動がグループのファンを増やす
グループ系Vtuberで大事なのは、動画・生放送だけでなく、Twitterでのやりとりなんですよ。
そもそも、2017年12月のVtuberブームからわかっていたことですが、VtuberはYoutubeだけじゃなくTwitterが大事なんです。
Twitterは、簡易のライブ配信なんです。
YoutubeやMirrativなどの動画・生放送を見てもらう前段階の、情報発信源・ファンを集めるポイント・興味喚起となります。
自分がどんなキャラクターか(vtuberの最低要件)は、Twitterのアイコンと言動で伝えられます。
新規ファンを集めるきっかけとなるファンアートだって、アイコンとキャラの情報さえあれば作られて、Twitterで拡散されているのです。
Youtube動画がまだアップされていないVtuberはありえますが、TwitterなしのVtuberはありえないと言って良いでしょう(例外はげんげんくらい)。
バーチャルYoutuberという言葉は、キズナアイさんによって提唱されたものでしたが、2017年12月からはジャンルの総称となっています。
2018年に入ってからは、バーチャルYoutuberという言葉の意味は広がりした。モデルが2Dであっても、合成音声であっても、モーショントラッキングをしていなくても、バーチャルYoutuberとして見られます。
(たとえTwitter上であっても)アニメ的なキャラクターとして活動する人を、バーチャルYoutuberとして捉える流れが主流ではないでしょうか。
そういう意味で、VtuberにとってTwitterは必須ですし、実際にTwitterを始めてから動画をアップする人は多いです。
例えば、ゲーム部は動画に先駆けてTwitter上でキャラを明かしています(馬越さんやにじさんじもそうでした)。
部長!
フォロワー600人超えおめでとうございます😆
僕達ゲーム部の活動がもっと沢山の人に知ってもらえると良いですね♪
僕もスマブラを中心に頑張りますので、宜しくお願いいたします☆#ゲーム部 #風見涼 #スマブラ #バーチャルYoutuber pic.twitter.com/O8vhheiEBc— 風見 涼@ゲーム部 (@Ryo_gamebu) March 4, 2018
動画より先にTwitterを作り、 キャラを紹介しつつ他のVtuberと交流することで、早い段階でファンを増やすことができますね。
にじさんじの強みは「スタンドプレーから生じるチームワーク」だ!
グループ化の強みは十分語れたかと思いますが、最後に、にじさんじ特有の強みを述べて終わりましょう。
にじさんじのグループ化は、「スタンドプレーから生じるチームワーク」なのです。
我々の間には、チームプレーなどという都合のよい言い訳は存在せん。
あるとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。
引用:攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 第5話
元はアニメ・攻殻機動隊の言葉で、個人プレイ(スタンドプレー)がまず最初にあって、その上にチームワークが成立する、と僕は解釈しています。
最初からチームでやって、自分が伸びるか伸びないかの責任はチームに押し付けてうやむやにしよう、という発想がないチームの形です。
にじさんじ(1期)は、8人一人ひとりがTwitterアカウントとYoutubeチャンネルを持った、スタンドプレーです。
支給されるのはiPhoneのみ。Youtube・PCでの配信方法や、プロモーションの仕方について、上から手厚いアドバイス・マニュアル・サポートがあるわけではないと思われます。
Vtuber一人ひとりが、強く指示されずに好き勝手に(つまり責任を負って)動く。だからこそ、だからこそ、にじさんじは輝くのです。
実際、例えばモイラ様はPC・配信に弱い機械音痴設定です。しかし、そこは詳しいハジメくんが教えてくれる。その見返りに、ハジメくんはモイラ様に壺をプレイさせる……。
一人ひとりが動画・生放送を企画・実行するからこそ、配信時間帯や企画が全く違ってきて、強い個性が出てきます。もしできないことがあったら、できる人に相談・サポートしてもらう。
このサポートが少ないからこそ生まれる連帯感が、他のグループ系Vtuberでは見られないものだと思います。
あんたま・芸能社の持つ技術は好きであることを前置きしつつ、岩本町芸能社と対比してみます。
岩本町芸能社は、Youtubeアカウントが単一で、個人のものがありません。また、長いこと一人ひとりのTwitterアカウントがありませんでした。岩本町芸能社=あんたまのアカウントしかなかったのです。
これではスタンドプレー・個性が出しにくいと思います。個性が見えなければ、グループ化のうまみがない。メンバーがワチャワチャ楽しそうに交流しているのをTwitterで見られなければ、ファンは増やしにくいです。
一方で、(自称)岩本町芸能社所属の馬越さんは、たったひとりで岩本町芸能社と同程度のチャンネル登録者数1万人を3か月で得ています。
初動画にして「知らねえ奴はモグリ」と煽るミュージックビデオ「馬馬馬越」は、音楽や見せ方に癖がありすぎて面白いわけです。
ある意味では、岩本町芸能社というグループの中で見出された(見放された)個性・才能、と言えるでしょう。
ちなみに、最近では岩本町芸能社は個人のTwitterアカウントを作りました。これは良い傾向だと思ってます。
5人の想いを届けるため個別Twitterアカウントを開設しました。
鈴木 あんず@anzu15_225
白藤 環@erimakitamaki
夏目 ハル@haru_neee
日向 奈央@hinao_23ku
栗原 桜子@rako_29※タレントのTwitter運用ルールはこちら!https://t.co/RuJfV96o85#VRアイドル #岩本町芸能社 #あんたま #女優部
— えのぐ@VRアイドル (@rbc_geino) February 22, 2018
ぶっちゃけ、馬越さんとあんたまのからみがめっちゃ好きです(笑)
後輩の連絡先ゲット! https://t.co/pczTIlpOtV
— 馬越健太郎 / UK (@umakoshi_dream) February 22, 2018
https://twitter.com/erimakitamaki/status/968828071695474688
馬越の後輩。 https://t.co/zaLaOzI2pf
— 馬越健太郎 / UK (@umakoshi_dream) February 28, 2018
まとめ
長くなってしまいましたので、まとめましょう。
- 「グループ化」は、にじさんじやゲーム部のように、グループでバーチャルYoutuber活動する流れのこと。
- 四天王・個人間コラボのように、完全なグループでなくても、グループ化の流れは前からあった
- グループ化という手法は、才能を発掘する。例は月ノ美兎委員長。
- 個性・才能は、お金や技術で再現できない。その再現確率を上げるのがグループ化。
- グループ化は、Vtuber単体での活動の限界を補い、Twitterにコンテンツをたくさん生み出すというメリットがある
- にじさんじには、基本的に個人プレイだからこそ生まれるチームワークがある
といったところです。
Vtuberの魅力は、ひとりの動画作成者・配信者・人間によって生み出されるものだと思っています。
アニメか何かのように言われた通りに動く人形ではないからこそ、キャラクターになりきるその内側に人間性を感じるからこそ、Vtuberたちは僕の心を惹きつけてやみません。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。グループ化について思うことがあれば、ぜひTwitterで語っていただければと思います。
木村すらいむ(@kimu3_slime)でした。ではでは。
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